エムエスツデー 2009年8月号

お客様訪問記

那覇市・南風原町環境施設組合に
採用されたMsysNetシステム

(株)エム・システム技研 カスタマセンター システム技術グループ

 那覇市と島尻郡南風原(はえばる)町は沖縄本島南部に位置し、隣接しています。

 那覇市は沖縄県の県庁所在地として、人口31万人余を有する政治・経済・文化の中心地です。古くから港が整備されるなど、海外との交流拠点として「琉球王国」文化が花ひらいた街です。気候的には、暖かい黒潮の影響もあって冬でも暖かく、夏は四方の海から吹く風が吹き抜けるため年間の平均気温差が少ない過ごしやすい土地です。先の第二次世界大戦末期の沖縄戦では、街は焦土と化しましたが、1972年の日本復帰を経て現在の那覇市へと発展してきました。21世紀を迎え、那覇市は、沖縄都市モノレール・中心市街地および新都心地区を核としたまちづくりを展開しています。

図1 那覇エコアイランド

 また、南風原町は那覇市を含む6市町に囲まれ、現在沖縄県では唯一、海に面していない自治体です。栄養に富んだ完熟のかぼちゃは沖縄一の生産高を誇り、ストレリチアの花の生産高も日本一で、新たな南風原ブランドを確立しています。

 今回、那覇市・南風原町環境施設組合が運営管理されている那覇エコアイランド(図1)を訪問し、MsysNetシステムを導入された那覇市・南風原町環境施設組合の末吉 智 様、国吉 真史 様、そして本システムを納入された共和化工(株)沖縄営業所 所長 河野 吉治 様、九州共和メンテナンス(株)鹿児島営業所 川口 公二 様にお話しを伺いました。

 [エム・システム技研、以下エムと略称]那覇市・南風原町環境施設組合の概要についてお教えください。

図2 海面最終処分場

 [末吉]那覇市・南風原町環境施設組合は、那覇市および南風原町から出るごみを処理するための施設「那覇・南風原クリーンセンター」の建設を目的に1999年11月に設立された那覇市と南風原町の事務組合です。現在では、還元施設「環境の杜ふれあい」と最終処分場「那覇エコアイランド」を建設し、「那覇・南風原クリーンセンター」も含めて3つの施設を管理運営しています。

 [エム]那覇エコアイランドの施設についてお教えください。

 [末吉]那覇エコアイランドは沖縄県初の一般廃棄物海面最終処理場であり、海を埋め立てて廃棄物を処分する施設として2007年3月に竣工しました。敷地面積は2.7ヘクタールでおよそ94,000m3の廃棄物を埋立処分することができます。

図3 余水処理施設

 本施設には、処理飛灰などを最終的に処分する海面最終処分場(図2)と、処分場内の海水を処理する余水(よすい)処理施設(図3)があります。

 [国吉]海面最終処分場は、「那覇・南風原クリーンセンター」で可燃ごみを焼却するとき発生する飛灰を重金属が溶出しないよう薬剤処理した後の処理飛灰を年間約4,000m3埋め立てています。余水処理施設では、雨や埋立により最終処分場内の一定の水位を超えた水を浄化して放流します。周辺海域の環境保全を目的に作られた施設です。

 [エム]納入されたシステムの概要や構成についてお教えください。

 [河野]構成については図4をご参照ください。

図4 システム構成図

 余水処理施設での処理フローを説明しますと、流入調整→第1凝集沈殿処理(カルシウム凝集)→生物処理(硝化・脱窒・再ばっ気)→第2凝集沈殿処理→高度処理(砂ろ過・活性炭吸着)という過程を経て、最後に放流されます。この処理工程の中で、放流する余水のpH(水素イオン濃度)やBOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)を適正な値に調整する必要があるため、エム・システム技研のワンループコントローラ(形式:ABHを使用しました。

図5 I / O 盤

 たとえばpH制御の場合、ABHのPID制御機能を利用して各処理層の中に薬品を注入して常にpH値が基準値内に収まるように注入量を制御しています。各処理施設の機器の状態・故障表示、計測データの取込みにはPLCを使用しています。また、ABHから出力されたPIDの演算結果をPLCに入力し、オープンネットワークのCC-Link経由で現場のリモートI/O(図5)へ伝送し、リモートI/Oから薬品注入装置に対して操作量信号を出力しています。さらに、すべての処理設備の稼動状況を監視するため、監視操作ソフトウェア SCADALINX HMIパッケージソフトウェア(形式:SSDLX-V3を採用しました。

 [エム]SCADALINXではどのような監視を行われていますか。

図6 大型ディスプレイに表示されたグラフィック画面

 [川口]SCADALINXではABHのPV値、SV値、MV値を計器フェース画面で一括監視しています。また、PLC内部のデータも併せて監視するため、SCADALINXがEthernet経由でPLCと通信するために通信ユニット(形式:72EU-LBを使用しました。72EU-LBは、PLCの制御手順Ethernet UDP/IPをエム・システム技研専用のL-Busプロトコルに変換し、ABHに対してと同様、PLCの内部データを直接取込むことを可能にします注)。PLCのデータは処理工程ごとにグラフィック画面を作成してクライアントパソコンで大型ディスプレイに表示し一目で各設備の状態が判るようにしています(図6)。なお、トレンドデータは1か月分、また日報・月報・年報などの帳票データは2年分を保存して管理を行っています。

 [エム]お忙しいところ、ありがとうございました。

本稿についての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループ TEL:06-6659-8200

注)現在のSCADALINXのバージョンV3.10(形式:SSDLX-V3)は一部のPLCと直接通信可能です。詳細はSSDLX-V3の仕様書をご参照願います。

MsysNetSCADALINXは(株)エム・システム技研の登録商標です。


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