エムエスツデー 2009年6月号

リモートI/O、ドライバソフトウェア、BAコントローラ

リモートI/O R3シリーズの新製品紹介(1)
− 通信入出力カード(ゲートウェイカード)−

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 

 エム・システム技研では、リモートI/Oとして、コンパクト一体形(R1シリーズ)、多チャネル組合せ自由形(R3シリーズ)、コンパクト組合せ自由形(R5シリーズ)、超薄形(R6シリーズ)、少チャネルコンパクト一体形(R7シリーズ)など、多種多様な用途や設置場所に対応する製品を準備しています。また、いろいろな入出力に対応できるよう、各種入出力への対応形を準備してきました。

 本稿では、リモートI/O R3シリーズにこのたび新たに追加することになった通信入出力カード(ゲートウェイカード)をご紹介します。

1.概 要

図1 R3-GC1の外観と寸法 R3シリーズについては、CC-Link をはじめDeviceNet、Modbusなど可能な限り多種類のフィールドバスに対応するために様々な通信カードを準備しています。

 また、通信の2重化機能を利用し、異なる2種の通信カードを使った入出力は可能にしていますが、CC-LinkからのデータをModbusに送るなどゲートウェイの機能は従来備えていませんでした。

 今回ご紹介する通信入出力カードは、ゲートウェイ機能を実現するために開発した製品であり、R3シリーズとしては入出力カードの一種として分類しています。その機能については、通信カードと同じ動作を行い、フィールドバス(A)との間でデータの入出力を行うとともに、他のフィールドバス(B)との間でもデータを送受信できます。

 図1にCC-Link用の通信入出力カード(形式:R3-GC1)の外観と寸法、図2に前面および側面パネル図を示します。

図2 R3-GC1のパネル図

2.種 類

表1 通信入出力カードの種類

形 式 通 信 データ数
 R3-GC1  CC-link 128 ワード 
 R3-GFL1  FL-net 128ワード 
 R3-GM1  Modbus 128ワード 
 R3-GE1  Modbus/TCP 128ワード 
 R3-GD1  DeviceNet 64ワード 

 CC-Link、FL-net、Modbus、Modbus/TCP、DeviceNet用として5機種の通信入出力カードを準備しています(表1)。

3.機 能

 (1)R3シリーズ用入出力カードについては、1スロット当たりアナログ16点(16ワード)という制限があります。このため、占有カード数を1、2、4、8に設定することによって取り扱えるデータ数(ワード数)として16、32、64、128を可能にしています。

 たとえば占有カード数を“8”に設定した場合には8スロットを占有します(16ワードの入出力カードが8枚実装されたことになります)。

 (2)ゲートウェイカードが接続されたフィールドバスからのデータを通信カードのように直接入出力カードに出力するのではなく、仮想入出力として取り扱います。この結果、ゲートウェイカードは従来の入出力カードと同じように仮想入出力をアナログ入出力と同等に取り扱うことが可能です。

 (3)仮想入出力を備えたゲートウェイカードにより、通信カードからアナログ入出力に対するのと同じ動作が可能になります。

 結果として、従来の入出力カードと混在させることが可能で、単なるゲートウェイ機能だけではなく、入出力を備えたゲーイトウェイが実現できます。

4.使 用 例

 ここではCC-Link用の通信入出力カードR3-GC1)の使用例をご紹介します。

 R3-GC1本体側面のディップスイッチを使って、拡張サイクリック設定を行います。この設定によって占有カード数(送受信データ数)が決定します。

 入力16ワードと出力16ワードが1サイクルとなり、最大8サイクル(入力128ワード、出力128ワード)の伝送が可能です。1サイクルが1枚の入出力カード(アナログ入力16点、アナログ出力16点の入出力カード)に相当し、最大8枚の入出力カードが実装されたことになります(最大8スロットを占有します)。

図3 CC-Link用の通信入出力カード(形式:R3-GC1)の使用例

 図3には、占有カード数を“4”とし、直流電圧入力カード(形式: R3-SV4と混在させ、Modbus/TCP(Ethernet)用通信カード(形式: R3-NE1を実装した例を示します。

 実際には第1スロットと第2スロットだけに入出力カードが実装されていますが、第7スロットに実装されている通信カードR3-NE1)からは第1から第5スロットに入出力カードが実装されていると認識します。すなわち、第1スロットに実装されているR3-SV4についてはそのままに認識しますが、第2スロットに実装されている通信入出力カードR3-GC1)についてはデータを4分割し、第2から第5スロットにカードが実装されていると認識します(R3-GC1は占有カードを最大“8”まで設定できるため、最大8スロットを占有することになります)。

 この例では拡張サイクリック設定が“4”であるため、CC-Link Ver.2.00を使って伝送しています。4サイクル分のデータを4分割してR3-GC1(1/4)~(4/4)に割り付けています。このようにして異なるフィールドバス間のデータ授受を可能にしています。

お わ り に

 以上、リモートI/O R3シリーズに新たに追加することになった通信入出力カードの概要をご紹介しました。

 通信入出力カードはユーザーからいただいたご要望を実現するために開発した製品です。このようなカードがあればとか、このような使い方ができないかなどのご要望を受けて実現しました。

 製品を開発する立場では容易に思いつかない有用な機能やご用途が数多くあることを再認識させられます。どうぞお気軽にエム・システム技研ホットラインまでご連絡をいただければ幸いです。

 次回は、これらの製品の使用例やちょっと変わった使い方などをご紹介したいと考えています。


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