エムエスツデー 2005年9月号

製品別情報

液晶表示設定形 コンパクト変換器
M7E・UNITシリーズ

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研では、手のひらに収まるコンパクトで高性能なプラグイン変換器みにまる、およびその2出力形変換器みにまるW2」の2シリーズを多機種にわたりラインアップして参りました。さらに、Windowsパソコン上で動作するプログラムを使って入出力範囲などのパラメータを自由に変更できる「PCスペック形コンパクト変換器」の開発を行い、これらについて発売以来お客様から大変ご好評をいただいています。

 このたび、この「みにまる」・「みにまるW2」両シリーズの進化版ともいえる、PCスペック形の液晶表示設定形 コンパクト変換器「M7E・UNIT」シリーズを開発したので、ここにご紹介します。

1.形 状

図1 M7E・UNITシリーズの外観と寸法 図1にM7E・UNITシリーズ変換器の外観を示します。変換器前面には、大きな液晶表示器と4つの押しボタンスイッチ、PC接続用ジャックが操作性を考えて配置されています。変換器の大きさは、液晶表示器を搭載しているにもかかわらず、「みにまるW2」とほとんど同じで、非常にコンパクトな設計になっています。

また、DINレール取付け用のソケットには、「みにまるW2」と同一の11ピンタイプを採用し、変換器をソケットに固定させるローレットねじもこれまで同様に備えています。

現在、「みにまる」「みにまるW2」をご使用のお客様には、設置スペースや設置方法が従来と同じですから、置き換えの際に、何も心配ありません。

2.液晶表示器

 M7E・UNITシリーズの最大の特長は、液晶表示器です。変換器前面に搭載する液晶表示器としては、68×95ドットのドットマトリクス方式で、コントラストが高く高精細なFSTN/半透過型のものを採用しています。このことにより、セグメント表示方式のものと比べて情報量が豊富でより美しい画面レイアウトを実現しています。なお、バックライトには橙色と赤色の2色を用意しており、変換器が正常に動作しているか、異常状態(たとえばバーンアウト状態)かで色分けを行い、現場の作業員に異常状態を瞬時に知らせることができます。このバックライトとしてはオフタイマ設定(押しボタンスイッチ操作後、ある一定時間後にバックライトをOFFにする機能)も備え、バックライトの長期間使用による輝度の低下を抑えることができます。また、液晶画面のコントラスト調整も可能ですから、使用環境に従って変化する液晶表示の濃淡を補正できます。

3.操 作 性

 情報量を豊富に表示させられる液晶表示器は、M7E・UNITシリーズ変換器の操作性を大幅に向上させています。その操作性は、時代の最先端の技術が集約されている、携帯電話機をイメージしていただくとわかりやすいと思います。分厚い取扱説明書をじっくりと読まなくても、画面に表示されるメニューに従ってコマンドを選択し、決定ボタンを押すことによって簡単な設定はできてしまいます。M7E・UNITシリーズは、液晶画面をフルに活用し、お客様の操作性に重点を置いて開発しました。取扱説明書なしでも、液晶画面を見ながら前面に配置されたアップ・ダウン・モード・セットの押しボタンスイッチを操作することによって、簡単かつスピーディに設定変更が行えます(図2)。

図2 M7E・UNITシリーズの前面パネル図

4.液晶画面のモード

 液晶表示器に表示させるモードは、大きく3種類に分けられます。

 第1には、変換器の現在の状態を表示する「モニタモード」があります。ここでは、入出力の実量値、パーセント値、またはスケーリング値を表示できます。実量値表示のときには、各種入力センサに見合った単位が表示されます。たとえば、直流入力変換器の場合、電圧入力(V)では「V」、電圧入力(mV)では「mV」、電流入力では「mA」が表示されます。また、M7E・UNITシリーズはスケーリング機能も備えているため、お客様の用途に応じたスケーリング値の設定、工場出荷時から記憶されている数多くの工業単位の中から自由に選択しての単位表示が可能です。

 第2には、変換器の各種設定を変更する、「セットアップモード」があります。このモードでは、入出力のコンフィギュレーション・キャリブレーション・微調整・スケーリング設定などを行います。メニュー画面から設定変更したいパラメータを選択していき、最終的に所望の設定値の入力/選択ができます。

 第3には、液晶表示器の設定を変更する、「LCD設定モード」があります。ここでは、液晶表示器のコントラスト設定、バックライトのオフタイマ設定が行えます。

5.PCプログラマブル

 入出力の設定は、前述したように本体前面の4つの押しボタンスイッチで行えますが、専用の接続ケーブル(形式:MCN-CON)をWindowsパソコンと接続することによって、PC画面上からも設定できます。M7E・UNITシリーズ専用のコンフィギュレータソフト(形式:M7ECFG)は、エム・システム技研のホームページhttps://www.m-system.co.jp/のダウンロードメニューに追加する予定です。

6.ラインアップ

 新シリーズの開発に当たっては、警報設定器のラインアップから揃えていきたいと考えました(表1)。具体的には、入力仕様が直流電圧と直流電流、熱電対、測温抵抗体、ポテンショメータで、それぞれ警報出力仕様を備えた4機種です。当然のことながら、熱電対入力と測温抵抗体入力の場合には、規格化されている主要な温度センサはすべて標準対応します。警報出力仕様については、リレーa接点またはb接点の4点警報、リレーc接点の2点警報を用意し、お客様の多様なニーズに対応できるように設計されています。

表1 M7E・UNITシリーズ発売予定機種

製品名称(愛称)
形 式
入力信号
出力信号
デジアラーム M7EASV DC0~50mA
DC−1~+1V
DC−10~+10V
・4点警報リレーa接点
・4点警報リレーb接点
・2点警報リレーc接点
カップル
デジアラーム
M7EAST (PR)、K(CA)、E(CRC)、
J(IC)、T(CC)、B(RH)、
R、S、C(WRe 5-26)、
N、U、L、P(Platinel II)
測温抵抗体
デジアラーム
M7EASR Pt 100(JIS 、DIN、IEC)、
Pt 200、Pt 300、Pt 400、
Pt 500、 Pt 1000、
Pt 50(JIS ’81)、
JPt 100(JIS ’89)、
Ni 100、Ni 120、Ni 508.4 Ω、
Ni-Fe 604、Cu 10(25℃)
ポテンショメータ
デジアラーム
M7EASM 全抵抗値 50~8kΩ

お わ り に

 本稿では、新シリーズM7E・UNITシリーズの特長と仕様の概要を述べました。「みにまるW2」のコンセプトを残しつつ、液晶表示器付きで現場での操作性が大幅に向上したM7E・UNITシリーズの優れたところをご理解いただければ幸いです。M7E・UNITシリーズは前述した4機種からスタートしていきますが、このほかにもお客様のご要望にお応えできるように、使用目的に適した変換器をご提供していきたいと考えています。どうぞお気軽にお問い合わせください。次稿では、さらに詳細な機能やスペックの説明とアプリケーション例を挙げて、より理解を深めていただきたいと考えています。ご期待ください。

みにまるデジアラームは、エム・システム技研の登録商標です。                                 

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