エムエスツデー 2011年10月号

お客様訪問記

現場の状況が、インターネット経由でいつでも確認可能
沖縄県浦添市に導入されたSCADALINXproとWebロガーによる下水道施設の遠隔監視システム

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

図1 監視装置 今回は、浦添市役所を訪問し、下水道施設の遠隔監視システムにご採用いただいたHMI統合パッケージソフトウェアSCADALINXproWebロガー(インターネット利用の遠隔監視データロガー)について、都市建設部下水道課維持管理係の赤嶺 正勝 様、又吉 清 様、そして本システムの設計・構築を担当された(有)沖縄小堀電機の上山 祐一 様にお話を伺いました。

本システムの導入経緯についてお教えください。

 [又吉様]本システムの導入前は、市内にある全ポンプ場のデータを通常のテレメータで前田中継ポンプ場に集約していて、毎日2回、15時と22時に市の委託業者が巡回し、そのときの水位や流量などを計器の指示から読み取り、報告書に記入していました。当時は記録計もなかったため、現場に行けば現在値は分かりますが、数時間前の水位の変動などは把握できず、この不便を解消するため遠隔監視システムの導入を考えていたところ、那覇市で開催されたエム・システム技研の展示会を参観したときにWebロガー(形式:TL2W-ER2)のデモンストレーションを見て、採用候補の1つに挙がりました。その後、西洲中継ポンプ場の改築工事の予算の中でWeb監視装置を追加する機会があったため、本格的に仕様の検討を開始し、展示会で見たWebロガーが最適であると判断しました。

ご導入の決定ポイントは何だっだのでしょうか?

 [又吉様]導入するシステムについて、その点検や設定変更、故障などの緊急時に、沖縄県内の業者や市職員で即時容易に対応できるシステムであることが肝要でした。それは、県外から技術者が来ないと修理などができないような設備では、運用に支障が出るからです。とくに沖縄は台風によるトラブルが多く、台風時には本州から技術者が来ることはできません。以前、ゴミ処理場の計量器が故障したときには、メーカーの技術者に現地へ来てもらうのに丸2日かかったことがありました。その点、エム・システム技研の製品は設定方法などがあらかじめ開示されているため県内の業者で十分扱うことができます。ちなみに、今回本システムは全て県内業者で構築しました。

 [赤嶺様]通報装置も導入を検討しましたが、もし異常が発生しても、検知から通報信号の受信までに時間がかかるため、どうしても初動が遅れます。リアルタイムに監視ができると、雨が多いとき常に水位の監視ができたり、機械の不具合により通常より排水流量が少ないときなど、事前に危険を察知でき、好都合です。また、年間予算が決まっている中で施設を運用していく必要があるため、エム・システム技研の製品は汎用品で廉価なうえ、さらに廃形をしないので安心して使用できます。

システムの概要や構成についてお教えください。

 [上山様]構成については図2を参照してください。前田中継ポンプ場では、同ポンプ場内やテレメータで伝送されてきている他のポンプ場の水位や流量信号あるいはポンプの運転・故障信号をWebロガーに入力しています。西原中継ポンプ場と港川中継ポンプ場にもそれぞれWebロガーを設置する予定です。Webロガーが設置されているポンプ場はインターネット回線に常時接続して、市役所や委託会社からはもちろん、担当者が移動中でも携帯電話などから監視ができます。さらに、前田中継ポンプ場にSCADALINXpro(形式:SSPRO5)のサーバPCがあり、各Webロガーの集中監視を行っています(図1)。SCADALINXproWebロガーは通信していて、事象・異常発生時にはWebロガーからSCADALINXproに通報し、運転・異常ログとして画面に表示します。逆にSCADALINXproからは1日1回定期的にWebロガーのトレンドデータや帳票データを収集しています。

図2 システム構成図

図2 システム構成図[拡大図

システム構築をされてのご感想はいかがですか?

