エムエスツデー 2006年10月号

製品別情報

オープンネットワークに接続できる
チャートレス記録計(形式:73VR3100)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研では、従来のチャート紙を使用する記録計からのリプレースを目的として、現場設置形のチャートレス記録計本体(形式:73ET74ET75ET注1)、入力カード選択形チャートレス記録計(形式:73VR3000注2)、入出力一体形チャートレス記録計(形式:73VR2102、2104、2106注3)と機種を揃えて参りました。

 そして今回は、新たに加えた入力カード選択形 TFT液晶 チャートレス記録計(形式:73VR3100)についてご紹介します。

 その主な仕様は、表1をご覧ください。

図1 73VR3100の外観と寸法

表1 73VR3100の主な仕様

表示部仕様表示デバイス5.5型 TFT液晶
表示色 256色
解像度320×240ドット
ドットピッチ0.12×0.35mm
バックライト冷陰極管
インタフェース部仕様 EthernetIEEE802 および IEEE802.3規格準拠
10BASE-T/100BASE-TX(自動切換)
IPアドレス 192.168.0.1(工場出荷時)
CFカードスロット 1スロット(Typeに対応)
動作電圧 3.3Vカード対応
入出力部R3シリーズ用I/Oカードを最大4枚まで装着可能(表24 参照)
入出力チャネル最大64チャネル
演算チャネル最大64チャネル
収録周期20ミリ秒、100ミリ秒、0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、1分、10分
保護等級IP65準拠(前面)
外形寸法144(W)×144(H)×245.1(D)mm
質  量約2.3kg(入出力カードを除く)

1. 形 状

 73VR3100では、様々な種類の入力信号を目的に応じて効率よく経済的に選んでいただけるように、エム・システム技研のリモートI/O R3シリーズの入出力カードを、背面に最大4枚まで装着できる構成となっています(対応する入出力カードについては、表2 をご参照ください)。

表2 装着可能な入出力カード(最大4枚まで)

 入出力種別
形 式
備  考
対応サンプリング速度
20ミリ秒
100ミリ秒
0.5秒~
直流電流入力 R3-SS4 4点(絶縁)直流電流入力
R3-SS8 8点(絶縁)直流電流入力
×
R3-SS8N 8点(非絶縁)直流電流入力
×
R3-SS16N 16点(非絶縁)直流電流入力
×
直流電圧入力 R3-SV4 4点(絶縁)直流電圧入力
R3-SV4A 4点(絶縁)mV対応 直流電圧入力
R3-SV4B 4点(絶縁)高電圧 直流電圧入力
R3-SV8 8点(絶縁)直流電圧入力
×
R3-SV8A 8点(絶縁)mV対応 直流電圧入力
×
R3-SV8B 8点(絶縁)高電圧 直流電圧入力
×
R3-SV8N 8点(非絶縁)直流電圧入力
R3-SV16N 16点(非絶縁)直流電圧入力
×
熱電対入力 R3-TS4 4点(絶縁)熱電対入力
×
×
R3-TS8 8点(絶縁)熱電対入力
×
×
測温抵抗体入力 R3-RS4 4点(絶縁)測温抵抗体入力
×
×
R3-RS8 8点(絶縁)測温抵抗体入力
×
×
ディストリビュータ R3-DS4 4点(絶縁)2線式伝送器用電源付
ディストリビュータ入力
R3-DS8N 8点(非絶縁)2線式伝送器用
ディストリビュータ入力
×
交流電流入力 R3-CT4 4点(絶縁)交流電流入力
×
×
R3-CT4A 4点(絶縁)
クランプ式交流電流センサCLSA用
×
×
R3-CT4B 4点(絶縁)
クランプ式交流電流センサCLSB用
×
×
R3-CT8A 8点(絶縁)
クランプ式交流電流センサCLSA用
×
×
R3-CT8B 8点(絶縁)
クランプ式交流電流センサCLSB用
×
×
交流電圧入力 R3-PT4 4点(絶縁)交流電圧入力
×
×
パルス入力 R3-PA2 2点 速度・位置パルス入力
×
×
R3-PA4 4点(絶縁)高速パルス入力
×
×
R3-PA4A 4点(絶縁)高速積算パルス入力
×
×
R3-PA16 16点(絶縁)積算パルス入力
×
×
接点入力 R3-DA16 Di16点(入力電源内蔵)接点入力
接点出力 R3-DC16 Do16点(リレー)接点出力
×
×
  注)各カードの仕様につきましては、個別の仕様書をご覧ください。
○:対応 ×:未対応

