エムエスツデー 2006年1月号

MICONEX 2005を終えて

(株)エム・システム技研 海外第1営業部

 最近公表された2005年9月の中間決算報告では、日本の上場企業の業績平均は絶好調であり、過去最高益を更新する企業が相次いでいます。不動産や小売り、情報通信など、内需関連企業が健闘する一方、中国による外需増も大きな要因と分析されています。中国は今、世界最後の成長センターとして好景気が続いており、その中でもとりわけ経済の牽引車的な存在となっているのが、上海を中心とする長江デルタ地区です。上海はこの数年集中的にインフラが整備されて、外資系企業が約2万4千社進出しています。日系企業の投資も盛んで、常駐日本人が4万人以上いるといわれています。

 エム・システム技研も、昨年10月に上海に初めて事務所を設立しました。

 日本の景気が好調なこの9月に、アジア最大のプロセス自動化展「多国儀器儀表展覧会(MICONEX 2005)」が、今年はここ上海で開催されました。

出展各社の動向(海外企業)

MICONEX 2005会場

 今年も例年どおり、世界各国からいろいろな企業が参加しました。出展企業540社の内、190社は外国関連の企業でした。出展した国際企業に関していえば、展示規模は例年より大きくなったのが印象的です。2階建てのブースはもちろん、今回は3階建てのブースまで出現しました。昨年エム・システム技研の隣りで小さく展示していた米国の変換器メーカーM社は、4倍のスペースを確保し、2階まで届くような際立った看板を使用していました。各社の中国に対する意気込みと展示技術のレベルアップが感じられます。一方、出展者側だけでなく、来場者に関しても、例年以上に海外からのお客様が多いと感じました。エム・システム技研のブースにも、センサから防爆ケースなどまで、様々な製品を売り込もうとする東欧や北欧の多数のメーカーの来訪がありました。この展示会は出展者だけでなく、外国からの来場者も営業の場としての認識を高めつつあるようです。それは中国市場に寄せる各企業の期待の高さを示す一方、それだけ中国市場の競争の激しさをも物語っています。

出展各社の動向(ローカル企業)

 中国国内企業では、HOLLYSYSや SUPCONなど一部の大手DCSメーカーが、国際館にそれぞれ一席を占めて見栄を張った大規模の展示で外国勢と競い合うものもありますが、全体的には外国企業に比べると展示は素朴なものになっています。

 国際館には世界のある一定水準以上の会社が集まっているのに対し、ローカル館は展示企業数が多く、レベルもまちまちです。信号変換器一つを取って見てもローカルメーカーが多数出展しており、クオリティのバラツキが目立ちます。外国メーカー並みの品質を誇る製品を作る一方、コストダウンを追求するあまり、製品の寿命が公称保証期間もたない製品や、仕様書上の性能を満たさない製品を提供するメーカーも多いとよく耳にします。

 一方、セールスの話題作りに、ちょっとした付加機能を盛り込むローカルメーカーも少なくありません。よく見かけるのは避雷素子内蔵の変換器です。ローカルメーカーは、それなりの工夫をしているので面白いと思います。また変換器のケースを専門に作る会社や、中身だけを供給する会社も出展しており、コンピュータのDIYショップのように、まるでコンポーネントを集めて組み立てれば誰もが自分のブランドで業界参入できる様相がうかがえます。そのため、中国ローカルメーカー間での競争はもっともっと熾烈です。

エム・システム技研ブースの特徴

エム・システム技研ブース

 今回の展示会では、エム・システム技研は従来の信号変換器以外にも、リモートI/O避雷器PCレコーダ電力監視システムなどを展示しました。その中でとくに、リモートI/Oのようなシステム製品、表示付一体形のPCレコーダ、超薄形避雷器が来場者の注目を浴び、エム・システム技研ブースを訪れたお客様1000名以上から多くの質問や問合せを受けていました。

 ここ数年、中国の生産技術の進歩に伴い、計装のコンセプトは中国人エンジニアにもだいぶ浸透し、認識されつつあります。代表的な例は避雷器です。昨年の展示会では、まだ避雷針と混同する方がいたのに対して、今年は明らかに避雷器の認識が深まったことを肌で感じました。

 このような環境変化のせいでしょうか、今年の夏エム・システム技研の「寿命モニタ機能付避雷器」は中国の石油パイプライン・ジョブで大量に採用されました。今回の展示会でも寿命モニタ機能付避雷器は多くのお客様から注目を集めました。

*   *   *

 エム・システム技研としては、今回を含めて4回目のMICONEX出展となりますが、今回は実際に中国に事務所を設けてから初めてのイベントということもあり、例年と違ってローカル販売店各社様だけでなく、上海に進出した日系の販売店各社様からもブースでの説明応援など多大のご支援をいただき、誠に感謝しております。

 そういう意味でも、今回の展示会は単に中国のお客様への製品PRの場としてだけではなく、中国に進出するにあたって、日系販売店の皆様と一緒になって共に汗をかいて協力していくための絆を固める場ともなったと思います。

 これからも現地サービスの向上に努めて参りますので、ご愛顧のほどどうぞよろしくお願いします。


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