エムエスツデー 2022年4月号

お客様訪問記

岡山県真庭市
水道施設の「SCADALINXpro®」と
「Webロガー」の更新

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

今回は、岡山県真庭市役所建設部水道課を久し振りに再度訪問し、以前水道施設の監視システムにご導入いただいた現場設置形データロガー Webロガー(形式:TL2W)をWebロガー2(形式:DL30)へ更新する工事の内容について、同建設部水道課の 川端玲司様、山谷健二様、そして本システムの設計・構築を担当されたミツワ電設(株)の 両金道也様からお話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]前回訪問(エムエスツデー2012年7月号掲載)させていただいてから、約9年たちますが、今回、更新された経緯をお聞かせください。

[川端様]監視ソフトSCADALINXpro HMIパッケージ(形式:SSPRO4)を搭載しているパソコンのOSがWindows7だったため、更新計画があがった当時の最新OS Windows10のパソコンへ更新することになりました。また、各現場に設置し遠隔監視端末として使用していたWebロガーも設置後10年近く経過していたため、Windows10に対応した最新のSCADALINXpro HMIパッケージ(形式:SSPRO6)への移行ならびにWebロガーについても後継機種であるWebロガー2への更新を3カ年の計画で実施することにしました。

[エム]2012年頃のWebロガーの稼働台数は勝山地区26箇所、落合地区6箇所、美甘(みかも)地区14箇所、蒜山(ひるぜん)地区4箇所の計50箇所でした。2021年現在のシステムの概要や構成についてお教えください。

[両金様]現在は、勝山地区26箇所、落合地区20箇所、美甘地区14箇所、蒜山地区7箇所、北房地区8箇所と、25箇所増えて全75箇所の機場(浄水場やポンプ所)にWebロガー2を設置しています。水位や流量などの数値信号や設備の運転・故障信号をWebロガー2に入力し、イベントログの保存や帳票の作成を行っています。また、警報発生時にはWebロガー2から各担当者にメール通報を行います。
Webロガーのときから利用している真庭市の光ネットワーク網(VPN)を今回も使用して、市役所本庁舎にあるSSPRO6サーバから各機場のWebロガー2にModbus/TCPで通信し、監視とデータ収集を行っています。また、SSPRO6だけでなく、Webロガー2でもロギングしてデータを保存することで、通信に不具合が発生して、SSPRO6がデータを収集できなくなってもデータの欠損が生じない構成になっています。なお、Webロガー2はスマートフォンやタブレットでどこからでも、状況を監視することができるようになっています。
従来Webロガーを使用していたときは、パソコンの負担を軽減するため、本庁舎にサーバ用とクライアント用としてパソコンを2台設置しました。その後の増設に伴い、美甘と蒜山にもサーバ用パソコンを1台ずつ設置し、合計3台のサーバで運用していましたが、今回の更新でサーバは本庁舎の1台に統一することになりました。つまり、パソコンの負担が軽くなったため、サーバのパソコンでクライアントソフトも動かせるように変更できました。その結果、4台のパソコンを本庁舎の1台だけにし、パソコンを3台も減らすことができました。

スマホやタブレットからでも監視ができるようになりました。

[エム]今回、更新を行って感想はいかがですか?

[両金様]今まで帳票データの確認は、Webロガーが作成した帳票画面をブラウザソフトで見るようにしていましたが、今回は通信方式が変わりSSPRO6で帳票を作成することになったため、SSPRO6で帳票を作成する機能を理解するのに苦労しました。そのほかのトレンドグラフやアラーム画面などは、SSPRO6の画面ライブラリにサンプルがあり、それらを流用しました。なお、前回と同様に真庭市の光ネットワーク網とメールサーバを利用できたため、通信設定は容易に行えました。
Webロガー2に更新して良くなった点は、Webロガー2のWeb画面にはJavaを使用していないことです。以前は、スマートフォンのブラウザソフトではJavaが動作しなかったため、スマートフォンからWebロガーの画面を見ることができませんでした。Webロガー2では、最新のWeb技術を採用しているため、パソコンだけでなく最新のスマートフォンやタブレットからでも監視ができるようになりました。また、信号の入出力点数が多い所では、WebロガーのI/OとしてリモートI/OのR3シリーズを使用していました。WebロガーWebロガー2に更新しても、R3シリーズは通信カードを交換するだけで流用できるため、経済的な更新ができました。

