エムエスツデー 2008年6月号

フィールドロガー、テレメータ

SCADALINXproの応用(4) 
−SCADALINXproと
 テレメータ D3シリーズを利用したシステム−

(株)エム・システム技研 システム技術部

は じ め に

 エム・システム技研が、2007年4月に最新の高機能HMIソフトウェア「SCADALINXpro(形式:SSPRO4」をリリースしてから、早くも1年が経過しました。現在までに約100システムがお客様のもとで稼働しており、高機能でコストパフォーマンスの高いシステムを実現し、ご採用いただいたお客様から高い評価をいただいています。

 本誌では、過去3回にわたって「SCADALINXproの応用」として様々な機能をご紹介してきましたが、今回第4回は、SCADALINXproとテレメータD3シリーズを利用したシステムの特長についてご紹介します。

1.エム・システム技研のテレメータとパソコンによる遠隔監視

 エム・システム技研では、創業間もない頃から小規模設備向けの小形テレメータを販売してきました。エム・システム技研のテレメータシリーズに、パソコンを利用した遠隔監視システム「MsysNetシステム」のラインアップが加わったのは約12年前のことで、それ以前に業界のデファクトスタンダードであった専用コンソールを使った高額なテレメータシステムは、パソコンを使った「MsysNetシステム」の登場によって、低価格で手軽に採用できるテレメータシステムに交替しました。さらに現在では、次世代HMIソフトウェア「SCADALINXpro」とテレメータD3シリーズがラインアップに加わり、一層の低価格、高機能、省スペース化が実現されています。

 図1SCADALINXproが対応する「ドライバ一覧」(エム・システム技研製品)を示します。

図1 SCADALINXpro対応「ドライバ一覧」

2.SCADALINXproとテレメータD3シリーズの遠隔監視システム

 SCADALINXproとテレメータD3シリーズの組み合わせは、高機能と低価格を実現した、エム・システム技研のテレメータ遠隔監視システムの決定版です。

特長(1) 「SCADALINXpro」で実現できる高機能な遠隔監視

 最近の遠隔監視システムについては、異常発生時のメール通報、ユーザーレベルに応じた遠隔操作権限の設定、複数台のパソコンによる監視、Web機能を利用した遠隔監視等々、お客様から様々なご要求をいただいています。SCADALINXproには標準的な監視システムの機能以外に、様々なニーズにお応えできる自由度の高いスクリプト機能が搭載されています。テクニックを駆使することによって、今までのHMIソフトウェアでは実現できなかったお客様の多種多様なニーズにお応えすることが可能になりました。

・ 集中監視システム(上位通信を行う1: n 通信)

 テレメータD3シリーズの1:n専用のテレメータカードと通信カードを利用して集中監視が行えます(図2)。ModbusまたはModbus/TCP(Ethernet)の通信プロトコルによってパソコンと接続できます。親局・子局間はテレメータカードを介して接続します。テレメータカードを同一ベース上に複数台実装できるため、経済的でスペース効率の高いシステムが実現できます。

図2 集中監視システム(上位通信を行う1: n 通信)

特長(2) 簡単設定テレメータD3シリーズ

 D3シリーズは、テレメータカード正面のロータリスイッチと側面のディップスイッチを使って設定するだけで使用できます注)

特長(3) テレメータカード、通信カードの種類が豊富

 D3シリーズのテレメータカード(モデム)は、50bps符号品目対応のカードから、光ファイバ用通信カードまで様々なタイプを準備しているため、お使いいただく回線の種類に合わせて自由にご選択いただけます(表1参照)。

表1 テレメータカードの種類

形 式 回線種類 回線仕様 通信速度 回線数 最長距離 その他
D3-LT1 NTT専用回線 帯域品目3.4kHz 1200bps 1:1  
D3-LT2 NTT専用回線 符号品目50bps 50bps 1:1  
D3-LT3 NTT専用回線 帯域品目3.4kHz 1200bps 1:n  
D3-LT4 NTT専用回線 符号品目50bps 50bps 1:n  
D3-LT5 ツイストペア線 CPEV-09φ 50bps~
38.4kbps
1:1 10km  
D3-LT6 ツイストペア線 CPEV-09φ 50bps~
38.4kbps
1:n 10km  
D3-LT7 NTT専用回線 帯域品目3.4kHz 1200bps 1:1 開発中
D3-LT8 NTT専用回線 符号品目50bps 50bps 1:1 SIN-NET専用
D3-LT9 ツイストペア線 CPEV-09φ 50bps~
38.4kbps
1:1 10km SIN-NET専用
D3-NS1 ツイストペア線 CPEV-09φ 125kbps 1:1 3km SIN-NET専用
D3-NS2 ツイストペア線 CPEV-09φ 125kbps 1:1 3km SIN-NET専用
テレメータ
インタフェース
カード
D3-LP1 光ファイバ GI-850nm 62.5kbps 1:1 4km  
D3-LP2 光ファイバ GI-850nm 62.5kbps 1:n 4km  
D3-LR1 RS-232-C 無線データ通信
モデム(形式:
RMD2)対応
9600bps 1:1 モデム
インタフェース
カード
D3-LR2 RS-232-C 無線データ通信
モデム(形式:
RMD2)対応
9600bps 1:n 開発中
D3-LR3 RS-232-C 専用回線通信
モデム(形式:
MOD□)専用
50~
2400bps
1:1 モデム
インタフェース
カード

