エムエスツデー 2006年1月号

リモートI/O、ドライバソフトウェア、BAコントローラ

リモートI/O R3シリーズ
クランプ式センサ入力形 電力入力カード(形式:R3-WT4A/ R3-WT4B)、
電力用マルチカード(形式:R3-WT1A/ R3-WT1B)

(株)エム・システム技研 開発担当

は じ め に

 エム・システム技研では、かねてからリモートI/O機器および電力変換器の、機種充実を目指して参りました。そして、リモートI/O機器としては、すでに次の3シリーズをご提供しています。

 • 多チャネル組合せ自由形リモートI/O:R3シリーズ

 • コンパクト組合せ自由形リモートI/O:R5シリーズ

 • コンパクト一体形リモートI/O: R1シリーズ

 今回は、機種拡充中のR3シリーズ(図1)の電力関連カードに新たに追加することになった、クランプ式交流電流センサCLSACLSB対応 電力入力カードについてご紹介します。

図1 リモートI/O R3シリーズ

1.概 要

 省エネ/省廃熱/省コストなどを実現するため、エネルギーの使用状況をきめ細かく監視し、制御/管理することが重要になってきています。

 今回発売を予定している電力入力カードは、次に挙げる2機種です。これらの機種を既存品と併せてご紹介します。

 • 4回路、クランプ式交流電流センサ用 電力入力カード(形式:R3-WT4A/ R3-WT4B)

 • クランプ式交流電流センサ用 電力用マルチカード(形式:R3-WT1A/ R3-WT1B)

 これらの機種は従来の電力カードの入力をクランプ式センサに対応させた製品です(表1表2参照)。既存設備の電力を新たに計測する場合、従来は入力用CTトランスの設置が必要であり、動力線の再配線など煩雑な作業が発生していました。これらの作業は、クランプ式センサの採用によって簡素化できるようになりました。

表1 電力入力カードと電力用マルチカードの種類

製品名称
形 式
センサ
点 数
電力入力カード
R3-WT4A
クランプ式交流電流センサ CLSA-□
4
R3-WT4B
クランプ式交流電流センサ CLSB-□
4
電力用マルチカード
R3-WT1A
クランプ式交流電流センサ CLSA-□
1
R3-WT1B
クランプ式交流電流センサ CLSB-□
1

表2 クランプ式交流電流センサの種類

CLSA リード線形
形 式
電流範囲(A)
電線経(φ)
CLSA-08
0~ 80
10以下
CLSA-12
81~120
16以下
CLSB ねじ端子台形
形 式
電流範囲(A)
電線経(φ)
CLSB-05
0~ 50
10以下
CLSB-10
51~100
16以下

2.R3-WT4/WT4A/WT4B: 4回路電力入力カード

 R3-WT4A/R3-WT4Bはすでに販売している電力入力カード(形式:R3-WT4)注1)をクランプ式センサに対応させたものです。R3-WT4/R3-WT4A/R3-WT4Bは4回路の電力各要素を、1台で測定します。今までの電力変換器では、入力端子数の制限から1台で1回路に対応していました。4回路電力入力カードでは、56mm幅のケースを採用することによって、入力端子数を20端子にすることができ、1枚のカードに4回路分を実装することが可能になりました。入力配線は、電圧1系統、電流4系統とし、電圧入力を共通化しています。測定要素については、各チャネルごとに有効電力の瞬時値と積算電力量が測定できます。

3.R3-WT1/WT1A/WT1B: 電力用マルチカード

 R3-WT1A/R3-WT1Bは電力用マルチカード(形式:R3-WT1)注1)をクランプ式センサに対応させたものです。電力系統の1回路の信号を接続するだけで、各種要素を演算します。測定要素として、有効電力、無効電力、力率、周波数、電力量、無効電力量の演算が可能なマルチ演算カードです。

 複数の支線負荷を前述のR3-WT4(4回路電力入力)やCT入力カード(形式:R3-CT4、4点CT入力)を使って測定すると同時に、主系統の負荷や力率などの特性を総合的に取得する目的にご利用いただけます。

