エムエスツデー 2021年10月号

お客様訪問記

兵庫県尼崎市(株)ジェイアール西日本デイリーサービスネット
駅ナカ店舗の検針業務の遠隔自動監視化に採用された
Webロガー2(形式:DL30)」と「くにまる®

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

今回は、兵庫県尼崎市にある株式会社ジェイアール西日本デイリーサービスネット様(以下DSN)を訪問し、駅ナカ店舗用の「電気」「水道」の自動検針システムにご採用いただいたWebロガー2(形式:DL30)、920MHz帯マルチホップ無線機器くにまるリモートI/Oについて、同社工務部山中様にお話を伺いました。

駅ナカ店舗の「電気使用量」「水道使用量」の検針作業の遠隔自動監視化

[エム・システム技研、以下エムと略称]システムの概要や構成についてお教えください。

[山中様]DSNでは、ご出店いただいている駅ナカ店舗(テナント様を含む)の月々の「電気」「水道」の使用量を検針しています。従来は、月末に担当者が各駅のテナントや自動販売機を巡回し、メータの表示値を控え、執務室でデータ入力するいわゆる「見て回り手書きメンテナンス」を行っていました。その記録結果をもとに、電源供給元であり、親会社でもある西日本旅客鉄道株式会社に報告し、月々の「電気」「水道」の使用量を支払っています。これらの作業を自動化したいということが、今回のシステム導入の経緯です。DSNが検針する対象数は290駅1000箇所を超えます。一度にすべての駅を自動化するのではなく、まずは事務所に最も近い尼崎駅をモデル駅として実施するのが良いと考えました。尼崎駅は兵庫県内の最東端の駅で「東海道本線」「福知山線」「JR東西線」が乗り入れる1~8番ホームまである大型駅です。この駅の中を大きく5箇所に分け、その5箇所から920MHz帯マルチホップ無線機器くにまるを用いて「電気」「水道」のパルスの信号を東側の「セブン-イレブン ハートイン」に設置したWebロガー2に集約します。このWebロガー2の帳票機能を使って「電気」「水道」の使用量を月報として記録します。月報のCSVファイルをFTPクライアント機能によって社内に構築したFTPサーバに集めています。このようにして、検針作業の遠隔自動監視化を実現しました。

安全・安心のための価値観

[エム]今回、エム・システム技研の製品をお選びいただいた理由は何でしょうか?

[山中様]今回のシステムを検討した際に前提として、同じシステムを何駅にも作ること、作ったシステムは何年も継続して使用することを想定していました。エム・システム技研の「廃形しない」というポリシーを聞いて、「安全にメンテナンスができること」「安心して使い続けられること」をイメージすることができました。10年後も同じ製品が手に入るメーカーはとても安心感があります。鉄道業界では長く安全に使い続けることができることを重要視しています。

無線化による業務改善

[エム]導入によって改善されたポイントをお聞かせください。

[山中様]まずは何といっても省人化です。作業の性質上、毎月末に作業が集中し、検針作業によって営業中の店舗作業を止めてしまうなど、単純作業でありながらもその労力は大変大きなものがあります。自動化が実現すれば、作業者の労力をほかの仕事に配分できるため、投資効果は大変高いと感じています。さらに、検針作業を人手で行うと「メータの見間違い」「数値の控え間違い」「パソコンへの入力間違い」など、作業ミスが混入する機会がありました。これらのミスを防げることも大きな利点です。また、駅ナカ店舗の入れ替え時や、駅舎の改修工事に伴う配線切替え工事の際、工事業者が信号線などを切断するリスクをなくしたかったため、信号伝送に920MHz帯マルチホップ無線機器くにまるを採用しています。もちろん、無線化によって信号線の配線コストを大きく抑えることができたことも大きなメリットでした。

更なる改善

[エム]今後の展望をお聞かせください。

[山中様]まず、尼崎駅の駅務室や休憩室にCO2センサを取付けて今回のシステムに組込み、職場環境の換気改善をはかります。
また、尼崎駅と同様の自動化駅を順番に増やしていきたいと考えています。高槻駅では、すでに工事が完了し稼働しています。続けて神戸駅、大津京駅を予定しています。実は今回の尼崎駅の無線を利用した駅ナカ自動検針システムは、駅構内での電波発信にもかかわらず、鉄道設備に影響を与えないシステムとして、ビジネスモデル特許(写真1)を取得しています。 写真1 ビジネスモデル特許証
写真1
ビジネスモデル特許証

