エムエスツデー 2008年7月号

製品別情報

SCADALINXproの応用(5) 
− アラームメール −

(株)エム・システム技研 システム技術部

は じ め に

 「SCADALINXproの応用(2)」(『エムエスツデー』誌2007年9月号)では、アラームの基本機能をご説明しました。今回はアラームのメール通報機能についてご紹介します。

 近年、緊急情報の連絡手段として、携帯電話へのメール通報が多く用いられています。エム・システム技研の高機能HMIソフトウェアSCADALINXproは、標準機能としてアラームメール送信機能を装備しており、アラームの重要度に対応して、メール送信先をグループ分けできるなど、充実した機能を実現しています。メールとしては、異常発生日時、異常信号の名称やその内容などを送ることができます(図1)。

図1 SCADALINXproのアラームメール送信機能

 では、実際どのような手順でどのような設定を行うことによってアラームメールを送ることができるのかを、以下にご説明します。

(1)アラームマスタに[MAIL]フィールドを追加し、メール送信を必要とするアラームを定義する。
(2)SCADALINXpro Serverでアラームサーバアクションの「メール」タブを使って設定を行う。
(3)イベントでアラームサーバアクションを実行する(パラメータに「MAIL」を指定)。
(4)メールマスタフォルダにメールマスタを作成する。

1.アラームマスタに[MAIL]フィールドを追加し、メール送信を必要とするアラームを定義する

 アラームには、発生、復帰、確認、変化と様々なタイミングがあります。どのタイミングでメールを送信したいのかを[MAIL]フィールドで設定します。

 複数のタイミングでメールを送信したい場合は、キーワードをスペースで区切りながら列挙します(表1)。たとえばアラームが発生および復帰したときにメールを送信したい場合は、「new recover」にします。逆にメールを送信したくないアラームの場合は何も記述しません。

表1 メール送信設定キーワード

キーワード メール送信のタイミング
 all  すべてのタイミングでメールを送信
 new  アラームが発生したときメールを送信
 recover   アラームが復帰したときメールを送信
 ack  アラームが確認されたときメールを送信
 change  アラームが変化したとき(LOLOからLOに変化したなど)メールを送信 

 メール送信の設定はアラーム全体に対して行うのではなく、個々のアラームに対してメールを送信するか否か、および送信のタイミングを設定することによって行います。

2.SCADALINXpro Serverでアラームサーバアクションの「メール」タブを使って設定を行う

図2 メールマスタファイルがフォルダ、メールサーバなどの各項目を設定します。「複数のアラームが発生した場合、1回のメールにまとめて送る」というチェックボックスがありますが、この設定によって、メールキュー(一時ディレクトリ)に複数のアラームメールが存在した場合に1つのメールにまとめて送信することができます(図2)。

 この機能を使えば、アラームが同時に大量に発生した場合に大量のメールが送信されるのを防ぐことができます。

3.イベントでアラームサーバアクションを実行する(パラメータに「MAIL」を指定)

図3 アラームメールを送信する場合は、アラームメール送信用にイベントを作成し、このイベントからアラームサーバアクションを呼び出す設定をします。そのとき、パラメータに「MAIL」を必ず指定します(図3)。このイベントが実行されるまで、アラームメールはアラームキュー(待ち行列)に保存されています。実際のメール送信はイベントが実行されたときに初めて行われます。そのとき、アラームサーバアクションのメールタブ(図2)で「複数のアラームが発生した場合、1 個のメールにまとめて送る」がチェックされていると、複数のアラームが発生している場合でも1つのメールにまとめて送信されます。

 たとえば、アラーム発生後、1分以内程度でメール送信すればよいのであれば、定周期イベントで周期を1分に指定します。「複数のアラームが発生した場合、1 個のメールにまとめて送る」をチェックしておくと、周期1分の間に複数のアラームメールが発生した場合、発生したすべてのアラームが1つのメールにまとめられて送信されます。

4.メールマスタフォルダにメールマスタを作成する

図4 メールマスタとは、メール送信先などの情報を定義したテキストファイルです(図4)。メールマスタは、メモ帳などのテキストエディタで作成します。メールマスタのファイル名は自由であり、メールマスタ用に専用のフォルダ(メールマスタフォルダ)を作成してこのフォルダ内に格納しておきます。メールマスタフォルダに入っているすべてのファイルが、メールマスタとして読み込まれて実行されます。

 メールマスタを複数ファイル作成してメールマスタフォルダに入れておくことで、複数の条件ごとにメールを送信することもできます。たとえば、グループ1は管理者へメールを送信し、グループ1と2は作業者へメールを送信するなど、様々な条件に応じたメール送信が可能です。

 たとえば[CM0]がグループ番号を表すフィールドだとすると、グループ番号が「10」より大きいアラームだけを送信したい場合は、下記のように記述します。

 [MailCondition]
 [CM0]>10

 また、[CM1]が重要度を表すフィールドの場合、グループ番号が10より大きく、かつ重要度が1のものだけ送信したい場合は下記のように記述します。

 [MailCondition]
 [CM0]>10&&[CM1]==1

 それぞれの条件に対応して異なる送信先のグループにメールを送信したい場合、送信条件数分のメールマスタを作成し、[MailCondition]に条件を記述することで対応できます。

 送信先が1つの場合、メールマスタは1つだけで、アラームマスタの[MAIL]フィールドでアラーム毎に送信するかどうかの条件を指定でき、メール送信条件を設定する必要はありません。[MailCondition]に何も記述しなければ、アラームマスタの[MAIL]フィールドで指定したすべてのアラームメールが送信されます。

おわりに

 以上にご説明した諸設定を行うことによって、異常発生時にEメール通報を行うことができます。

 つまり、SCADALINXproのアラーム機能を使用すれば、異常通報をアクションのプロパティの設定で実現できるため、比較的容易にアラーム通報機能を導入いただけます。

SCADALINXproは、(株)エム・システム技研が商標登録出願中の商標です。


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