エムエスツデー 2016年1月号

ごあいさつ

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年の暮れに、私はiPadを最新モデルの128ギガメモリ付きに買い替えました。iPadの機能進化はすさまじいの一言です。
 初めてiPadを買ったのは、過去に撮り溜めた写真を収納して、いつでも見られるようにしようと思ったのがきっかけでした。触ると、ほこりで指先が白くなるような古い段ボール箱の中に放り込んでいた白黒フィルムやカラーフィルム、そして横長のシネマスコープのようなカラーフィルム等々、捨てるに捨てられなかった大量のフィルムを取り出して、富士フイルム社にデジタルデータ化をしてもらうよう注文してもらいました。多分、全部で1万枚くらいはあったと思うのですが、約30万円ほどでCDの形にされたものが見事に仕上がってきました。それを早速iPadに入れてもらいました(お恥ずかしいことですが、自分ではできないのでパソコンに明るい人にお願いしたのです)。

iPadに収納された写真

 まあ凄いことに、フィルム毎に付けたタイトルをタップすると、そのフィルムの全画面がビッシリと現れ、更にその一つをタップするとその写真だけが全面に拡がって現れます。これでもう、今まで作り溜めてきたアルバムはご用済みとなり、本棚を飾るだけになってしまいました。
 これで調子に乗って、デジカメの時代に入ってから撮ってきた影像のメモリカードの内容を手当たり次第にパソコンに取り込んでもらい、それをまたこのiPadに入れてもらいました。その結果、このiPadには私の生涯の影像の大部分が収納されたことになります。これにより、所望の影像が極めて容易に取り出して見ることができる上、サイズを自由に変更して見ることもできるため、私にとっては正に宝物を手に入れたような気分になっています。

iPadに収納された本のリスト画面  その後、今度は学生時代から60年くらいの間に買い込んで書斎の本棚にギッシリと積んである図書をこのiPadに収納することを思い立ち、ブックカッターとブックスキャナを購入してもらって、またまたパソコンの使い手にお願いすることにしました。用意した図書類が次々に読み込まれiPadの中に吸い込まれてゆきました。この作業をお願いして約半年で私の書架は隙間が目立つようになりました。
 ちなみに収納された本のタイトルのリストを数えてみると、約1千冊ほどになっていました。それでもiPadのメモリには余裕があるのですから驚きです。まだまだ倍以上の図書類が収納可能と思われます。これでこのiPadが私専用の持ち歩き図書館になりました。読み込んだ本のタイトルを著者毎に編集することもできるのですから全く「不思議の世界」です。
 私がいつか愛読した著者にはもうこの世を去った方々も多く、懐かしい気持ちになります。山本七平、牧野昇、小室直樹、邱永漢、長谷川慶太郎、唐津一、日下公人、堺屋太一、西堀栄三郎、堀場雅夫、竹村健一、中西輝政、茂木健一郎・・・いつの頃か書店で見つけるとつい手が出てしまい買い込んだものですが、ページを繰ってみるとほとんど内容が記憶に残っていません。でも読んだ証拠にマーカーペンの傍線が各所にありました。
 若い頃「製造業は不滅です」の著者、牧野昇さんの講演会を聞く機会がありました。どういうわけかその時に話された内容だけが今も脳裏に焼き付いています。
 「日本の成長を支えるのは製造業ですよ。同じ製造業でも半導体部品を造る製造業よりもそれらを使った製品を造る製造業にまわった方が賢明ですよ。半導体の進歩は指数函数的で、それを使う方にまわると新しい部品が現れるとそれを使って自社製品の高機能化、高性能化、小形化、コストダウンが普通にやっているだけでできてしまうのですからねぇ」
 それから40年。電子部品を使った変換器の製造業を始めたエム・システム技研では、正に牧野さんのおっしゃった通りのことが起きて成長を支えてくれました。

 去年の暮れに、NHKの番組で三越デパートの前身、越後屋の創業者である三井高利の物語をまとめた番組を観て驚きました。300年以上も前に、三井高利は、取扱い商品である反物に初めて定価をつけて公表し、店頭販売をして成功を収めたというものです。
 エム・システム技研は、工業計器の業界にあって全製品の価格を公表し、販売は全て専門商社にお願いすると言う過去に例のない方針を打ち出して、今もそれを守り続けている姿とよく似ているのではないかと思いました。
エム・システム技研は創業以来44年を迎えようとしていますが、PA(プロセスオートメーション)の市場は、新規需要が姿を消して更新需要が目立つようになっています。この環境変化に対しエム・システム技研は

 ① 販売製品の構成部品が廃形になっても、当該製品の設計変更をして廃形を出しません。
 ② 設計変更を伴う特殊仕様品でも、価格加算ナシでお引き受けします。

 を打ち出して、お客様目線で活動を続けて参りました。
 工業プラントは、DCSを中心に据えた「計装システム」で自動運転されています。この計装システムを構成する工業計器は、多くの電子部品の組合せでできあがっています。その電子部品が進歩し続ける電子技術によって、小形化、高性能化し、古くなった電子部品は供給されなくなります。その結果多くの工業計器は廃形に追い込まれ、15〜20年間にわたって運転されてきた工業プラントのリニューアルを難しくしています。エム・システム技研の「廃形を出さない」という方針が、ユーザー様から広く歓迎されている理由がここにあります。

 ようやくオートメーションの世界にもIoT(物のインターネット)の時代がやってきました。現在稼働中の生産現場では、使用中の装置や機械の運転管理や保全の仕事が重要な役割を果たしています。その運転管理の仕事を通信技術やインターネット技術でスマートフォンで代表されるタブレット端末を使って管理して、メンテナンス業務を大幅に省力化する流れが始まっています。

 エム・システム技研では、地理的に離れた場所にある装置や機械の運転状態を、センサ類を使って検出し、リモートI/Oなどに入力してインターネット経由でスマートフォンに表示したり、異常検出をしてメール通報をしたりする遠隔監視・データロギング・イベント通報用Webコンポーネント「データマル®」を発売して大変なご好評をいただいております。もちろんインターネットを利用するため、地球上のどこに居てもこの恩恵を受けることができます。
 「データマル」のほかにも、管理したい設備が工場内に点在している場合の計測・制御情報の収集管理に適した、920MHz帯無線のリモートI/O「くにまる」も合わせて発売し、「データマル」との組合せ使用による相乗効果もあって、これも大いに歓迎されています。

 2016年の年頭に当たりまして、エム・システム技研はオートメーションの広域管理監視の作業の大幅な省力化を可能にする、新しい機能の新製品群をお届けすることでSI(システムインテグレータ)業務を専門とするお客様に大きく活動の幅を拡げていただくとともに、ユーザー様には便利でかつ大幅にメンテナンスを省力化できる環境を提供してゆけるのではないかと考えています。
 今後ともエム・システム技研の将来をお見守りいただきたく、よろしくお願い申しあげます。

富士山

(2016年1月)


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