エムエスツデー 2007年6月号

Interface & Network News 2
No.13

SCADALINX HMI(SSDLX)とテレメータ
D3シリーズを使用したアプリケーション事例のご紹介

 今回は、トンネルの建設現場において濁水処理設備を監視する目的で採用された上位監視操作ソフトウェアとテレメータ製品について、アプリケーション事例をご紹介します。

濁水処理設備とは?

 濁水処理設備とは、工事現場内などで発生する工業用排水を通常の排水路に流せるようにするため、生活排水レベルになるようにpH値や水質を調える処理設備のことをいいます。この処理設備は、流入してきた泥を含む水に特殊な粒子を含んだ薬液を混ぜ、粒子が水の中にある不純物を取り込んで重くなり沈降する仕組みで、水と不純物(汚泥)をタンク内で分離させます。汚泥は重いのでタンクの下側に溜まって行き、それを吸い込んで粘土化する装置も別に付属させるのが通常です。

 水質が極端に酸性またはアルカリ性に片寄る場合は、付属の調整装置(pH処理装置)で中和してから流します。近年は、モルタル材や塗料・潤滑油などに高性能が要求されているため成分が複雑になり、単にpH調整するだけでは済まなくなってきているのが実情です。

システムの選定

 上記濁水処理設備の入出力信号としては、濁度、pH、流量、レベルなどのアナログ値が数点のほか、高タンク水位異常警報などのステータス信号が数点あります。従来は、データ入出力ユニットを利用し、テレメータにて伝送した信号を上位監視システムへハードワイヤリングで接続してシステムアップされていました。この場合、信号の点数が多くなると配線工事に関わる工数も多くなり、何とか工数を低減する方法はないかと模索されていました(図1)。

 図1 従来のテレメータシステム構成

 対策として、テレメータと上位監視システムが一体になったシステムを探されていたところ、エム・システム技研のテレメータ D3シリーズと監視操作ソフトウェア SCADALINX HMI(形式:SSDLXを組み合わせれば、ネットワーク経由にてデータ伝送ができることを承知され、また、コストパフォーマンスに優れている点にも着目されてご採用いただきました(図2)。

 図2 SCADALINX HMI(SSDLX)とD3シリーズを使用したテレメータ監視システムの構成

構 成

 テレメータ D3シリーズは、1対1 のテレメータはもちろんのこと、1対 n のテレメータにも対応しています。マスタ局(親局)側では、上位通信カードを用い、オープンネットワークを利用して上位接続することができます。パソコンへデータを取り込む場合は、オープンネットワークの Modbus/TCP に対応する通信カード(形式:D3-NE2を用いることによって上位PCとのEthernetによる接続が可能であり、監視操作ソフトウェアとしてもSSDLX を使用できます。

 SSDLX は、パソコンを使用した監視・操作システムを構築するためのパッケージソフトウェアです。パソコン利用のWebブラウザ(Internet Explorer6.0)にて監視画面を表示でき、Webブラウザ表示でありながらリアルタイムで表示データの更新を行います。画面としても、トレンド、アラームサマリ、制御グループ、グラフィックなどの画面があり、容易にシステム構築ができるようになっています。

 今回は、テレメータ D3シリーズ SSDLX を使用したテレメータ監視システムをご紹介しました。

 今後も、お客様からのご要望にお応えして、機能の追加、充実を図っていきたいと考えています。ご愛顧のほどよろしくお願いします。

*SCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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