こで止めるかを決めます。
 以上は原則ですが、具体的には下記のようにします。
 (1)比例帯(PB)は、大きい数字(たとえば100%)から小さい数字へと変えて行きます。測定値の振動が出てきたらその値で止めます(図4.7参照)。
 (2)積分時間(TI)も、大きい数字から小さい数字へと変えて行きます。積分時間を小さくして行くと、図4.8のように測定値がゆっくりと振動し始めます。そうしたらそこで止め、少し大きい数字に戻します。
 (3)微分時間(TD)は0からスタートし、少しずつ大きい数字に変えて行きます。測定値に短周期の振動が現れたら止め、少し小さい数字に戻します。なお、このとき現れる振動は、測定値に細かいノイズが乗っているときと、そうでないときでは違います。ノイズが乗っているときは、たとえば図4.9のようになります。これは、微分動作がノイズを増幅するからです。
 (4)最後に比例帯をさらに小さくしてみます。たぶん若干小さくても振動しないでしょう。少しオーバーシュートしてもよいのなら、若干オーバーシュート気味にして調整を終わります。
 ここで、各PID定数の効果をまとめておきます。
 (イ)比例帯を小さくして行くと下記のようになる。
 ●外乱や目標値変更への修正動作は早くなる。
 ●応答は振動的になる。
 ●オフセットが減る(積分動作がないとき)。
 (ロ)積分時間を短くして行くと下記のようになる。
 ●オフセットを早くなくせる。
 ●応答は振動的になる。ただし振動周期は長い。
 (ハ)微分時間を長くして行くと下記のようになる。
 ●振動的な応答を抑える効果があり、ある程度比例帯を小さくすることができる。ただし長くしすぎると短い周期の振動を発生させる。
 これらの知識を利用して、制御運転中の目標値変更時や外乱が加わったときの測定値の変動波形より、PID定数が適当であるか否かを判断できます。図4.10に、測定値の変動波形によるPとIの再調整の目安を示します。

著者紹介
松山 裕  
松山技術コンサルタント事務所 所長
〈FAX No.03-3971-9143〉


◆ 参考文献 ◆

松山 裕:だれでもわかる自動制御、省エネルギーセンター(1992)

(注)前号の図4.2を再掲して説明します。
図4.6のRは図4.2のY/Tと等価です。またプロセスゲインKPはY/Xです。したがって、
 RL/X=(Y/T)・L/X=
 (Y/X)・(L/T)=KP・L/T




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松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長
(FAX No.03-3971-9143)




図4.7 
比例時間(PB)の調整




図4.8 
積分時間(TI)の調整



図4.9 
微分時間(TD)の調整



図4.10 
測定値の変動波形による
再調整の目安



図4.2 
プロセスのステップ
応答の例
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