エムエスツデー 2007年2月号

お客様訪問記

御坊市の浄水場遠隔監視システムに採用された
SCADALINX HMIとWebロガー

(株)エム・システム技研 システム技術部

 御坊市は和歌山県のほぼ中央に位置する田園都市であり、温暖な気候と良い自然環境に恵まれ、豊富な歴史的・観光的資源をもつ紀中の文化・経済・交通の中核都市です。

 「御坊市」の名前の由来は、市の繁栄の拠点であった日高別院を土地の人々が尊崇し、「御坊様」と呼んだことからきています。市内に古墳群や史跡が数多く残され、市の中央部を流れる水量豊かな「日高川」は四季を通じて釣り人で賑わいます。河口に広がる県下一の干潟は野鳥の休息地であり、また初夏には市の木に指定されている天然記念物「ハマボウ」が美しい黄色の花を咲かせ鮮やかな景観美を創り出しています。

 今回は、この御坊市にある御坊市水道事務所を訪問しました。

図1 御坊市の浄水場遠隔監視システム

図1 御坊市の浄水場遠隔監視システム[拡大図

[エム・システム技研、以下エムと略称]御坊市水道事務所では、どのようなエム・システム技研製品をご使用いただいていますか。

[吉田]まず第1に、PCレコーダを使用して水質および流量を監視しています。

 以前はチャート式記録計を使用し、PCへのデータ入力は記録紙からデータを読み取っての手入力に頼っていました。しかしPCレコーダを導入したことによって、データがPCに直接蓄積されるようになり、運転管理上のシミュレーションを迅速に行えるようになりました。

 また、監視員が定時刻に運転日誌の記録を行いますが、定時刻データの画面保持機能がPCレコーダソフトMSR128)にはないため、プログラミング言語VB(Visual Basic)でプログラムしています。MSR128の文字は小さいため、数値表示を任意に大きい字で見られるようにするためVBで組んだマクロ(自動処理手順)が役立っています。

図2 藤井浄水場にある監視盤と盤内に設置されたPCレコーダ

 第2に、現場設置形のWebロガーを使用しています。

 藤井浄水場系の富安中継所には、以前はテレメータ設備がなく、シーケンスによる自動運転にまかせていました。安定供給という観点から監視が必要であると考え、テレメータ設備の導入を検討し、費用の面から今回はWebロガーを採用しました。  現場側に監視盤を設置し、藤井浄水場に設置したPCからADSL回線を介してWeb監視が行える設備にしました。ポンプの運転状況や配水池の水位、その他故障警報など、様々な情報が管理できる設備になりました。

図3 富安中継所の監視盤と盤内に設置されたWebロガー図4 Webロガーの監視画面

[坊]今回現場に設置した監視盤は、御坊市水道事務所が直接設計・製作・設置を担当しました。仕事の合間に製作したため完成までに日数がかかりましたが、知識や技術の向上にも役立ち、費用も外部委託より1/2程度安価にできました。

[吉田]第3に、HMIソフトウェアSCADALINX HMI(形式:SSDLXリモートI/O R3シリーズを使用しています。

 野口浄水場およびその水系である第二工業団地中継所、名田中継所、上野工業団地中継所については、テレメータ設備を使って野口浄水場で監視を行っています。さらに野口浄水場を含むその水系のすべてを藤井浄水場でも監視できるよう設備の導入を進めています。全信号は約350点です。中継所など監視場所が点在していますが、ADSL回線を使用し、すべてがLANとして各地点がリンクするため大変便利です。リモートI/O R3シリーズを使って信号を取り込み、藤井浄水場、野口浄水場の各PCから SCADALINX HMI を使ってサーバ・クライアント方式で監視をする設備になります。

[若崎]御坊市の浄水場は、藤井と野口の2箇所で個々に運転監視を行っています。今回、エム・システム技研のSCADALINX HMI を導入した理由としては、藤井浄水場での運転監視の一元化、帳票データ作成の効率化、維持管理費の低減、将来監視する設備が増えたときの容易な対応などが挙げられます。

[エム]導入されていかがでしたか。

[吉田]これほどまで安価にできるとは思いませんでした。毎月『エムエスツデー』を見ていて、実際に導入してみましたが、従来であれば予算がおりない状況でしたが、本当に助かりました。

[エム]今後もエム・システム技研をよろしくお願いします。お忙しいところ、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

本稿のシステムについての照会先:
(株)エム・システム技研
システム技術部

SCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。


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