エムエスツデー 2005年4月号

お客様訪問記

青龍寺川土地改良区の遠方回転灯設備に導入された
MsysNet PHS無線テレメータシステム

(株)エム・システム技研 システム技術部

図1 揚水機場外観 山形県の北西部、日本海に面した庄内平野は、南北約100km、東西約40kmにおよぶ広大な平野で、江戸時代の昔からおいしい米の産地として知られています。北には出羽富士と呼ばれる姿の美しい鳥海山、南には山伏の修行の山として有名な出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)がそびえています。また、日本三大急流の一つ最上川をはじめとする大小の河川は、一年中豊かな水をたたえています。

 今月は、この庄内平野の南西部に位置する山形県鶴岡市の青龍寺川土地改良区を訪ね、遠方回転灯設備に採用されたMsysNet PHS無線テレメータシステムについて、工務課 工務第1係長 後藤 隆司 様、またシステム設計を担当された三和メイテック(株) 総合ソリューション営業部 課長代理 佐藤 敏文 様にお話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]導入の経緯をお教えください。

[後藤]青龍寺川土地改良区の地域は、鶴岡市を中心として朝日村・櫛引町・三川町の1市3町村から成る農村地帯であり、水田面積が5,295haあります。1993年に「庄内地方拠点都市地域」の指定を受け、また1997年には南北に横断する東北横断自動車道酒田線が開通し、さらに21世紀を迎え広範な分野で発展しているエリアです。水田への用水供給をパイプかんがい方式で運用している栄地区において、従来は、揚水機場の稼働状態(ポンプ運転状態)を屋上に設置している回転灯によって確認し、各農家が水田への給水バルブの操作を行っていました。今回、国道7号線バイパス道路の建設(盛土工法)に伴い、揚水機場の回転灯を目視できなくなったために、分岐点となる国道7号線付近に新たに回転灯設備を設置して、揚水機場の稼働状態を確認できるようにすることになりました。このため必要になった点灯制御信号の遠隔伝送方法を検討し、エム・システム技研のMsysNet製品を採用した次第です。

[エム]遠隔伝送システムの概要をお教えください。

[佐藤]通常、専用回線を使用したテレメータを用いますが、今回は維持費の低減も必要であったため、一般電話回線とPHS網の2つのテレメータを検討しました。維持費の比較を行った結果、PHSにはデータ伝送専用の契約があり、一般電話回線よりも維持費が安くなることがわかり、MsysNetのPHS網を使用したテレメータシステムを提案しました。揚水機場のポンプ運転および故障信号をI/O一体形のモデムインタフェース(形式:SMM)に取り込み、NCU付モデム(形式:MOC1)を経由してPHSアクセスユニット(形式:PAU-112)に導き、無線で現場盤へ伝送しています(図2参照)。揚水機場のポンプの運転中には回転灯(黄色)を回し、各農家にて状態を把握できるようにしました。また、現場盤側の電源については、電力会社から給電を受けるのではなく、太陽光発電と小形風力発電機の併用による自家発電にて稼働するシステムとして設計しました。

図2 遠方回転灯設備構成図
図2 遠方回転灯設備構成図 [拡大図]


図3 揚水機場ポンプ図4 揚水機場制御盤内

[エム]システムを導入されていかがでしたか。

[後藤]本システムの導入前は、現場作業者がポンプの稼働状態を確認して、手動操作で回転灯のスイッチを入れていました。本システムの導入によって、ポンプの運転信号をMsysNet PHS無線テレメータに取り込み、人手を介さずに運用できるようになり、操作ミスをなくすことができました。また、設計当初から目標としていた、維持費をかけずに運用できる点にも大変満足しています。本システムの課題としては、3日間ほど日照がない場合に、自家発電による給電ができなくなる点があります。しかし、これも蓄電池の容量を大きくすることで対応する予定です。本地区のほかのエリアでは、まだ一般電話回線で運用しているところがあります。また今後、高速自動車道の開通に伴う同様の案件もあります。今回採用したMsysNet PHS無線テレメータシステムだけでなく、維持費がまったくかからないSS無線方式を使用する無線データ通信モデム(形式:RMD2)も含め、今後も継続してエム・システム技研製品を採用する方向で考えています。

[エム]お忙しいところ、ありがとうございました。

図5 遠方回転灯設備外観図6 回転灯設備操作盤内 

本システムについての照会先:
 三和メイテック株式会社 総合ソリューション営業部
 課長代理 佐藤 敏文 様
 〒997-0011 山形県鶴岡市宝田3丁目1-15
 TEL.0235-22-1225  FAX.0235-22-1671

MsysNetは、エム・システム技研の登録商標です。


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