エムエスツデー 2020年4月号

ごあいさつ

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

 私が卒業した大阪市立松虫中学校の第1期生同期会が、去る1月25日にアベノルシアスビル15階にある「がんこ寿司」の一室でありました。私たちは昭和20年8月15日の終戦を、学童疎開先の和歌山県那賀郡東貴志村にある「ふみや旅館」で知りました。ちなみに「猫の駅長」で知られる「貴志駅」は、そこから歩いて10分くらいの所にあります。ところで、昭和22年4月に日本の学校制度が変わって所謂「6·3·3制」が導入され、私は「新制中学」の「第1期生」となり、「阿倍野第四中学校」(卒業の年に『松虫中学校』と改名)に入学しましたが、その松虫中学校の『第1期生同期会』を同級生で野球の名選手だった千葉さんが思い立って、中学校卒業後58年経った2008年になって『第1期生会』を立ち上げると共に、その第1回会合を実施してくれ、その際は54名もの同期生が出席しましたが、当然のことながら当時は中学生だった出席者全員が74歳になっていましたので、お互い顔と名前が一致せずにうろうろしましたが、不思議なもので、会が進むにつれて顔の動きやものの言い方等で、何人かはその名前が分かってきました。

 それから11年後、本稿の冒頭に書きました今回の「第11回松虫中学校第1期生会」には僅か10名しか集まりませんでした。全員85才になっていて、この11年間に何人かの同期生は他界し、その他の人たちの中には、介護付き老人ホームに入ってリハビリ中とかの理由で欠席の人がいました。でも私は未だに自分が始めた「エム・システム技研」を健全に保ち、なおその上にその将来を輝かしいものにしようと毎日出社して生き生きと活動しています。それがどれほど幸せなものかとつくづく思います。

 エム・システム技研は、法人登記をしたのが1972年ですから、2020年の今年は創立48周年の記念日を迎えることになります。創業当時から工業計器メーカーでありながら「システム受注をしない、単品販売に特化したメーカー」を目指しました。運よく創業の頃には工業計器の電子化が進み、従前の空気圧式計器では経験しなかった「誘導雷による雷害」が目立つようになっていました。早速、電子機器専用避雷器「エム・レスタ®」(写真1)を 商品化して発売したところ、至る所で避雷器設置の効果が認められ、ヒット商品になりました。続いて、計装システムを構成する際に必要不可欠な機能を「変換器」の形にしてまとめ、名称を「エム・ユニット」(写真2)として発売しましたが、小形で低価格であるにもかかわらず、当初は売れ行きがパッとしませんでした。そのうちに「石油ショック」などがあり、不景気がやってくるとようやくユーザーの注目が集まり、急速に売れ始めました。そこからはお客様の要望に応じて機種の拡大と形状の多様化を進めた結果、受注数量が指数関数的に伸びて、「変換器のデパート的存在」になって行きました。その後電子技術の著しい進歩が追い風となって、高度なシステムコンピュータである「DCS」を除くアナログ式工業計器をことごとく取揃え、価格を公表し、短納期でかつ例外のない「代理店販売」に徹する汎用の工業計器メーカーになりました。ここまでは全ての商品の機能や名称は、既に日本の計測器工業界にあるものばかりで、工業計器を扱っている人なら商品名を聞いただけで直ちにどんな機能のものかが理解できるものでした。
写真1 電子機器専用避雷器   エム・レスタ
写真1 
電子機器専用避雷器 エム・レスタ®
写真2 計装用プラグイン形変換器 エム・ユニット
写真2 
計装用プラグイン形変換器 エム・ユニット

 今や「2020年東京オリンピック」の年を迎えました。私たちは「無線通信機能」の利用が日常的に当たり前の時代を迎えています。ケータイ、スマホなどの名称を知らない人はいません。世界はインターネットで接続され、情報は世界を駆け巡っています。いよいよ通信技術は「5Gの時代」を迎えようとしています。「IoT」という言葉は日常用語として使われるようになってきました。エム・システム技研は、計装の世界にIoTを簡単、便利に導入して、自動制御、遠隔監視をして省力化、省エネ化する汎用の通信機器を取揃えて、ユーザー様の「見て廻り手書きメンテナンス」からの脱皮を支援して行くことに注力しています。

 製品としては、工場現場で計測、監視、制御されている計測値を簡単な前処理をしてインターネットに接続する「データマル®」(写真3)(基本価格58,800円〜)をはじめ、 もう少し前処理機能を高度化した「Webロガー2」(写真4)(基本価格15万円〜)などを発売しています。また、最近新たに公開された920MHz帯の無線電波を使用して1㎞圏内にあるセンサや変換器の計測信号を無料で自由に、かつリアルタイムに伝送する無線通信ユニット「くにまる®」(写真5)(一体形、基本価格 親機85,000円〜、子機65,000円〜)を売出しています。多額の費用と工期が必要になる通信の配線工事は一切不要で、設置・取付けしたらすぐに信号の送受信が始まる優れものです。すでに構内のユーティリティ設備の遠隔監視や、クレーンや搬送ロボットのような移動体の監視制御にご使用いただいてご好評を得ています。そのほかにもタブレットに記録画面を表示する「タブレットレコーダ®」 (写真6)や空気圧式調節弁をそのバルブトップを取替えるだけで高性能な電動調節弁にする「ステップトップ」(写真7)を完成させました。これらを国内だけでなく全世界に普及させて行きたいという大きな夢があります。なおこれらはいずれも過去に同等品が存在しない新しい機能の新製品ばかりです。

 テレビ放送で見たのですが、「ジャパネットたかた」の髙田さんが「どんなに良い商品でも、それを知らない人には無いのと同じ」と言っていました。これは名言だと思います。エム・システム技研がお届けしている「データマル®」「Webロガー2」「くにまる®」「タブレットレコーダ®」「ステップトップ」といった素晴らしい製品もその存在を御存知ないお客様にとっては「無いのと同じ」です。

写真3 IoT用端末 データマル
写真3 
IoT用端末 データマル®
写真4 現場設置形データロガー Webロガー2
写真4 
現場設置形データロガー Webロガー2

写真5 920MHz帯 マルチホップ無線機器 くにまる
写真5
920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまる®
写真6 ワイヤレス記録計 タブレットレコーダ
写真6 
ワイヤレス記録計 タブレットレコーダ®
写真7 電動アクチュエータ ステップトップ
写真7 
電動アクチュエータ ステップトップ
 そこで、目下これら新機能製品の実演ビデオの作成に全社を挙げて取組んでいます。

 この『エムエスツデー』誌がお手許に届く頃には、それらのうちいくつかのビデオができあがっているのではないかと思うのですが、ぜひ読者の方々にはご覧いただきたいと存じます。一旦ビデオが出来上がりましたら、そのビデオをネットに上げて多くのお客様候補となる皆様にご覧いただきたいと考えており、ビデオと同じ内容のQRコードのついたPRペーパーを販売代理店の方々にもお願いして大量に配布し、一人でも多くのお客様候補の方々に見ていただいて、実際にお客様になっていただけたらどんなに素晴らしいだろうかと考えながら、このご挨拶文を書いております。

 どんなことになるやら見当がつきませんが、次の『エムエスツデー』誌にはその後の経過をご報告できるのではないかと存じます。どうぞこれからもよろしくご愛顧のほど、お願い申しあげます。

大阪市立 松虫中学校


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