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2003年1月号

レベル の お 話

第1回  レベルの定義とレベル測定法の概要

松山技術コンサルタント事務所 所長 松 山 裕

はじめに
 「圧力のお話」に引き続き、「レベルのお話」を連載させていただくことになりました。連載の予定としては、レベルについて10回、レベルと関連が深い液体密度について2回と、合計12回を予定しております。

.レベルの定義
 レベルは、通常タンク・容器などの内部の液面の高さや、水路・河川・井戸などの水位を表す言葉です。一方2種類の液体(たとえば水と油)の境界面の高さ、液体と固体(たとえば汚泥沈殿槽における水と汚泥)の境界面の高さもレベルの一種です。また粉体・粒体・塊体注1)といった固体の堆積物の表面の高さもレベルといいます。レベルを測定する計器をレベル計といいますが、対象によって区別するときは、液面計(または液位計)、界面計、粉粒面計といいます。

2.レベル測定法の概要
 レベルの測定には、検尺(物差し)による方法が昔から用いられていました。古代エジプトでは、ナイル川の洪水を予知するため、ナイル川の各所の岸に大きな物差しを取り付けて水位を監視していました。また、航海のため水深の測定が必要となり、おもりをつけたロープを使っていたといわれています。これらはレベル計の元祖といえるでしょう。
 工業用でのレベル測定の目的は、大きく2つに分けられます。1つは、タンクに入っている物質の量を知る目的であり、国際的に原油や石油製品などの取引や課税にレベル計が使用されています。もう1つは、装置の制御や監視が目的であり、レベル計の出力は調節計の入力として使用されることが多いのです。タンク用ではレベルの連続測定のみですが、制御用では連続測定以外に上・下限などのポイント測定がかなり多いのが特徴です。液位の制御では、液面を一定に保つ必要はあまりなく、空になったり溢れたりしなければよいことが多いからです。
 JIS B 7560「液位測定用自動レベル計」に規定されているレベル計はタンク用のみです。このJISに示されているレベル計は下記の4種類です。
 ①フロート・スプリングバランス式レベル計
 液面上に浮かべたフロートに一端を固定したテープまたはワイヤを、定トルクスプリングによって巻き取る方式のレベル計です。定トルクスプリングが一定の力でフロートを引っ張ることにより、フロートは液面に正確に追従します(図1参照)。
 ②ディスプレーサ・サーボバランス式レベル計
 これは①のフロート・スプリングバランス式レベル計とほとんど同じですが、定トルクスプリングで引っ張るのではなく、巻取りテープの一部に張力検出器を取り付け、テープにかかる張力が常に一定になるようサーボモータで制御します。これに使用するフロートは、①のフロートより重くこれ自身では液面上に浮かばないので、ディスプレーサと呼んでいます。この構成により、ディスプレーサは液面に正確に追従します。
 ③マイクロ波レベル計
 マイクロ波(周波数にしておよそ1~100ギガヘルツの電磁波)を液面の上の方から発射し、液面から反射されて帰ってきたマイクロ波を受信します。この送信から受信までの時間より液位を求めます。
 マイクロ波の伝播速度は光と同じで、1秒間に30万km進むのですから、測定液位の±0.02%の精度(液位が10mのときは±2mmの精度)で測定するには、非常な高精度の時間測定が必要になります。その方法については、この連載のあとの号で説明します。
 ④静電容量式レベル計
 静電容量式レベル計のセンサは、円筒形の電極を同軸状に2重または多重に組み合わせたものです。
これを液体に浸すと、電極間の静電容量は液に浸っている部分の長さによって変化しますので、これを利用して液位を測定します。
 このレベル計には可動部がまったくないので信頼性が高く、タンクばかりでなく船舶・航空機・ロケットなど振動がある場所での測定に適しています。
 以上JISに記述されているレベル計について簡単に説明しましたが、これ以外に数多くのレベル計があります。現在日本で販売されているレベル計の種類を表1に示します。次号からは原則としてこの表の順に説明して行く予定です。なおこの表にない製品にガラスゲージ式レベル計があります。これは容器の側面にガラス製の窓がついたパイプを取り付けることによって、容器内の液体のレベルを直読する製品です。表1に挙げた製品と異なり、自動測定ではありません。ボイラーによく使用されるので、JIS B 8213「ボイラー反射式水面計」、B 8215「ボイラー透視式水面計」などに規定されています。■

注1)おおよその目安として、粉体は粒径が0.1mm以下の固体、粒体は同じく0.1~10mm程度、塊体は同じく10mm以上とされています。

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