多重伝送 SIN-NETシステム:分散形(親局を必要としない)システムを構築できる、エム・システム技研独自の通信方式

表2に1:n専用の通信カードを示します。

表2 通信カードの種類(1:n)

形 式 通信種類 通信仕様 回線数
 D3-NE2  Ethernet  Modbus/TCP 1:n
 D3-NM2  Modbus  RS-485 1:n

 

特長(4) 信号入出力カードの種類が豊富

 D3シリーズの信号入出力カードについては、信号の種類や絶縁の有無などに対応して豊富なラインアップからご選択いただけます(表3参照)。また、従来のテレメータでは、信号の種類に対応して別途信号変換器を設置しなければなりませんでしたが、D3シリーズでは流量計など各種センサからの信号をダイレクトに接続することが可能になり、設置場所の省スペース化とコスト削減を共に実現できます。

表3 入出力カードの種類

形 式 入出力カードの種類 入出力 点数
 D3-SS4  直流電流(絶縁) 入力 4
 D3-SS8  直流電流(絶縁) 入力 8
 D3-SV4  直流電圧(絶縁) 入力 4
 D3-SV8  直流電圧(絶縁) 入力 8
 D3-YV4  直流電圧(絶縁) 出力 4
 D3-YV8  直流電圧(絶縁) 出力 8
 D3-YS4  直流電流(絶縁) 出力 4
 D3-TS4  熱電対(絶縁) 入力 4
 D3-TS8  熱電対(絶縁) 入力 8
 D3-RS4  測温抵抗体(絶縁) 入力 4
 D3-RS8  測温抵抗体(絶縁) 入力 8
 D3-DS4  ディストリビュータ(絶縁) 入力 4
 D3-MS4  ポテンショメータ(絶縁) 入力 4
 D3-MS8  ポテンショメータ(絶縁) 入力 8
 D3-CT4  CT(交流電流) 入力 4
 D3-PT4  PT(交流電圧) 入力 4
 D3-PA16  積算パルス 入力 16
 D3-PC16A  オープンコレクタパルス 出力 16
 D3-BA32A  BCD 入力 8桁
 D3-BC32A  BCD 出力 8桁
 D3-DA16  フォトカプラ絶縁(内部電源) 入力 16
 D3-DA16A  フォトカプラ絶縁(外部電源) 入力 16
 D3-DA16B  フォトカプラ絶縁(AC100V) 入力 16
 D3-DA32A  フォトカプラ絶縁(外部電源) 入力 32
 D3-DA64A  フォトカプラ絶縁(外部電源) 入力 64
 D3-DC16  リレー 出力 16
 D3-DC16A  オープンコレクタ 出力 16
 D3-DC16B  トライアック 出力 16
 D3-DC32A  オープンコレクタ 出力 32
 D3-DC64A  オープンコレクタ 出力 64

ストローブ信号制御なしの場合

特長(5) メンテナンスが容易

 D3シリーズは、電源カード、テレメータカード、通信カード、I/Oカードを1つのベースに取り付ける、ベース取付形のテレメータです。万一、I/Oカードやテレメータカードなどの交換が必要になった場合には、必要なカードだけ取り外して交換できます。各カードの端子としては分離可能な端子台形を採用しているため、交換作業は極めて容易です。また、ホットスワップ対応であるため電源は投入したまま、各カードの交換を行うことが可能です。

お わ り に

 今回は、SCADALINXproとテレメータD3シリーズをお使いいただく場合の特長をご紹介しましたが、今後もSCADALINXproの特長や機能について定期的にご紹介して参ります。どうぞご期待ください。

注)上位通信カードについては、別途専用のコンフィギュレータソフトウェア(形式:D3CON)からの設定が必要です。D3CONは、エム・システム技研のホームページからダウンロードいただけます。なお、D3シリーズとパソコンとの接続には、専用のコンフィギュレータ接続ケーブル(形式:MCN-CONまたはCOP-USUSB対応)が必要です。

MsysNetは、(株)エム・システム技研の登録商標であり、SCADALINXproは商標登録出願中です。


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