エムエスツデー 2007年10月号

製品別情報

超薄形変換器M6Dシリーズに新機種をラインアップ
PCスペック形 直流入力リミッタラーム(形式:M6DXAS)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研では、世界最薄変換器注1)である、横幅 5.9 mm のユーロ端子接続形超薄形変換器 M6Dシリーズをご提供しています。表1 M6Dシリーズの一覧であり、機種の充実していることがおわかりいただけると思います。

 今回は、ご好評をいただいているこの M6Dシリーズの最新製品、PCスペック形 直流入力リミッタラーム(形式:M6DXASについて、その主な特長や機能をご紹介します。

表1 M6Dシリーズの一覧

製 品 名 称
形 式
アイソレータ M6DYV
電源なしアイソレータ M6DSN
直流入力変換器(PCスペック形) M6DXV
直流入力変換器(アナログ形) M6DVS
直流入力変換器(アナログ形、絶縁2出力) M6DWVS
カップル変換器(PCスペック形) M6DXT
測温抵抗体変換器(PCスペック形) M6DXR
ポテンショメータ変換器(PCスペック形) M6DXM
ディストリビュータ(アナログ形、絶縁付) M6DDY
CT変換器(クランプ式センサ入力形、絶縁付) M6DCTC
パルスアナログ変換器(絶縁付) M6DPA
直流入力リミッタラーム(PCスペック形) M6DXAS

 

1.外 観

 図1M6DXAS の外観です。黒色のケースは難燃性の黒色樹脂でできており、デザインもスタイリッシュです。前面パネルには、電源表示ランプ、状態表示ランプ、コンフィギュレータ接続用ジャックに加えて、警報動作時に赤色に点灯する警報モニタランプも搭載しています。警報状態が一目でわかるため、大変便利です。

 PC設定形であるため、シンプルでありながら、多彩な設定項目と使いやすい操作性を実現しています。

図1 M6Dシリーズの外観と寸法(PCスペック形)

2.性 能

 M6DXAS は横幅 5.9mm という超薄形構造をしていますが、他方その性能についてはこれまでの警報設定器をさらに向上させました。動作点精度は±0.05%、温度係数は±0.01%/℃以下です。リレーの定格負荷は AC250V 2A、DC30V 2A であり、十分な接点容量をもっています。

 入力信号については、直流電流(DC0 ~ 50mA)と直流電圧(DC−1000 ~ +1000mV、DC−10 ~ +10V)とを、本体側面にあるディップスイッチとコンフィギュレータソフトウェア(形式:M6CFG注2)によって選択できます。

 内部回路の入力−出力−電源間での絶縁抵抗は、DC500V で 100MΩ 以上あります。また、入力−出力−電源−大地間の耐電圧は、AC2000V 1分間を実現しています。

3.各種機能

 警報設定器の警報設定方法としては、本体にあるモニタピンにテスタを接続して、その指示値を見ながらトリマを調整して設定する方法、あるいは設定値を各桁ごとに対応するロータリスイッチによって設定する方法など、これまでに様々な方法がありました。それらの方法には、設定値の正確性、および多くの機器を設定する際に時間がかかるという問題点がありました。

 今回新たにラインアップした M6DXAS はPC 設定形であるため、図2に示すコンフィギュレータソフトウェアM6CFG)の見やすくて操作性の良い画面を使って、希望するパラメータの入力、そして多くの機器への簡単かつ正確な設定が可能です。

 コンフィギュレータソフトウェアM6CFG)は、他の PCスペック形の M6Dシリーズ製品にもお使いいただけます。コンフィギュレータソフトウェアを用いた詳細な設定機能例については、『エムエスツデー』誌2007年7月号をご参照ください。

図2 コンフィギュレータ画面

図3 警報時

 ここでは、警報機能に関する多彩な設定項目の一例をご紹介します。

 画面左上のバーグラフでは、入力状態や警報設定を視覚的に確認することが可能となっています。また、警報時には図3 に示すようにバーグラフが赤くなることによって、警報出力を知らせます。このバーグラフは、設置や定期点検などに際して、一時的な確認を必要とする場合に、モニタとしても活用できます。

 基本設定項目としては、ヒステリシス設定の項目が含まれています。また、電源 ON ディレー時間と警報 ON ディレー時間の項目もあり、電源投入後に異常検出を開始するまでの時間と、異常検出後に警報信号を出力するまでの時間を、0 ~ 999 秒の範囲で設定できます。

図4 ループテスト画面

 ほかに、ループテスト機能があります(図4)。出力固定ボタンをクリックすることで、任意に警報を ON もしくは OFF の状態にすることができます。設置や定期点検などに際し、接続した機器の動作を確認するため警報状態にする必要がある場合、配線を取り外し、信号発生器を用いて入力値を模擬値に変化させるという厄介な手順をとることなく点検が行えます。

 M6DXAS に設定したパラメータは保存しておけるため、将来の増設やリプレイスの際にも役立ちます。複数の機器に対して個別に多様な項目設定を行う場合には、保存や事前に用意したパラメータファイルを、ほかの M6DXAS へもダウンロードすることができるため、正確な設定が行え、さらに現場での作業時間を短縮することが可能です。

4.警報出力

 警報器については、電源が供給されなくなる故障の場合に、警報器の接点が OFF、ON どちらの状態になるのかを、アプリケーションごとにシステムの安全側を考えて選択する、フェールセーフ(故障時の安全性)対策が必要です。しかし、ご安心ください。M6DXAS は、警報器の励磁方向を選択することができるため、リレーが励磁の時に、接点 ON であるか、OFF であるかを、設置するシステムごとに使い分けられます。また、警報動作については上限、下限を選択することができるため、様々なアプリケーションにご使用いただけます。

 フェールセーフについての詳細は、『エムエスツデー』誌1994年8月号の計装豆知識「警報接点のフェールセーフ(Fail-safe)」をご覧ください。

5.規 格

 変換器の使用に際して、CEマーキングへの適応が求められている国や地域があります。もちろん、M6DXAS は電磁両立性指令(89/336/EEC)に適合しています。また、接点信号出力回路は低電圧指令(2006/95/EC)に準拠しているため、最高使用電圧 AC 250V で使用できます。

お わ り に

 今回ご紹介した M6DXAS 以外にも、様々な便利な変換器について機種の拡充を目指しています。M6Dシリーズに限らずに、こんな機能や性能をもった製品が欲しい、こんな形状の機種が欲しいといったお客様のご要望やご意見を、今後の開発に役立てていきたいと考えています。ぜひ、エム・システム技研のホットラインまでお聞かせください。

注1)2007年2月エム・システム技研調べ。
注2)コンフィギュレータソフトウェアは、エム・システム技研のホームページ(https://www.m-system.co.jp/)から無償でダウンロードしていただけます。M6DシリーズとPCとの接続には、専用のコンフィギュレータ接続ケーブル(形式:MCN-CONが必要です。

リミッタラームは、(株)エム・システム技研の登録商標です。


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