エムエスツデー 2006年5月号

『エムエスツデー』 創刊14周年のごあいさつ

代表取締役会長 宮道 繁 宮道 繁
(株)エム・システム技研 代表取締役会長

  『エムエスツデー』読者の皆様、こんにちは。月日の経つのがますます速く感じられるのはなぜでしょうか。『エムエスツデー』について、創刊13年のごあいさつを書いたのが、ついこの間のように思われます。

 でもその間には、世界では数々の大変な自然災害が発生し、「インド洋大津波」や、「ハリケーンカトリーナ」などがすぐに思い浮かびます。この冬は、地球の温暖化が心配されているにもかかわらず、我が国では日本海側の地域が大雪に見舞われ、雪の下敷きになった犠牲者が、いまだにニュースで伝わってきます。

 経済に目を移しますと、バブル経済の崩壊以来ようやく市場に活気が出てきて、国民総生産が安定的に成長期に入ったといわれています。日銀のゼロ金利政策が続き、一方では預金者に支払うべき金利が銀行側に移転して、銀行の不良債権処理が進んだのだという見方もあれば、もう一方では、高度成長経済の時代からずっと貿易黒字を続け、世界最大の海外資産を持つようになった日本が、ゼロ金利の通貨を世界に向けて供給し続けることで、世界の景気の上昇を支えたのだという意見まであります。いずれも、なるほどとは思いますが、いずれにせよ、日常の経済活動からは、日本の企業活動は確実に好循環に入っていることを実感しています。

 エム・システム技研におきましては、前決算期までは、過去最高の営業成績を上げたといっても4~5%の成長であったのですが、昨年10月に始まる35期で、営業成績が久しぶりに前年同月比で10%を超える月が目立つようになってきました。

 中でも特筆できますのは、いまだに変換器の市場が拡大を続けていることです。新しい小形高密度実装形の変換器の成長は当然なのですが、10年以上前に販売した変換器群についての、リプレース需要がここへ来て盛り上がっています。これはまさに、エム・システム技研が、工業計器メーカーとして責任メーカーであることを主張する意味もあって、「ひとたび発売した変換器は決して廃形にしません」と30年以上言い続け、守り続けてきたことが、ユーザー各位に評価されたのだと大変嬉しく思っています。

 エム・システム技研の創業商品である「M・UNIT」変換器シリーズと、「エム・レスタ」避雷器シリーズは、今も健在で主力商品シリーズの上位を守っています。

実量表示機能付きM・UNITシリーズ

 30年と言えば、ほとんどの商品は世代交代をしてゆくものと思うのですが、工業計器の機能部品としての変換器は、根強い需要に支えられています。とくに、取り扱う信号がアナログであるということも、大きく寄与しているのではないでしょうか。この間、テレビ受像機からはブラウン管が消え、大形の液晶やプラズマディスプレイに変わりました。

 カメラの世界もすっかりデジカメの時代になりました。パソコンに関しては、想像を絶する変貌を遂げました。半導体技術が躍進し、通信技術も日進月歩で工業計器の中にも通信技術が浸透し、エム・システム技研も、Modbus、 PROFIBUS、CC-Link、DeviceNet などを通信手段とする、通信機能付アナログ変換器(リモートI/O と呼んでいます)を発売し、急速にマーケットが立ち上がってきています。しかしこれらが、変換器の売上規模になるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

 変換器は、工業プラントの自動化、高性能化を果たすために発展してきた、計装システムを支えるコンポーネントと位置付けて市場開拓をしてきたつもりですが、今ではその他の用途に、より多くの需要を見つけて、現在に至っているように観察しています。

 たとえば、空調設備や気象観測システム、電力監視システム、公害監視システム、農業(きのこ栽培、ビニールハウスなど)、半導体生産設備、流通、保管システムなど限りがありません。

 エム・システム技研は、古典的アナログ技術、電空変換技術、電子式アクチュエータ技術などを磨き続け、いつまでも、ユーザー各位が安心して設備設計、設備管理を進めていただける、頼りになるメーカーとして発展を続けてゆきたいと考えております。

 これからも変わらぬご声援のほど、よろしくお願い申しあげます。

エム・レスタは、エム・システム技研の登録商標です。


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