 また、R3シリーズのオープンネットワーク対応通信カードを背面に装着することによって、各社のPLCと接続できるようになります(なお、装着できる通信カードは最大1枚であり、かつ、これを装着した場合、装着可能な入出力カードは最大3枚になります)。各社PLCとの接続については、5項で紹介させていただきます。

 5.5型TFT液晶を前面中央に配置したにもかかわらず、パネルカット寸法を従来の144mm角記録計に対応させていますので、チャート式小形記録計からのリプレースも容易に行えます。

2.高速サンプリングと データ保存

 73VR3100では、20ミリ秒、100ミリ秒の高速サンプリングモードと、500ミリ秒の通常サンプリングモードを用意しました。サンプリングしたデータは、収録周期に従ってCFカードに保存します。

 また、データ収録を継続しながら、CFカードを交換する活線挿抜が可能です。

3.演算機能

 測定データに対し、リアルタイムに演算処理を行います。演算の種類としては、四則演算、論理演算、関数、積算、フィルタ、ピークホールドをご利用いただけます。

 演算の種別一覧を表3に示します。

表3 演算の種別一覧

分 類
演算の種類
四則演算 加減算、乗算、除算
論理演算 論理積、論理和、否定、排他的論理和
関  数 開平、累乗
積  算 アナログ積算、パルス積算差分
フィルタ 一次遅れ、移動平均
ピークホールド ピークホールド(最大)、ピークホールド(最小)

4.MSR128-V5による リアルタイムモニタ機能

 PCレコーダソフトMSR128-V5)を使い、Ethernetで接続することによって、パソコンでのリアルタイム監視が可能です(図2)。

図2 システム構成図

 また、MSR128-V5からの要求により、73VR3100で収録したデータをMSR128-V5で読み込めるファイル形式に変換することによって、MSR128-V5がもつ履歴データ表示や印刷などの機能をご使用いただけます。

5.各社PLCへの接続

 リモートI/O R3シリーズの通信カードを73VR3100の背面に装着し、ネットワーク接続することにより、73VR3100に入力された信号をPLCへの入力データとして使用できます(対応する通信カードについては表4をご参照ください)。

表4 対応する通信カード一覧

形 式
備 考
R3-NC1-N CC-Link(アナログ16点対応)
R3-NC2-N CC-Link(アナログ32点対応)
R3-NC3-N CC-Link(Ver.2対応)
R3-ND1-N DeviceNet(アナログ16点対応)
R3-ND2-N DeviceNet(アナログ32点対応)
R3-ND3-N DeviceNet(アナログ64点対応)
R3-NE1-N Modbus/TCP(Ethernet)
R3-NF1-N Tリンク(富士電機製)
R3-NM1-N Modbus
R3-NP1-N PROFIBUS-DP
R3-NL1-N LONWORKS(アナログ16点対応)
R3-NFL1 FL-net(OPCN-2)

 R3シリーズの通信カードを使うことによって、CC-Link や DeviceNet など8種類の通信プロトコルに対応できます。入力カードを経て取り込んだデータは、通信カードを介してPLCに送信されます。同時に、73VR3100自体でもこれらのデータを収録するため、73VR3100がもつ記録、監視、検索などの機能を使って、PLCへの送信データの監視が容易に行えます。

 また、測定データに対応して警報を出力したり、背面のLANポートとパソコンを接続することによって、MSR128-V5を使ってのデータ監視が可能です(図2)。

  73VR3100に装着した出力カードに対してPLCからデータを出力することはできないので、ご注意ください。

6.その他の機能

 73VR3100は、パスワードを設定することによって、トレンド画面、バーグラフ画面、オーバービュー画面からの操作を禁止する「パスワード機能」、ハングアップなどのトラブルが発生した場合に出力カードへ警報出力する「異常時出力機能」なども備えています。

お わ り に

 エム・システム技研は、これまでにいろいろな種類のチャートレス記録計を発売して参りました。これらの記録計を用途、使用条件に応じてお使い分けください。また、今後も多くのお客様にご満足いただけるよう、さらなる機種の充実に努めて参ります。どうぞご期待ください。

注1)73ET、74ET、75ETについては『エム エスツデー』誌2005年7月号をご参照ください。
注2)73VR3000については『エムエスツデー』誌2005年9月号2006年6月号をご参照ください。
注3)73VR2102、2104、2106ついては『エムエスツデー』誌2006年7月号をご参照ください。


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