エムエスツデー 2005年10月号

製品別情報

リモートI/O R3シリーズ新製品
警報カードと高速パルス、エンコーダパルス入力カード

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 R3シリーズ エム・システム技研がリモートI/O R3シリーズを発売してから1年が過ぎました。発売当初からご好評をいただき、誠にありがとうございます。また、「こんな入力には対応できないか?」というような具体的ご要望もたくさんいただいてきました。そして、少しでもご要望にお応えするため、入出力カードの機種や通信カードの機種の拡充に努めて参りました。

 今回は、新しく開発した警報カード、高速パルス入力カードおよびエンコーダ(2相)パルス入力カードについてご紹介します。

1.警報カード

 アナログ入力をPLCなどに取り込み、正常/異常を判定させることは、現在のPLCでは容易に行えます。しかし、PLCのプログラム領域には限りがあり、節約する必要が出てくることもあります。そのような場合に、アナログ入力の上限下限警報のような比較的簡単な処理をR3シリーズの入力カードで行い、正常または異常の状態を接点信号としてPLCに送ることによってPLCの負担を減らせます。またアナログ信号のデータを伝送する場合と比べ、接点信号を伝送する場合、PLCのデータ転送処理などにかかる負担は軽くなります。このような考えから、R3シリーズの警報カード(形式:R3-A□4)を開発しました(表1)。アナログ入力のI/Oカードではありますが、PLCに対しては入力の警報状態を出力するため、接点入力カードと同じように取り扱え、PLCのラダープログラムなどは非常に簡単になります。

表1 警報カード

製品名称
形 式
入力点数
直流電圧入力警報カード 直流電圧 絶縁4点入力(−10V~+10Vなど)
直流電流入力警報カード 直流電流 絶縁4点入力(DC4~20mAなど)
熱電対入力警報カード 熱電対 絶縁4点入力(K熱電対、E熱電対など)
測温抵抗体入力警報カード 測温抵抗体 絶縁4点入力(Pt100、Ni508.4など)
ディストリビュータ入力警報カード ディストリビュータ 絶縁4点入力(DC4~20mA)

(1)警報点数
 これらの製品は、各アナログ入力ごとに4点の警報点を設定することができます。すなわち、各アナログ入力ごとに上上限、上限、下限、下下限などとして用いることができます。また、4点のアナログ入力間は絶縁されているため、たとえば、ノイズが多い入力を接続しても、他の入力に影響が出るようなことはありません。

(2)ヒステリシス
 警報をOFFにする入力値を設定する際に使用します。上限警報の場合、警報点−ヒステリシスで警報がOFFになります。また、下限警報の場合は、警報点+ヒステリシスで警報がOFFになります。
 たとえば、入力が警報点付近で変動すると、警報がON/OFFを繰り返すことがあります。しかし、警報をOFFにする点を設定することによって、そのような異常動作を防ぐことができます。

(3)警報ONディレータイマ
 入力が警報点を超えてから、警報が実際にONになる時間を設定できます。

(4)警報保持タイマ
 警報がONになってからOFFに戻るまでの最低時間を設定できます。警報状態はPLCに周期的に伝送されています。このため、警報のONの時間が短いと、タイミングによってはPLCに警報ONの状態が伝わらない場合があります。そのような場合、警報保持タイマを周期的伝送時間間隔より長く設定することによって、警報ONの状態を確実にPLCに伝えることができます。

図2 R3-AV4のブロック図

2.高速パルス入力

 次に、高速パルス入力(周波数測定)用I/Oカードをご紹介します。

 高速パルス入力カード(形式:R3-PA4)は、入力される最大4点までのパルス信号の周波数を測定する入力カードです。4点の入力は互いに絶縁されていて、それぞれ他の入力の影響を受けずに測定できます。

(1)対応する周波数レンジ
 0~100kHz、0~10kHz、0~1kHz、0~100Hz、0~10Hz、0~1Hz、0~0.1Hzに対応します。
 各入力ごとに、側面のディップスイッチによって周波数レンジを切り替えることができ、各レンジにおいて0~10000の値に変換します。

(2)対応するパルス入力信号の種類
 電圧パルス(0~50V、0~10V、0~5V、0~1V)およびオープンコレクタパルスを入力することができます。

(3)センサ用電源
 DC12V、DC15mAのセンサ用電源を各入力ごとに備えています。

図3 R3-PA4のブロック図

3.高速パルス積算入力

 高速パルス積算入力カード(形式:R3-PA4A)は、入力間絶縁の積算パルスを最大4点まで扱える入力カードです。

 2005年の初めに積算パルス入力カード(形式:R3-PA16)という16点までのパルス数を積算するI/Oカードを発売しています(対応できる周波数は100Hzまで)。

 これに対し、新製品R3-PA4Aは100kHzまで対応できます。

(1)積 算 値
 出荷時の設定では1~1億までカウントします。

(2)対応するパルス入力信号の種類
 電圧パルス(0~50V、0~10V、0~5V、0~1V)およびオープンコレクタパルスを入力することができます。

(3)センサ用電源
 DC12V、DC15mAのセンサ用電源を各入力ごとに備えています。

4.エンコーダパルス入力

 最後に、エンコーダパルス入力から位置と速度を同時に測定するI/Oカードをご紹介します。

 速度・位置入力カード(形式:R3-PA2)は、警報接点出力(オープンコレクタ)付きのエンコーダパルス(2相パルス)2点入力カードです。周波数(符号付き速度)と位置を同時に測定することができます。

(1)周波数レンジ
 0~100kHz、0~10kHz、0~1kHz、0~100Hz、0~10Hz、0~1Hz、0~0.1Hzに対応します。
 各入力ごとに、側面のディップスイッチによって周波数レンジを切り替えることができ、各レンジにおいて0~10000の値に変換します。

(2)入力信号
 高速インタフェースRS-422の2相パルスに対応しています。

(3)位 置
 出荷時の設定では±1億までカウントします。

(4)警報出力
 各入力ごとに2点の警報出力(オープンコレクタ)を備えています。周波数、位置のどちらの値でも設定が可能であり、上限値下限値を設定することによって、リミットアラーム信号を出力することができます。

(5)位置リセット入力
 この入力を短絡することにより、位置データを0にクリアします。

お わ り に

 エム・システム技研では、今回ご紹介した機種だけでなく、入出力カードや通信カードについて機能の拡充、機種拡充に今後も努めて参ります。ご意見やご要望などございましたら、遠慮なくエム・システム技研のホットラインまでお寄せください。


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