これらの仕組みのノウハウを、JR西日本グループだけでなく、ほかの鉄道会社にも紹介していきたいと考えています。そのためにも尼崎駅をモデル駅として、各種センサを設置し、駅ナカに発生する様々な困りごとを解決していく計画です。例えば使用電流値を定期的に計測して、自動販売機、コインロッカーなどの機器やテナント入替え時の電気容量算出の材料とすることや、店舗入店人数やコンコースのお客様の流動状況を時間帯別で計測して、マーケティングに活かす取組み、あるいは駅ナカのトイレの使用状況や多目的トイレの長時間利用の監視を行うことによって、お客様満足度の向上をはかりたいと考えています。今後も色々なアイディアを形にしていきたいと考えています。

「Webロガー2(形式:DL30)」と 「くにまる®」で検針作業の遠隔自動監視ができるようになりました。
Webロガー2(形式:DL30)」と 「くにまる®」で検針作業の遠隔自動監視ができるようになりました。
拡大図

[エム]本日はお忙しい中ありがとうございました。今後とも、エム·システム技研をよろしくお願いいたします。

採用された製品のご紹介

  • 現場設置形データロガー Webロガー2

    形式  DL30形式  DL30

    Webロガー2は、Web画面による遠隔監視機能、データロギング機能、イベント通報機能に加え帳票の作成機能などを備えた現場設置形のデータロガーです。

  • リモートI/O

  • 形式 R7M-PA8
  • 形式 R9MWTU・R9EWTU
  • ネットワーク変換器

    形式 GR8-EM

    Modbus/TCP(Ethernet)とModbus RTU(RS-485)のプロトコルを相互に変換します。

  • スイッチングハブ

    形式  SHSP

    避雷機能を内蔵したEthernet用スイッチングハブです。

  • ワイヤレスゲートウェイ

  • 形式 WL40EW2

    Modbus/TCP(Ethernet)、920MHz帯特定小電力無線機器くにまる用ゲートウェイです。

  • 形式  WL40MW1

    Modbus-RTUの通信プロトコルを無線化してModbusのリモートI/Oと接続できます。


(株)ジェイアール西日本デイリーサービスネットのご紹介

株式会社 ジェイアール西日本デイリーサービスネット
(株)ジェイアール西日本デイリーサービスネットは、JR西日本グループの物販・飲食カンパニーの統括会社として2000年に発足し、お客さまとのふれあいを大切にし、駅や地域の利便性を高めるサービス企業を目指し、以下に掲げる幅広い駅ナカビジネスに取り組んでいます。
◆直営事業
コンビニエンスストア(セブン-イレブン ハートイン、セブン-イレブン キヨスク)

(株)セブン-イレブン・ジャパンと業務提携し、様々なお客さまのニーズに応えるべく、駅ナカの特性に合わせ、「セブン-イレブン ハートイン」、「セブン-イレブン キヨスク」をグループ会社を含めて200店舗以上展開しています。

アントレマルシェ

土産 大型複合店舗
観光地周辺の大型駅を中心に、お土産店とセブン‐イレブンの複合型店舗「アントレマルシェ」や、お土産専門店舗の「おみやげ街道」を展開しています。
飲料自販機
自販機「curico(キュリコ)」をJR西日本管内の約400駅に約1,900台設置し、20社以上の飲料メーカーの商品から、売れ筋商品や限定商品、自販機ならではの商品を選りすぐって提供しています。


エキマルシェ

◆駅編集事業
デベロッパー事業

駅ナカ商業施設「エキマルシェ」を、新大阪駅・大阪駅・宝塚駅の3ゾーンに展開し、駅ナカにさらなる付加価値やにぎわいを創出することを目指しています。


エキマルスイーツ

提携店事業
期間限定で入れ替わる独自のスイーツ店ブランド「エキマルスイーツ」をはじめ、薬局、書店など、様々な業種の専門店を駅ナカへ誘致することで、地域の特性や多様なお客さまのニーズにお応えし、魅力ある駅空間・店舗づくりを目指しています。


ヴィアイン

◆ヴィアイン事業
「『おかえりなさい』のおもてなし」をコンセプトに、宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」を全国に27ホテル展開しています。全てのホテルが最寄駅から徒歩5分以内のアクセス抜群の好立地で、ビジネスや観光等シーンを問わずご利用いただけます。
株式会社 ジェイアール西日本デイリーサービスネット

本システムについての照会先:
(株)ジェイアール西日本デイリーサービスネット 工務部
TEL:06-4960-9810


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