エムエスツデー 2005年5月号

遠隔監視のアプリケーション
No.7

Webロガーのアプリケーション
− 簡易水道設備の遠方監視の事例 −

 今回は、Webロガーのアプリケーションとして、小規模の配水設備または簡易水道設備を遠隔監視する例についてご紹介します。

 通信媒体にはADSL回線を経由したインターネットを使用し、各インターネットプロバイダが提供している常時接続のADSLプラン注1)を使用すれば、月々定額料金で常時接続が可能になります。なお、現場にはEthernet通信対応のWebロガー(形式:TL2W-ER2)を設置します。

簡易水道のシステム構成

 図1に簡易水道設備の概略を示します。一般的な簡易水道設備では、ポンプ場から高台にある配水池へ送水し、配水池からは自然流下で各家庭へ配水します。配水池で測定した水位、流量信号はポンプ場へテレメータで伝送します。ポンプ場側では配水池の監視とそれに基づく送水ポンプの制御を行っています。

 テレメータで送られてきた信号に加えて、ポンプ場の情報(水位・流量、送水ポンプの電流値・運転状態・異常信号など)をWebロガーに取り込むにはリモートI/O(R3シリーズ)を使用します。R3シリーズは、通信カードを2枚実装することにより2系統への出力が可能です。一方の出力をWebロガーへ、他方を現場設置のパソコンへ接続することにより、現場でのパソコンによる記録監視も可能になります。現場での記録監視に際しては、PCレコーダソフト(MSR128)を使用することにより、容易に信号の記録とデータの保存が可能です。

図1 簡易水道設備の概略

監視画面と帳票について 

 WebロガーではWeb画面による監視を行います。監視には、パソコンに標準装備されているインターネットエクスプローラを使用します。図2に監視システムの構成例を示します。

図2 TL2W-ER2のシステム構成例

 Webロガーは、事象履歴画面、トレンドグラフ画面など7種類の現場管理/監視用画面を標準機能として用意しています。日報・月報・年報画面では、水位や流量の最大値、最小値、平均値の表示、またポンプの運転回数、運転時間の表示が可能です。各種監視画面および帳票画面の設定用としてビルダソフト(TL2BLD)が添付されていて、ユーザー各位にて各種の項目をご設定いただくことにより容易に図面作成が可能です。さらに、設備に合わせたグラフィック監視用Web画面の作成も可能です注2)

携帯電話を使用した監視と通報

 携帯電話を使用した下記の監視・通報機能も使用できます。
 (1) Eメール通報  
 (2)アナログ現在値監視

 アナログ値監視については、携帯電話にWebロガーのIPアドレスを入力し、携帯Web画面を呼び出すことができます。監視できる内容は現在値と当日のその時間までの毎正時ごとの瞬時値です。値の変動を見て、通常の変動より大きな変化があれば、パソコンでトレンド画面を確認したり現地でPCレコーダによる記録の確認を行い、事象の解析を行うといった使用方法があります。

 以上のように、Webロガーを使用すれば、1台で遠隔監視システム、帳票の作成、携帯電話への異常通報および信号監視を最小の予算で実現できます。

注1)固定IPアドレス契約が必要になります。
注2)画面作成にはSun Microsystems社のフリーソフトSun ONE Studio 4を使用します。
注3)FTPファイル転送機能を使用する場合、パソコンにも固定IPアドレスが必要です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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