エムエスツデー 2007年3月号

PCレコーダの納入実例
No.18

食品会社向けの殺菌装置に採用された
チャートレス記録計システム

 今回ご紹介するのは、カレー粉などの食品原材料(粉末)を殺菌する装置に組み込まれたチャートレス記録計システムの納入実例です。このシステムは、粉末を一定の温度まで加熱して殺菌する際の、温度と経過時間の記録を残すために利用され、国内の大手食品メーカーのほか、海外の食品工場にも納入されています。

 従来は一般的なチャート式の記録計が使われていましたが、粉末を攪拌する際に発生する殺菌機本体の振動が大きいために、記録計のメカ部分にトラブルが多かったこと、また実際に殺菌機を使用している食品会社の方からは、紙の使用量を削減するためにチャートレスタイプの記録計を導入してほしいというご要望が多く寄せられていたため、エム・システム技研のチャートレス記録計システムが採用されました。

 チャートレス記録計システムの一番の特徴は、その名のとおりチャートが不要であることです。このシステムでは、従来、チャートに記録されていたデータは着脱式のCFカードに保存されます。パソコンに記録データを転送したいときはCFカードをチャートレス記録計本体(形式:73ET74ET75ET)から抜き取り、パソコンに接続することでデータ転送が行えます。また、構内LAN(Ethernet)に接続可能であれば、LANを経由してパソコンに記録データを転送することも可能です。パソコンに転送された記録データは、73ET74ET75ET に付属しているパソコン記録計ソフトウェアPCレコーダソフト(MSR128)を使用してトレンドの再現表示などが行えるほか、Microsoft Excelなどの表計算ソフトで解析することもできます。

 73ET74ET75ET では、最大128点の信号を記録することができ、操作はタッチパネルを使って行えるようになっています。基本構成では本体と信号入力用のリモートI/Oを個別に設置するようになっていて、エム・システム技研の幅広いリモートI/Oシリーズの中から、装置の規模やセンサの種別に応じて選択することができます。たとえば、数点の信号を取り込む場合はR1Mシリーズ、信号の種別が多種ある場合はR5シリーズ、多点の信号を取り込む場合はR3シリーズといったように、用途に合わせたシステム構成を実現できます。

 さらに海外向けの物件にも対応できるように、73ET74ET75ET には日本語版と英語版の2タイプを準備しています。付属ソフトウェアのMSR128にも英語版を準備していますから、海外のお客様が記録データの再現や解析を行う際にも違和感なくお使いいただけます。

 実際に、このチャートレス記録計システムをご導入いただいたお客様からは、従来のチャート式の記録計と比較してメンテナンスが簡単になり、インク代やチャート代などのランニングコストも大幅に削減できたというご意見をいただいています。さらに、パソコンによるデータ解析が容易になり、従来の方式と比較して作業効率が大変良くなったという高いご評価もいただいています。

図1 チャートレス記録計システムの構成例

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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