 [上山様]SCADALINXproWebロガーそれぞれについては使用した経験があり、十分設定に慣れていました。しかし、今回は初めて組合せて使用するにあたりいくつか不明点がありましたが、エム・システム技研のホットラインに電話して解決することができました。

インターネット回線を利用するに際して、何か検討されたことはありますか?

 [又吉様]インターネット回線はVPNサービスを利用するか、各ポンプ場に固定IPアドレスを取得するかを検討しました。VPNはセキュリティは確保されますが、一部の場所からでしか監視できなくなり、Webロガーの特長である携帯電話からWeb画面を見ることやEメール通報ができなくなります。また、本システムでは遠隔制御は行っていないためVPNにする必要はないと判断し、固定IPアドレスを取得しました。その結果、夜間やトラブル発生時に職員だけでなく委託業者からもインターネット経由で現場の状況が確認可能となっています。

SCADALINXproの画面例

専用回線と比較してランニングコストはいかがですか?

 [又吉様]若干、専用回線よりは低コストとなりました。内訳はフレッツ光回線の使用料、プロバイダ利用料です。プロバイダについては数社比較検討し、県内の利用料が低廉な業者と契約しましたので、回線に不具合が発生してもすぐに現場対応してもらえます。

本システムを導入されてのご感想をお聞かせください。

 [又吉様]今まで不明だった水位や流量の1日の変動が分かるようになり、安心感が増しました。また、以前は台風のとき監視室のある前田中継ポンプ場に待機してどこかの施設で異常があれば、そこから現地へ行っていました。しかし、現在はどこにいても監視ができるため、わざわざ監視室がある1箇所で待機する必要はありません。

 [赤嶺様]ポンプ場は24時間自動運転を行っています。ポンプの故障などが発生しても常に予備機でバックアップできるようになっていますが、少しでも大雨があると流量や水位が分からないので気になっていました。現在は携帯電話やパソコンからいつでも確認ができるため安心しています。

今後のご予定などがありましたらお聞かせください。

 [又吉様]今年度工事で、市内の残りのポンプ場の信号を全て遠隔監視システムに取込みます。自宅や管理会社からも監視可能になりますから、昼間の巡回は通常業務として残りますが、夜間の巡回を行う必要はなくなります。将来は、市役所にもSCADALINXproのクライアントPCを設置して監視ができるようにすることを検討しています。市内に10箇所あるマンホールポンプ場には、現在、非常通報装置しか入っていないため、今後施設更新時にはこの監視システムに取込むことも検討しています。そうなれば1台のパソコンで全ての施設を集中監視することができるため期待しています。

 本日はお忙しい中をありがとうございました。

インターネット利用で現場監視に最適!

沖縄県浦添市のご紹介】
浦添市(琉球方言:うらしー)は沖縄本島の南側に位置し、東シナ海に面する西海岸沿いにあり、南は那覇市、北は宜野湾市、東は西原町に隣接する市です。全国でも高い出生率を誇り、那覇市と隣接するため人口増加が著しく、県内でも有数の商業・工業が活発な市です。浦添市は琉球王朝発祥の地であり、「津々浦々をおそう(諸国を支配する)」という意味で、それが「ウラオソイ」、さらに転じて「ウラシイ」となり、現在のような「浦添」の文字が与えられたとされています。浦添市では、夏の風物詩として人気の『浦添てだこまつり』や『てだこウォーク』などの行事や施設に『てだこ』がよく用いられています。『てだこ』とは、かつて浦添が琉球の王府として繁栄した時代の英祖(えいそ)王を、太陽の子と敬称したことに由来しており、浦添市は別名「てだこの街」と呼ばれています。
沖縄県浦添市

本稿についての照会先:
(有)沖縄小堀電機 事業本部
〒904-2234
沖縄県うるま市字州崎7番5
TEL:098-982-1325
FAX:098-982-1335

SCADALINXproMsysNetは(株)エム・システム技研の登録商標です。


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