エムエスツデー 2009年6月号

Product Information
No.14

27・UNITシリーズ全機種のSIL2レベル対応について

図1 27・UNITシリーズの外観 このたび、ヘッドマウント形変換器27・UNITシリーズ全機種(表1)について、機能安全設計におけるSILレベル算出に必要なFMEDAレポートの用意が調いましたのでご報告します。

表1 27・UNITシリーズ機種一覧

製 品 名 形 式
 2線式ユニバーサル温度変換器(本質安全防爆、PCスペック形)  27U
 2線式ユニバーサル温度変換器(本質安全防爆、HART通信対応)  27HU
 2線式ユニバーサル温度変換器(耐圧防爆、屋外設置形、HART通信対応)  27HU-B
 カップル変換器(本質安全防爆、PCスペック形)  27TS
 測温抵抗体変換器(本質安全防爆、PCスペック形、入出力間非絶縁)  27R
 測温抵抗体変換器(本質安全防爆、PCスペック形)  27RS

SILについて

表2 安全度水準:低頻度作動要求モードで運用するE/E/PE安全関連系に割り当てられる安全機能に対する目標機能失敗尺度

安全度水準 (SIL) 低頻度作動要求モード運用
(作動要求当たりの設計上の
機能失敗平均確率)  
4 10−5 以上 10−4 未満
3 10−4 以上 10−3 未満
2 10−3 以上 10−2 未満
1 10−2 以上 10−1 未満

 近年、海外の展示会などで「SIL」の表記をよく目にするようになりました。SILは、「機能安全」に関するIEC規格 IEC61508の中で安全度水準として定義されており、英文のSafety Integrity Levelの頭文字をとったものです。そのレベル(水準)に応じてSIL1~SIL4にランク付けされ、その数字が大きいほど安全度が高くなります(表2参照)。なお、SILの定義はかなり複雑であるため、その詳細については『エムエスツデー』誌2007年12月2008年1月2月3月号の「計装豆知識」をご参照ください。

 まず、ここでは単純な安全関連系の例を考えてみます。

 「センサからの温度信号がある値まで上昇した場合に、熱供給弁を遮断する」というシステムの場合、大まかに3つのブロックに分けられます。

 (1)センサ+温度変換器
 (2)変換器からの信号を受けてアクチュエータに指令を出す安全PLC
 (3)PLCからの指示を受けて弁を遮断するアクチュエータ

 このシステムにSIL2のレベルが必要な場合は、 3つのすべてのブロックにSIL2が必要になります。低レベルのSIL1が1つでも混じると、そのシステムはSIL1になります。(訂正2009/08/06)各ブロックがSIL2であるだけでは十分ではなく、 ブロックの合計の機能失敗平均確率がSIL2を満たす必要があります。そこで、もしこのシステムがSIL2であるとするならば、このシステムの作動要求当たりの失敗平均確率は、表2を参照して千分の一以上、百分の一未満といえます。

 SILの計算はシステムレベルの場合にはかなり複雑になるため、温度変換器単体について考えてみます。SILレベルの算出は「作動要求に対する機能失敗平均確率」を算出することでありPFDAVGと定義されます。PFDはProbability of Failure on Demandの略で作動要求に対する機能失敗確率です。なお、SILにはPFDAVGのほかに、すべての故障に対する安全側故障の割合であるSFF(Safe Failure Fraction)と定義される値についても要求があります。

FMEDA

 FMEDAとはFailure Modes Effects and Diagnostic Analysisの略で、その製品の各故障モードにおける故障確率や故障診断能力についての解析レポートであり、SILレベル算出のために必要になるPFDAVGやSFFを算出できるように、必要なパラメータがすべて記載されています。

 FMEDAレポートは、専門会社であるドイツのExida社から発行され、そのための基礎的作業はExida社のエンジニアが回路図、部品表から一つ一つのパーツのあらゆる故障について、危険側か安全側か、またその故障が検出可能かどうか、実機の動作を確認しつつ実施しています。

 結論として、27・UNITシリーズは世界の競合メーカーと比較してなんら遜色のないSILレベルにあることが確認できました。FMEDAレポートとSILを満たすための取扱説明書である安全マニュアルが必要なお客様は、エム・システム技研のホットラインまでお問い合わせください。

27・UNITシリーズについて(表1)

 2線式ユニバーサル温度変換器(形式:27HU)は性能的にハイエンドに位置し、HART通信にも対応しています。その他の機種は低価格ながらも精度と温度特性に優れた普及型で、HART通信には対応していませんがPCから設定やモニタが可能です。また、いずれも本質安全防爆に対応しています。

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 エム・システム技研は総合変換器メーカーとして、現場形変換器の開発にも注力して参りました。27・UNITシリーズのほかに、トリマ調整タイプの26・UNITシリーズ、表示器を備えたB6・UNITシリーズなどの製品ラインアップも揃えています。今後も、現場形温度変換器のすべてのニーズにお応えできるよう成長させたいと考えていますので、ご意見、ご要望がありましたら、エム・システム技研のホットラインまでお寄せください。

【(株)エム・システム技研 開発部】


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