エムエスツデー 2008年4月号

お客様訪問記

佐賀県唐津市水道部に納入された
MsysNetシステム

(株)エム・システム技研 システム技術部

 佐賀県唐津市は九州北部に位置し、雄大な玄界灘に面しています。そこで水揚げされる「呼子のイカ」は全国的に有名です。また日本三大松原の一つに数えられる「虹の松原」があります。沖合いの高島にある「宝当神社」は、有名な宝くじの聖地で、多くの観光客の方が当選祈願に訪れます。

図1 システム構成図
図1 システム構成図[拡大図

[エム・システム技研、以下エムと略称]今回は佐賀県唐津市水道部水道浄水課長の武富義幸様とシステム納入に携わった米村電設工事(株)取締役工務部長の諸岡寿様をお訪ねし、久里浄水場にて使用されているエム・システム技研諸製品の採用のいきさつなどについてお話を伺いました。

図2 監視室[武富]以前から変換器、避雷器などのエム・システム技研製品が制御盤に取り付けられていることは知っていました。5年前に和多田浄水場、久里浄水場の2箇所で薬品注入設備に制御の必要があり、米村電設工事(株)およびエム・システム技研から、ワンループコントローラ(形式:ABEを各4台ずつ計8台ご提案いただいたのがエム・システム技研製品導入のきっかけでした。制御対象はパック(凝集剤(ポリ塩化アルミニウム))用と苛性ソーダ(凝集補助剤)用のポンプ各2台の制御でした。

図3 薬品注入機盤[諸岡]従来は、ろ過流量に対する薬品注入と取水流量に対する薬品注入に当たって、1台の調節計を使い、入出力信号を切り替えて制御していました。しかし、ろ過流量の方が取水流量より大きいため、入出力信号を切り替えただけでは、薬品注入量設定時のスケールが一致しないため対応できませんでした。ワンループコントローラABE)では計器ブロック方式をとり、1台で32個の演算機能と2個の調節計機能をもっています。しかし、PID演算の設定スケールは通常1つしか設定できません。そこで、調節計の設定スケールとしては、ろ過流量側のスケールを採用し、取水流量側の設定スケールについては、除算機能を使って「取水流量/ろ過流量」を計算し、これを係数(1以下)として補正することによってスケール合わせを実現しました。従来は、薬注量は上位のDCSの画面表示によってppm値で定め、コンソールから設定値を入力し、現場でこれを注入量に換算して制御していました。しかし、ワンループコントローラABE)では、比率制御を行う場合、比率設定の標準機能を使うと注入率を±32.00のゲインで設定しなければならないため使えませんでした。今までどおりppm値で設定するために、演算ブロックの乗算機能によって流量と比率を乗算し、その結果を注入量の設定値として注入量制御を行い、無事動作させました。

[武富]上記のワンループコントローラABE)の採用実績を見て、次年度、神田浄水場の遠隔制御を目的としたテレメータ改修工事を設計することにしました。やはりエム・システム技研製品の採用によって機器費用を削減することを目的としました。設計を自分自身で行うことも初めての経験でした。

 システムの内容は、遠隔の無人浄水場には導入実績があるワンループコントローラABE)を7台設置し、パック、苛性ソーダ、塩素注入などの制御を行いました。既設の現場信号などはPLCに入力されていたので、PLCインタフェース(形式:SMDLを利用して通信を行い、新規に入力するアナログ信号の伝送にはリモート入出力ユニット(形式:SML、デジタル信号の伝送には多点入出力ユニット(形式:39Mを設置しました。久里浄水場まではMsysNetテレメータで信号伝送し、RS-485のNestBusで各機器を接続しました。上位には汎用OS WindowsNTのパソコンを設置し、監視操作ソフト(形式:SFDNを用いて集中監視しました。従来はDCSで監視制御していたため非常に高価でしたが、エム・システム技研のシステムでは汎用のパソコンで済み、安価な監視制御システムが構築できました。DCSとは別のシステムを採用することによって、費用を大幅に削減できました。

図4 現場盤[エム]その設計を実行されていたときにエム・システム技研の「MKセミナー」を受講されたわけですね。

[武富]前回は業者の方に設定していただいたこともあり、内部機能は熟知していませんでした。セミナーを受けることによって製品自体を知ることができ、システム構成も自分で考えることができるようになりました。

 以後、宇木加圧ポンプ場、田代加圧ポンプ場、温石山配水池の3箇所の管末残塩計設置工事に関しても、小規模な施設でありMsysNetテレメータを採用しました。

 図1には記載していませんが、小規模なテレメータとして、上位監視(パソコン)がない場合には新発売されたテレメータD5シリーズを採用しました。D5シリーズはコンパクトで盤を小さくできる点がメリットでした。

 2年前からは、次亜塩素注入装置の監視操作ソフトウェアとしてOSがWindowsXP対応のSCADALINX HMI(形式:SSDLXを採用しました。このソフトウェアはサーバ・クライアント方式になっていて、今までの装置を統合し、複数のパソコンで画面表示が見られるように改造して現在に至っています。

[エム]2007年度にも、和多田浄水場の無人化に対応したテレメータ増設工事がありましたね。

[武富]発注している業者は違いますが、テレメータD3シリーズを設置すると聞いています。

[エム]D3シリーズは簡単にオープンネットワークに接続できるため、容易にPLCとの間で通信できる点が特長です。また、全アナログ信号が個々に絶縁されているため、テレメータD5シリーズよりも多点数で、変換器も不要になる点が優れています。次々と新製品をご採用いただき、ありがとうございます。本日はお忙しいところをありがとうございました。

本稿のシステムについての照会先:  
(株)エム・システム技研  
システム技術部  
TEL.06-6446-0040  
FAX.06-6446-0307

MsysNetSCADALINXは、(株)エム・システム技研の登録商標です。


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