エムエスツデー 2005年6月号

リモートI/O、ドライバソフトウェア、BAコントローラ

「MsysNet」システムを進化発展させる
「SCADALINX」と「R3RTU-EM」

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 スーパーDCS「MsysNet」システムは、1993年の発売以来ご好評をいただいています。このたび、このMsysNetシステムを進化発展させた次世代計装システムが登場しました。それを実現するための新製品であるHMI(Human Machine Interface)ソフトウェア「SCADALINX(スキャダリンクス)」注1)とエンベデッドコントローラ注2)「R3RTU-EM」注3)について、ここにご紹介します。図1に、SCADALINXとR3RTU-EMを用いた新しいシステムの構成例を示します。

図1 システム構成例

1.SCADALINX HMI

 SCADALINX HMIは、Webブラウザを利用するサーバ・クライアント形のHMIソフトウェアです。

 SCADALINXサーバは、ネットワークに接続されたR3RTU-EMやMsysNet機器(L-Bus対応)のほか、Modbus機器(Modbus/TCP対応)など各種機器から送られてくるデータを収集し、データベースに保存します。

 SCADALINXクライアントはネットワーク上に接続され、Webブラウザを通じてSCADALINXサーバへアクセスし、各種データやグラフィック画面を表示します。

2.R3RTU-EM

図2 エンベデッドコントローラ(形式:R3RTU-EM)とR3RTU-EMを搭載したR3シリーズの外観 エンベデッドコントローラ(形式:R3RTU-EM)はMsysNetシステムの機能を継承するコントローラであり(図2)、リモートI/O R3シリーズのI/Oと組み合わせることによって、マルチループコントローラとして動作します。また、SCADALINXなどの上位ソフトと組み合わせて使用すれば、シンプルな制御システムを実現できます。  R3RTU-EMには、以下に列挙する特長があります。

(1)R3シリーズのI/Oを使用
 R3RTU-EMをR3シリーズのベースにプラグインし、同じR3シリーズの多点入出力カードを実装することにより、コンパクトで安価な制御システムを構築することが可能です。現在、R3RTU-EMが利用できる機器は表1に示すとおりです。I/Oカードについては、ここに示した機種の中から4枚まで実装できます。接続できる製品と枚数は、今後随時増やして参ります。

表1 利用可能なR3シリーズ機器

製 品 名
形 式
価 格
ベース R3-BS04~10
8,000~17,000 円 
電 源 R3-PS□
15,000~20,000 円 
直流電流入力カード(絶縁4点) R3-SS4S
42,000 円 
直流電圧入力カード(絶縁4点) R3-SV4S
42,000 円 
直流電流出力カード(絶縁4点) R3-YS4S
68,000 円 
直流電圧出力カード(絶縁4点) R3-YV4S
68,000 円 
接点入力カード(Di16点) R3-DA16□S
22,000~25,000 円 
接点出力カード(Do16点) R3-DC16□S
26,000~32,000 円 

   * I/Oカードはこの中から4枚まで実装可能です。


(2)MsysNetの機能を継承
 R3RTU-EMは、L-Busを介してMsysNetシステムとシームレスに接続可能です。また内部設定についても、MsysNetシステムで培われた計器ブロックの機能を用いて行います。すでに多くの稼動実績があり、皆様に馴れ親しまれたMsysNetの機能を継承することにより、新たに学習することなく、信頼性の高いシステムを簡単に構築することを可能にしています。

(3)マルチPID機能
 R3RTU-EMは、1台のコントローラの内部にMsysNetコントローラを仮想的に8台まで配置できます。また、仮想的に配置した1台のコントローラには2個のPID調節計を配置できます。すなわち、最大16台のPID調節計をもつマルチループコントローラとして機能します。図3に、その内部構成を示します。

素3 R3RTU-EMの内部構成

3.HMIとコントローラの連携

 すでに概要と特長を説明したSCADALINX HMIソフトウェアとR3RTU-EMコントローラを組み合わせることにより、様々なメリットが生まれます。

(1)専用設計でベストマッチ
 SCADALINXの制御グループ画面は、R3RTU-EMのコントローラに合わせた設計になっています。R3RTU-EMの8ループを1画面に表示し、各コントロールループの制御状態およびループ間の相互関係を監視、操作することができます。またトレンドグラフ画面では、8点のプロセスデータを1画面に表示し、時系列にデータの変化を把握することができます(図1参照)。R3RTU-EMのコントローラ機能を最大限に発揮させることによって、最適な制御、監視操作環境を構築することができます。

(2)MsysNetリプレースに最適
 SCADALINX HMIとR3RTU-EMは、共にMsysNetの技術を基礎に開発しました。両者はL-Busを介して接続され、連携したシステムを作ります。したがって、既存のMsysNetにも容易に接続でき、システムの増設やリプレースを簡単に行うことができます。

(3)経済的なシステム
 R3RTU-EMと多点入出力ユニットを用いることによって、1点あたりのシステム費用を安くできます。たとえば、MsysNetDCSカード(形式:18MA)を8台使用して実現していた8制御ループは、R3RTU-EM 1台で構築できます。SCADALINX HMIの経済的な価格とあいまって、高機能なシステムを低費用で構築できます。

お わ り に

 エム・システム技研の次世代計装システムにおいて基幹をなす2製品、SCADALINX HMIとR3RTU-EMの概略をご説明しました。

 皆様にご愛用いただいてきたMsysNetは、SCADALINX HMIとR3RTU-EMの登場により、次世代の計装システムへと発展します。エム・システム技研の次世代計装システムをよろしくお願いします。

注1)本誌2004年3、4月号の「新計装システム「SCADALINX」(その1)、(その2)」、2004年12月号「Web対SCADALINX HMIのシステム生成」参照。
注2)本誌2004年6月号「エンベデッドコントローラ(形式:R3RTU)」参照。
注3)製品形式がR3RTU-A1からR3RTU-EM に変更になりました。

MsysNetSCADALINXは、エム・システム技研の登録商標です。


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