エムエスツデー 2013年4月号

ごあいさつ

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

 『エムエスツデー』読者の皆様、こんにちは。
 桜の花と共にやって来る春は、私たちの気持ちをうきうきさせてくれます。

 このところ「タブレット」とか「タブレット端末」とかいう言葉をよく耳にしますが、どうやら、これはiPadiPad miniに代表される、ハンディな液晶画面を持った情報端末の総称のようです。

 私は、若い頃から小形のポケットカメラを持ち歩き、日常の自分達の姿を撮ってはアルバムにして楽しんできました。年齢を重ねるにしたがって、月日の経つのが益々速くなっているように感じられます。
 つい先日、押入の中からほこりをかぶった段ボールの箱を開けたら、はるか昔に撮った白黒フィルムの束が出てきました。今までだったらそのまま放置するところでしたが、これらをデジタル画像にしてiPadに収納したら、古い昔が蘇るに違いないと思い、フィルム屋さんに頼んでみました。
 2~3週間して、デジタル化した画像がCDの形になって納品されてきましたので、早速パソコン経由でiPadに移してもらいました。すごいですね。学生時代の写真はもちろんのこと、60年ほど前の成人式の写真まで出てきました。娘や息子の誕生から成長してゆく姿がついこの間のように生き生きと現れるではありませんか。
 これに気を良くして、部屋中探しまわって、その後に撮影したフィルムを集めて、これもフィルム屋さんにお願いすることにしました。合計少なくとも1万枚はあって、それが指タッチ操作一つでたちまち画面に現れ、拡大、頁めくりなど、自由自在なわけです。たまりませんね。
 読者の皆様は、すでにこのようなタブレット端末を日常生活の一部に取り込んでおられて、その扱いについては私よりずっと詳しいと思われますので、その機能について述べるのは無用のことでしょう。

桜之宮公園の桜並木 = 大阪市都島区・北区

 私が1958年に社会人になり、工業計器の世界で仕事をすることになって、もうかれこれ50年あまり経ちました。その頃の工業計器といえば、電子管式自動平衝計器と呼ばれた大形の指示記録調節計が全盛でした。アルミの鋳物でできたハウジングの前面扉を開けると、円形チャートの記録機構が現れ、それを手前に引き出すと、その奥に真空管アンプと空気圧式PIDコントロールユニットがあり、正面から調整することができるようになっていました。

電子管式自動平衝計器(指示記録調節計) 型式:AE-51 465×420×315mm 34kg ((株)北辰電機製作所製)  それから2~3年すると、全電子式の計装システムが開発され、工業計器から真空管が姿を消してゆきました。その頃からデジタル式のデータロガーと呼ばれる機器が商品化され、多数のアナログ入力をA/D変換して電動タイプライターで日報、月報が自動的に打ち出されるようになりました。

 その次に現れたのが、集中制御室でプラント全体を管理する、SCC(スーパーバイザリコンピュータコントロール)というものでした。このSCCのシステムでは、すべての計測量が人の目で監視できるように、CRT(カソードレイチューブ=ブラウン管)が使用されていました。これをHMI(ヒューマンマシンインタフェース)と呼んでいました。
 その頃のPIDコントロール機能は、今でいうシングルループコントローラが担い、SCCからの目標値を受信し、サーボモータを動かしてインデックスを設定するものでした。

 このPID演算をデジタルコンピュータで実現しようとしたのが、DDC(ダイレクトデジタルコントロール)と呼ばれるものですが、すべてのコントロールループを1台のCPUが担うことになり、これではコンピュータに異常が生じると重大事故につながるとして、PID演算機能を分散させたDCS(ディストリビューテッドコントロールシステム)が主役の座につくことになりました。
 その間にCRTは姿を消し、液晶パネルがHMIの役割を果すようになっていました。
 もうそれから20~30年が経過したわけですが、半導体の進歩と制御技術の進歩でDCSの機能は大幅に向上し、今もプロセス制御の中心的役割を果しています。

 ここにホビーマシンとして登場したパソコンが、ご覧のとおりPC98の時代からIBM・PCの時代を経て、今では低価格のネットワークPCが各方面で大活躍をしています。
 したがって工業計器の世界でも、パソコンDCSと呼ばれるシステムが広く利用されていて、その信号の入出力用にエム・システム技研のリモートI/Oが多く組合せ使用されています。そして現在もそのリモートI/Oの出荷台数が顕著に増加中です。

 そこに現れたのがこの「タブレット」で、近いうちに持ち運び自由のHMIの役割を完全に果すことになるものと思われます。そしてWi-Fiの技術が普及し、工業計器の各種センサで検出した計測信号をWi-Fi通信に乗せて発信すれば、「タブレット」が直ちに携帯式無線ロガーとして活躍することになります。

 エム・システム技研では、このような流れを呼び起こそうと考え、新たに商品化したのが、データがたまる「データマル® 」なのです。

 読者の皆様、いかがですか。面白そうでしょう。ぜひ、試しに使ってみていただきたいと存じます。

フィールドロガーシリーズの新製品 「データマル(代表形式:DL8)」

(2013年4月)


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