エムエスツデー 2006年11月号

製品別情報

Webブラウザ対応監視ソフト
SCADALINX HMI Ver.3(1)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 現在販売している、Webブラウザ対応サーバ・クライアント形SCADAシステム用HMIソフトウェア「SCADALINX HMI(形式:SSDLX」Ver.2は、おかげさまで大変ご好評をいただいています注1)

 なお発売以来、SCADALINX HMI の機能の追加に関して多くのご意見をお客様からいただいてきました。

 エム・システム技研では、これらのご要望にお応えして、このほどVer.3を開発しました。本稿では、追加された機能のうちからデータチェック機能付きプロセスタグインポート/エクスポートソフトの機能についてご紹介します。

1.機能概要

 計測機器のI/Oチャネル、またはL-Bus機器の計器ブロックを表すSSDLX プロセスタグの設定は、Ver.2ではSCADALINX HMI パッケージのソフト「システムビルダ」によって行っています。ガイド表示に沿って操作するだけであり、容易に設定できます。

 しかし、SCADALINX は豊富な機能をもっているため、1つのタグについて70個以上の項目を設定する必要があります。SCADALINX では、プロセスタグは最大10,000個まで使用できます。これらすべての項目をインタラクティブ操作で設定するには多くの工数を必要とします。Excelファイルを使ってタグ設定内容をコピーし、必要な部分だけを変更するのみで設定できれば、はるかに効率がよくなります。

 一方、この方式では効率は非常によくなりますが作業ミスが発生しやすく、またチェックが厄介になります。したがって、データの正当性チェック機能とその間違い箇所を容易に判別できることがポイントとなります。

図1 インポート/エクスポートソフト

 図1に、今回開発したデータチェック機能付きインポート/エクスポートソフトの設定画面を示します。各部分の機能は下記のとおりです。

 図1(1):SCADALINX のデータベースサーバにあるプロセスタグのデータをExcelファイルにエクスポートします。

 図1(2):Excelファイルに入力されたプロセスタグのデータを SCADALINX データベースサーバにインポートします。

 図1(3):インポートを行うExcelファイルのプロセスタグデータの正当性をチェックします。

 図1(4):ソフトを閉じます。

 図1(5):内部処理状況を示します(実際に示したのは、状況の一例です)。

2.プロセスタグデータのエクスポートとインポート

 図2 に、ソフトの内部構成を示します。SCADALINX は、データベースサーバにMicrosoft社が無償提供しているSQL Server Desktop Engineを使用しています。ソフトの処理速度は、常に本開発で工夫を要する点になります。

 また、本ソフトはExcel関連アプリケーションですが、ユーザーがSSDLXサーバにExcelソフトをインストールしなくてもインポート/エクスポート機能が使用できます注2)

図2 ソフトウェア内部構成

 図3に、エクスポートされたExcelファイル(xlsフォーマットファイル)を示します。1行目にプロセスタグ設定項目を示します。2行目から1行ごとに1プロセスタグのデータを記述します。

 Excelツールを用いると、新規タグデータの追加や既存タグデータの変更などが容易に行えます。またタグ数が多い場合にも、簡単に編集できます。編集済みExcelファイルデータは、インポートボタンによって一括してSCADALINXデータベースに反映されます。インポートした後に、システムビルダによって新しいタグデータの確認や変更などもできます。

 インポート/エクスポートの所要時間は、新規タグ10,000個をインポートするときの所要時間で見ると約1分です。エクスポート時間は、10,000タグに対して約1分です注3)。インポート/エクスポート機能を使用すれば、プロセスタグの新規作成や変更を短時間で容易に行えます。

図3 Excelファイル

図5 問題のあったExcelファイル

3.インポートデータチェック機能

図4 データチェック画面

 Excelによって編集したデータが正しいかどうかのチェックも簡単に行えます。

 データチェックボタンを押すと、図4に示す画面が表示されます。Excelファイルを選択するだけでデータチェックが行われます。

 まったく問題がなかった場合、“データチェック終了。インポートファイルは問題ありません。”というメッセージ・ダイアログが表示されます。

 なんらかの問題があった場合、“データチェック終了。インポートファイルに問題があります。”というメッセージ・ダイアログが表示されます。Excelファイルを開くと問題部分の背景がピンク色で塗りつぶされて表示され、一目で問題箇所が識別できるため、修正作業を効率的に行うことができます。

 図5に、問題のあるExcelファイルを示します。タグ名に*を使用してはいけないため、問題データについてはピンク色でユーザーにお知らせします。

お わ り に

 以上 SCADALINX HMI Ver.3のデータチェック機能付きインポート/エクスポートソフトについてご説明しました。この機能により、SCADALINX のエンジニアリング効率は大きく向上します。

 次回も引き続き、SCADALINX HMI Ver.3に付加された新機能についてご紹介する予定です。

注1)SCADALINX HMI Ver.2については 『エムエスツデー』誌2006年45月号でご紹介しています。
注2)Excelファイルデータのチェックを行 う場合には、Excelソフトのインストールが必要です。
注3)テスト用パソコン: Microsoft Windows XP Professiona SP2 CPU Pentium(R)4 2.4GHz  RAM 512MB

SCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。


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