エムエスツデー 2005年4月号

PCレコーダの納入実例 No.2
No.2

PCレコーダが漏水検知装置として使われています

 PCレコーダの納入実例の2回目として、今回はある水道局に採用されたPCレコーダの使用例をご紹介します。

 皆さんが会社や家庭でお使いの水道水は、一般に道路の下に敷設された送水管を通して配水されています。水道水は高い場所(高台の家、マンションの屋上)の貯水タンクなどにも配水するため、圧力を掛けて送水されます。水道水は100%すべてが有効に使われているわけではなく、送水管の腐食などの原因で穴の開いた部分からわずかに漏水しています。圧力を高くすると漏水が多くなりますし、圧力を低くすると配水量が多い時間帯や高い場所では水が出なくなります。漏水をいかに少なくし、しかも常時いかにかたよりなく配水するかが問題です。

 なお、地震(天災)、もしくは道路工事中などに重機などで誤っておこる破損(人災)、また腐食による老朽化などによって大規模な送水管の破壊が起こる場合があります。今回はそれを検知するためにPCレコーダが採用されています。

図1 R1Mのシステム構成例

 遠く離れた配水池(水源地)からテレメータで送られてくる送水流量信号は中央監視装置で監視しています。また一方では、直流/熱電対入力ユニット(形式:R1M-GH)にも入力し、パソコンにインストールしたPCレコーダソフトによってディスプレイ画面にトレンドグラフを描画させています。図1にそのシステム構成例を示します。この例では実際の流量信号が9点あり、PCレコーダの標準仕様では1画面8ペンまでなので、同じ配水系統の信号2点をアナログ式加算器(形式:ADS)を使って1点にまとめ、PCレコーダの1画面(8ペン)に収まるようにしました。さらに、ディスプレイ画面上における各ペンの描画範囲がだいたい同じになるように、プロット範囲の設定を行いました。

図2 PCレコーダのパソコン画面 図3 盤内に設置されたPCレコーダ用入出力ユニット

 また、上限、下限警報を出力するために、警報機能を標準で備えているオープンコレクタ出力ユニット(形式:R1M-D1)も同時に設置し、異常時にはブザーを鳴らすようにしました。しかし、正しい漏水警報は異常過大流量警報だけでは検出できません。実際の使用量が多くなった場合にも警報を発生するからです。一方、どの水源からの配水流量も、毎日、よく似たトレンドを描きます。もし、送水管が壊れるなどして大きな漏水が起これば、配水流量のトレンドが大きく乱れます。これを使えば、送水管の大規模な破損を検知できます。従来使用していた打点式記録計では、横軸用紙送りの関係で各ペンの打点が同一時刻同一線上に記入されなかったため、状況をリアルタイムに把握できませんでした。しかし、PCレコーダではトレンド画面を監視することによって、異常な漏水を瞬時に検出したという実績が報告されています。

図4 机上に置かれたPCレコーダ用の液晶ディスプレイ

【金本 義孝:(株)エム・システム技研 システム技術部】


ページトップへ戻る