エムエスツデー 2008年3月号

PCレコーダの納入実例 No.30
No.30

印刷工場の省エネ効果測定に採用された
PCレコーダソフトウェアMSRpro

 PCレコーダの納入実例として、今回は、ある印刷工場の電力監視用として導入されたPCレコーダソフトウェア MSRpro(エムエスアールプロ)(形式:MSR2K-V5についてご紹介します。MSRproは、サーバ/クライアント方式を採用し、サーバソフトウェアでデータを収録し、クライアントソフトウェアでデータの表示・解析を行うパソコン記録計です。

 この印刷工場は、設備全体を電化して、電気だけを使用してどれだけ省エネ効果が上がるのかを実験するモデル工場として設立されました。実験データの収集を目的として1年間だけ電力の記録を取りたいということでした。したがって、この工場の実験が終了したら別の工場でそのまま流用できるように、取付け/取外しの施工が容易なものを要望されていました。

 印刷工程では、インキが紙に印刷されるとき周囲温度や湿度の影響を受けて印刷の度合いが変わったり、巻取紙の剥がれ具合などが左右されるため、室内の温度や湿度を適温・適湿に保つ必要があります。工場全体を一定の温度に保つために大形のチラーやターボ冷凍機などの空調設備が導入されました。そして、これら空調設備関係の消費電力の監視を行うため、エム・システム技研の消費電力監視システムを導入されました。

図1 システム構成図

 データ入力用機器としてはリモートI/O R3シリーズを使用しました。図1に全体のシステム構成図を示します。測定箇所は、異なる場所5箇所に設置された動力盤でした。これらの盤間の距離が100m以上あったため、Modbus用通信カード(形式:R3-NM1を使用して機器間の通信にModbusを利用しました。Modbusでは、通信線にシールド付きツイストペア線を使用するためケーブル費用が安価で施工も容易です。

図2 CSVファイル 各負荷の電力測定には、取付け/取外しの施工が容易なクランプCT(クランプ式交流電流センサ 形式:CLSB)に対応した電力カード(形式:R3-WT4Bを使用しました。この電力カードは1枚で4回路分の消費電力の算出と電力量の積算が可能であるため、今回のように同一系統の回路が多い場合には、極めて経済的でした。算出された各電力カードのデータはModbus用通信カード経由でMSRproがインストールされたパソコンに集められます。集められたデータは、1週間に1度クライアントソフトウェアでCSVファイル(図2)として取り出され、担当者が解析を行います。

 また、印刷工場では電気以外に大量の水を消費します。水の使用量も同時に把握したいとのことでした。送水ポンプの先に流量計が取付けてあり、その流量計から出力される流量積算パルス信号を取込むために積算パルス入力カード(形式:R3-PA16を使用しました。また、積算パルス入力カードがカウントした値を1時間毎の使用量として表示するため、MSRproの演算ペン機能の中にあるパルス積算差分を利用しました。1時間毎に表示されたカウント値をリセットすることによって1時間あたりの使用量が把握できるため、CSVファイルで取出した後に編集する必要がなくなりました。

 データの収録周期を10分に設定しているため、収集データ量が少なく、パソコンのHDD容量を気にすることなくデータ収集を行っています。以上のように、MSRproから得られたデータを元にして、設備運用のシミュレーションを何度も行った結果、オール電化後の省エネ効果を正しく推定できることがわかりました。今後はさらに別の工場に設置して、設備の省エネに最適な運用を検討していかれるとのことです。

MSRproは、(株)エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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