[エム]本更新システムを使用されての感想をお聞かせください。

[山谷様]SSPRO4のときは、帳票画面を表示するときにWebロガーからダウンロードする帳票データが多くなると表示するまでに時間がかかることがありました。Webロガー2に更新後は、SSPRO6で帳票を作成しているため表示が早くなり快適です。なお、トレンドグラフは10秒更新で表示していますが、遅延によるストレスがなくなりました。
[川端様]ミツワ電設様が作ってくださったトレンドグラフは大変使い勝手が良く、とくに1画面で3日間と1週間のグラフを表示できる機能は活用しています。週初めの月曜日には、休日中の土曜日と日曜日の状況確認を行うのですが、3日間のトレンド表示によって土日に使用された水道の使用量をひと目で見ることができます。また、1週間のトレンド表示は、薬品の注入量などの設定を変更した際に、期間が短いトレンドグラフでは分かりにくいpHなどの変化の様子を見るのに利用しています。

システム更新後は、スマホやタブレットからでも監視ができるようになり、監視画面の使い勝手も良くなりました!
システム更新後は、スマホやタブレットからでも監視ができるようになり、
監視画面の使い勝手も良くなりました!
拡大図

[エム]本日はお忙しい中ありがとうございました。今後とも、エム・システム技研をよろしくお願いします。

採用された製品のご紹介

  • 現場設置形データロガー Webロガー2

    形式  DL30

    形式  DL30
    Web画面による遠隔監視機能、データロギング機能、イベント通報機能に加え帳票の作成機能などを備えた現場設置形のデータロガーです。

  • HMI統合パッケージソフトウェア SCADALINXpro®

    SCADALINXpro®
    プロフェッショナルシステムエンジニア向け
    HMI開発ツールです。
    ①高品質な画面を作成できます。
    ②各社PLC 約70機種と接続できます。
    ③遠隔から監視、制御が行えます。
    ④Webブラウザでの運用、VBなどの開発言語に組込みができます。
  • 多チャネル組合せ自由形リモートI/O R3シリーズ

    多チャネル組合せ自由形リモートI/O R3シリーズ

    R3シリーズ対応ネットワークの種類や入出力カードの種類など最も充実したリモートI/Oです。

岡山県真庭市のご紹介

蒜山高原

蒜山高原

真庭市は、平成17年3月31日に当時の真庭郡勝山町、落合町、湯原(ゆばら)町、久世(くせ)町、美甘(みかも)村、川上村、八束(やつか)村、中和村及び上房郡北房町の9町村が合併して誕生しました。
岡山県北部で中国山地のほぼ中央に位置しており、北は鳥取県に接し、東西に約30km、南北に約50kmの広がりを見せています。総面積は約828キロ平方メートルで、岡山県の約11.6%を占める県下で最も大きな自治体です。
気候は年間を通じて比較的穏やかで、台風や地震などによる災害も総じて少ない地域です。
市の北部に広がる蒜山(ひるぜん)高原では酪農が盛んで、特に飼育頭数日本一を誇るジャージー牛の乳製品は全国的に知られています。また、市南部には泉質良好な湯原温泉、のれんの町並みで知られる勝山町並み保存地区があり、蒜山高原とともに観光エリアを形成しています。中南部を中心に農林業が盛んで、とりわけ良質なスギ・ヒノキを産出する林業は、古くからこの地域の雇用を支えてきました。現在でも多くの伐採事業者や木材加工会社、市場などが操業していて、真庭市の象徴である木質バイオマス産業の中心地になっています。また、清流・旭川の恵みを受け、稲作や果樹栽培などの農業も盛んです。

岡山県真庭市役所建設部水道課

本システムについての照会先:
ミツワ電設株式会社
TEL:086-275-3004


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