エムエスツデー 2020年1月号

計装豆知識

デシベルについて印刷用PDFはこちら

電圧や電力、音の大きさなどの物理量のレベルを表す単位、デシベルについてご説明します。

電圧や電力、音の大きさ(音圧)などの物理量のレベル(相対値)を表す単位、デシベルについては、聞いたことはあるが正確にご存知の方は意外に少ないようです。今回は、このデシベルについてご説明します。

デシベルとは

デシベル(dB)とは、ある特定の基準に対しての大きさ(相対値)を表す単位です。デシベルの表現は、電圧や電力・音圧などの物理量を、レベル表現を用いて表すときに使用されます。基準レベルを0dB(ゼロデシベル)とし、その基準値に対してどれほど大きいか、または小さいかを表現したものです。
日常生活での音の大きさとデシベル(dB)の関係(概要)について下表に示します。

デシベル(dB) 0 dB 20 dB 40 dB 60 dB 80 dB
音の大きさ 人間の聴力限界 小さな寝息 図書館内 普通の会話 電車内

デシベルの誕生

単位として、電話の発明者グラハム・ベルにちなんだ ベル(B)の1/10(デシ)で、記号はdBを用います。dB(デシベル)で表現すると、積算の減衰量が掛け算ではなく足し算で表現できるので扱いやすくなります。 例えば、電話会社から発信された電力が減衰してゆく場合を考えます。

発信地 → A → B → C → 目的地

減衰比をAポイント(0.1)、Bポイント(0.1)、Cポイント(0.01)とします。
トータル減衰比は、0.1×0.1×0.01=0.0001となり、数字の扱いとしては、桁数も多くなるため扱いにくいものになります。

これをデシベル(dB)で表現すると、Aポイント(ー10dB)、Bポイント(ー10dB)、Cポイント(ー20dB)となり、トータル (ー10)+(ー10)+(ー20)=ー40デシベル(dB)と表現でき、扱いやすい数字になります。

このように一見すると意味が理解しがたいデシベルですが、便利な計算と表現のために生み出された便利なツールであることが理解できます。

ある特定の基準に対しての大きさを表す

(1) 電圧や音圧(騒音)の場合

20dB毎に10倍大きさが変わります。
基準値の比率とdBの関係を示しますと下表のようになります。

基準値比(倍率) 1 倍 10 倍 100 倍 1000 倍 10000 倍
デシベル(dB) 0 dB 20 dB 40 dB 60 dB 80 dB

こう見るとわかりやすいですが、dBとは基準値比の桁数を表しています。dBを20で割った値が、基準値比である10倍や100倍などの0の数になっています。

小さくなる場合、dBはー(マイナス)で表現され、ー20dB毎に1/10倍に大きさが変わることになります。
表にすると下表のようになり、プラスのときと同様にdBを20で割った値が0の数になっています。

基準値比(倍率) 1 倍 0.1 倍 0.01 倍 0.001 倍 0.0001 倍
デシベル(dB) 0 dB ー20 dB ー40 dB ー60 dB ー80 dB

(2) 電力の場合
すべてのdBが20dBで10倍ということではありません。
電力の場合は10dB基準になっており、10dB毎に10倍変わることになります。
表にすると下表のようになります。

基準値比(倍率) 1 倍 10 倍 100 倍 1000 倍 10000 倍
デシベル(dB) 0 dB 10 dB 20 dB 30 dB 40 dB
基準値比(倍率) 1 倍 0.1 倍 0.01 倍 0.001 倍 0.0001 倍
デシベル(dB) 0 dB ー10 dB ー20 dB ー30 dB ー40 dB

このようになっている理由は、運用上の利便性を考えてのことです。
たとえば、電話回線上の減衰を考えた場合、電圧がー20dBなら電力もー20dBであれば、同じ数値となり便利に扱えます。
電力は電圧の2乗に比例するので、電圧がー20dB(0.1倍)の場合は、2乗して0.01倍になります。これを電力のdBで表現すると、上表から同じー20dBであることがわかります。

dBで扱う絶対値の例

dBは基準値に対する比率であり相対的なものですが、よく使用される基準値をいくつか記述します。いずれも0dB時の物理量となります。

・電話回線などの電力(dBm)
 1mWを0dBmとしています。

・電話回線などの電圧(dBv)
 0.775Vを0dBvとしています。(*1)
電話回線用に使われる600Ωのインピーダンスに1mWの電力がかかっているときの電圧(0.775V)を基準とした単位です。

・音圧(dBspl)
 音の大きさに対応する空気の圧力の実効値である音圧レベルを表し、2×10ー5 Paを0dBsplとしています。

(*1)V2/600 = 10ー3 よって V=√0.6 = 0.775

数学的表現

数式で表現すると対数で表現されます。

・電圧、音圧など
デシベル = 20log10 [実測値/基準値]
・電力
デシベル = 10log10 [実測値/基準値]

 先のデシベルの誕生にて、デシベルで表現すると足し算で表現できるとしたのは、この対数の性質によります。
  log(A×B)は、logA+logB に変換できます。
 基準値をデシベルから表現すると、電圧などは
 [基準値比=10^(デシベル/20)]となる指数関数となります。
 イメージするために、指数関数グラフを図1に示します。

図1 指数関数グラフ
図1 指数関数グラフ

【(株)エム・システム技研 カスタマセンター】


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