エムエスツデー 2009年3月号

製品別情報

リモートI/O R3シリーズ クランプ式センサ入力形
電力マルチカード(形式:R3-WTU)
− 32ワード対応 −

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 R3-WTUの外観と寸法

 エム・システム技研では、かねてより消費電力監視システムを構築するための電力関連製品の充実に力を注いで参りました。

 今回は、リモートI/O R3シリーズの電力関連カードとしてご好評いただいている、クランプ式交流電流センサCLSE電力マルチカード(形式:R3-WTU図1注1) に新たな機能を追加したので、従来の機能と併せてご紹介します。

1.概 要

 クランプ式交流電流センサCLSE電力マルチカードR3-WTU)の計測項目は450項目以上にも上り、より詳細なデータを簡単に採取することが可能ですが、従来は1枚のカードの最大伝送データが16ワードであったため、16を超える項目を計測する場合には、カード枚数を2枚に増やす必要がありました。

 今回新たに追加した機能は、1枚のカードで最大32ワードのデータ伝送を可能にしたものであり、モニタする計測項目が多い場合でも、より経済的に高機能電力監視システムを構築できます注2)

 入力にはクランプ式センサを使用するため、既存の設備に適用する場合に、配線を分断してCTを挿入するなどの煩雑な作業を行わなくて済みます。

2.特 長

(1)伝送データ数
 従来の標準仕様製品では、最大16ワードのデータを伝送することが可能ですが、このたびの追加仕様製品(形式に付加コード「/D」が付きます)の場合には、1枚のカードで2枚分のアドレスを占有することにより、最大32ワードのデータ伝送を可能にしています。ただし、「/D」付きのカードを使用する際には、アドレス可変形ベース(形式:R3-BSWを用いるとともに、32ワード伝送のため仮想的に占有するアドレスを、他のカードで使用しない設定が必要です。

(2)回 路 数
 ご注文時に、計測対象が1回路か2回路かのいずれかをご選択いただけます(電圧は共通)。2回路の場合、定格電流が異なる2つのセンサを使用することも可能です。

(3)結線方式
 入力については、単相2線、単相3線、三相3線、三相4線に対応しています。

(4)計測可能項目
 計測項目は、電流、電圧、有効電力、無効電力、皮相電力、力率、周波数、有効電力量、無効電力量、皮相電力量、デマンド、高調波、各計測項目の最大値最小値など450項目以上にも上ります。

 コンフィギュレータソフトウェア(形式:R3CON注3) を用いて、計測項目や入力結線方式、センサの種類などの設定を行います。選択した計測項目に対して、ワード数(1ワードか2ワード)や回路を各計測項目ごとに選択することが可能なので、自由に伝送データを組み合わせることができます(図2)。

図2 コンフィギュレータソフトウェア(形式:R3CON)の設定画面例

(5)スケーリング
 スケーリング機能を使うことによって、実量値を通信データとして伝送することができます。

(6)クランプ式交流電流センサ(形式:CLSE

表1 クランプ式交流電流センサCLSE

の種類

CLSE ねじ端子接続形
形 式 定格一次電流(A) 電線径(φ)
CLSE-R5 5 10以下
CLSE-05 50 10以下
CLSE-10 100 16以下
CLSE-20 200 24以下
CLSE-40 400 36以下
CLSE-60 600 36以下

図3 クランプ式交流電流センサCLSEの外観 R3-WTUは、クランプ式交流電流センサCLSE)(図3)と組み合わせて使用します。定格電流については、5~600Aという広い電流レンジに対応しています(表1)。センサの1次側・2次側間の耐電圧はAC2000Vです。CLSEの結線構造はねじ端子接続形ですが、2種の専用ケーブル(形式:CLS-CNと形式:CLSA-08C)を使用することで、センサとI/Oとの結線をより簡易化できます(図4)。

図4 専用ケーブルとの接続

(7)関連機器
 R3シリーズは、豊富な入出力カードと通信カードに対応しています。
 状況に合わせて、測温抵抗体用、熱電対用など各種の入力カードを同一ベースに混在させることもできます。また、積算パルス入力カードや交流電流入力カードなど、その他の電力関連製品とも組み合わせることが可能です。
 通信カードについても多くの種類を準備しており、これらの通信カードと組み合わせて使うことによって、遠方にあるPCやPLCを使った電力監視が行えます。

お わ り に

 今回ご紹介した電力マルチカードR3-WTU)をご採用いただくことによって、省エネの推進をより容易に実現していただければ幸いです。
 今後もリモートI/O機器シリーズ、電力変換器シリーズの機能充実と機種拡充に努めて参ります。電力関連製品に関する、ご意見、ご要望などがございましたら、ご遠慮なくエム・システム技研ホットラインまでお寄せください。

注1)電力マルチカード(形式:R3-WTU)については『エムエスツデー』誌2008年4月号でもご紹介しています。
注2)32ワード伝送仕様を選択時には、必ずアドレス可変形ベース(形式:R3-BSWをご使用ください。
注3)コンフィギュレータソフトウェアは、エム・システム技研のホームページからダウンロードいただけます。リモートI/O R3シリーズとパソコンとの接続には、専用のコンフィギュレータ接続ケーブル(形式:MCN-CONまたはCOP-USUSB対応)が必要です。


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