4.共通の特長

 • 入力については、単相2線、単相3線、三相3線に対応可能です。

 • 入力(電圧入力、各電流入力)間相互絶縁については、トランスによる絶縁方式を採用し、耐電圧はAC 2000Vです(クランプ入力部はAC1000V)。

 • JIS C1111(AC−DCトランスデューサ)に準拠しています。過電圧強度、過電流強度、許容差、温度の影響、周波数の影響など、入力演算部分の諸仕様は従来の電力変換器シリーズと同様です(クランプ入力部を除く)。

 • スケーリング機能により、通信データについては実量値を伝送できます。

 • 停電時に積算電力値を記憶・保持する機能を搭載しました。

 • 脱落防止機能付き端子カバーを採用しました。端子カバーが脱落しない構造にしたため、配線作業が簡便であるとともにカバーの紛失防止にも役立ちます。また、各ねじ端子に測定用の窓があるため、カバーを開けることなくテスターなどを使った測定が可能です。

 • R3シリーズでは、ビルディングブロック方式を採用しています。

 この方式はベースのスロットに必要なユニットを選択して実装する方式であり、横連結方式(ベースレス方式)に比べ信頼性が高い方式です。ベースとしては、4スロット用から16スロット用まで7種類あります。

 16スロットのベースに、「通信カード」と「電源カード」および複数台の「4回路 電力入力カードR3-WT4」を実装して使用する場合、4回路電力入力カードは(56mm幅であり、1台に2スロット分を使用するため)最大6台まで実装でき、合計して最大24回路の測定が可能です。これらの入力カードで収集したデータを通信カードで伝送することにより、遠方のPCやPLCでエネルギー監視やエネルギー管理などを実行できます。

 通信カードは、通信方式としてCC-Link、PROFIBUS、Modbus、Ethernet、DeviceNet、LONWORKS、Tリンクといった各種のオープンフィールドネットワークに対応していて、フレキシブルなシステム構築が可能です。

 また、熱電対、測温抵抗体、ディストリビュータなど、R3シリーズ用の他の入力カードも同一ベースに実装できるため、一般のセンサ入力と電力入力の混載が可能であり、モータ温度と消費電力、あるいは流量と積算電力量等々を同時に測定できます。

 状況に応じて、必要な入力カードを必要な数だけ実装設置できるため、省スペース、省配線で測定システムの構築が可能です。

5.関連機器

 関連機器として、CT入力カード(形式:R3-CT4/R3-CT8)、交流電流入力カード(形式:R3-CT4AR3-CT4BR3-CT8AR3-CT8B)があります注2)。これらは4点、8点の電流入力カードで、クランプ式センサにも対応しています。  また、これらの機器と組み合わせて使用する電力監視用ソフトウェアMSRecoがあります。きめ細かな電力デマンド監視、電力監視にご利用いただけます注3)

図2 クランプ式交流電流センサの外観と寸法

お わ り に

 今回ご紹介した機器をご採用になり、効率のよい電力監視、電力管理を実現いただければ幸いです。

 クランプ式交流電流センサ対応カードを加え、エム・システム技研のリモートI/O R3シリーズのラインアップは一層充実しました。お客様は、ご使用目的やご予算に応じて最適最良な機器をご選択いただけます。

 今後もリモートI/O機器シリーズ、電力変換器シリーズの充実に努めて参ります。お客様各位から一層多くのご要望、ご意見をいただきたく、よろしくお願いします。

注1)電力入力カード(形式:R3-WT4)、電力用マルチカード(形式:R3-WT1)については『エムエスツデー』2004年12月号でご紹介しています。
注2)交流電流入力カード(形式:R3-CT4A/CT4B/CT8A/CT8B)については、『エムエスツデー』2005年12月号でご紹介しています。
注3)R3シリーズの電力関連製品については、『エムエスツデー』2005年11月号でご紹介しています。


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