エムエスツデー 2005年2月号

リモートI/O、ドライバソフトウェア、BAコントローラ

機能強化された、PROFIBUS-DP対応
通信カード(形式:R3-NP1)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 ご好評をいただいているリモートI/O変換器R3シリーズに、機能強化されたPROFIBUS-DP通信対応の通信カード(形式:R3-NP1)を追加しました(図1)。

1.PROFIBUS通信とエム・システム技研の製品対応

図1 R3-NP1の外観と寸法 ご存じのように、PROFIBUSは主にPROFIBUS-DPとPROFIBUS-PAで構成され、FA(Factory Automation)とPA(Process Automation)を両方カバーする唯一のフィールドバスであり、世界中ですでに1000万ノードが出荷され(2003年末現在)、世界一のフィールドバスともいわれています。

 最も多く使われているのはPROFIBUS-DP通信プロトコルの製品です。PROFIBUS-DPは、マスタとスレーブ間の周期的データ交換を簡単でエラーなく行えるように設計され、DPV0、DPV1、DPV2という3つのバージョンをもっています。

 ●DPV0:  標準PROFIBUS-DPとも呼ばれ、DPの基本です。基本的機能である周期的なデータ交換と標準診断をもっています。また、オプションとして、ステーション診断、モジュール診断、そしてチャネル診断の機能があります。

 ●DPV1:  プロセスオートメーション用として、DPV0の機能を拡張したものです。マスタとスレーブ間の周期的なデータ交換と同時に、非周期のデータ伝送もサポートし、機器のパラメータ設定、状態とデータの監視などがより便利に行えます。

 ●DPV2:  高速ドライブアプリケーションなどに対応するため、さらに機能を拡張したものです。アイソクロノス(Isochronous Mode)通信とスレーブ間通信などが追加されています。

 エム・システム技研では、常に計装業界のトレンドを捉え、積極的に最新技術を自社製品に取り込んできました。すでに発売されたR5シリーズのPROFIBUS-DP用通信カード(形式:R5-NP1、DPV0対応)注1)に続き、PA向けのPROFIBUS-PA通信対応2線式ユニバーサル温度変換器(形式:B3PU、DPV1およびPROFIBUS-PA Profile V3.0対応)注2)および今回のPROFIBUS-DP通信のR3-NP1(DPV1対応)を開発することによって、PROFIBUSのI/Oに全面的に対応できるようになりました(図2参照)。

図2 PROFIBUS-DP、PROFIBUS-PAを使ったフィールドネットワークシステム

2.R3-NP1の通信仕様

 ●通信プロトコル:  PROFIBUS- DPV1。標準のPROFIBUS通信DPV0から拡張された部分、すなわちDPV1までサポートします。もちろん、DPV1に対応していないマスタに対しても、DPV0スレーブとしてR3-NP1が使えます。

 ●診断情報:  PROFIBUS標準診断情報とともに、ステーション診断、モジュール診断、チャネル診断などの情報にも対応します。

 ●LED表示:  R3シリーズの仕様とPROFIBUSの推薦仕様という2つのパターンからDIPスイッチによって選択できます。

 ●MSAC2(Master Slave Acyclic Communication of Class 2)通信:  最大2チャネルの非周期通信をサポートします。PLCマスタ以外の、コンフィギュレーションツールやモニタの目的で使用するマスタは、Class2マスタと呼ばれます。MSAC2とは、Class 2マスタとスレーブの間に行われる非周期的な通信です。

3.R3-NP1における強化された機能の紹介

 リモートI/O 変換器R3シリーズには、次に挙げる共通した特徴があります。

 ●高密度実装
 ●通信の2重化
 ●豊富な種類のI/Oカード
 ●多種類の通信プロトコルに対応
 ●自由自在なカードの組合せと実装

 R3-NP1は、リモートI/O 変換器R3シリーズの共通した特徴を継承するとともに、PROFIBUSの先端技術に合わせて、フィールドバスの特徴を引き出し、便利に使えるための多くの機能を加えてもっています。

 ●豊富な診断情報:  標準のPROFIBUS診断情報以外に、I/Oカードの状況を示すカード関連情報(ID-related)、より詳細なスレーブ全体情報(Device-Status)もサポートします。さらに、エラーがあるチャネルに対しては、スロット番号、チャネル番号、エラーの種類の情報(Channel-related)までサポートします。スレーブの全貌から、問題のあるチャネルを特定できる情報が得られ、これらの診断情報の使い分けにより、エラー監視と処理、現場でのトラブルシュートが便利に行えます。

 ●警報レベルの選択可能:  I/Oカードの抜き差しや、I/Oカードのデータエラー、ハードウェアエラーなどに起因する診断情報は“非緊急(Status)”と“緊急(Diagnostic)”として選択できます。“緊急”診断情報にすれば、マスタPLC処理の割り込みを発生させることができます。

 ●実装I/Oカードのチェック:  ベンダー独自のカードIDを使うことにより、PLCからのコンフィギュレーション情報と実装状況との照合を行い、より確実な実装ができます。同じデータ長をもつI/Oカードでも、コンフィギュレーションされた位置に正しく実装しないと、実装エラーの診断情報が出されます。したがって、カードのスワップミスを防ぐこともできます。

 ●データバッファの節約:  マスタ(PLC)内部のデータバッファとしては、R3-NP1が使う分だけが配分され、むだを生じません。

 ●LED表示:  通信なし、I/Oカード異常、コンフィギュレーションエラーなどR3-NP1の状況を表すLED点滅にはそれぞれの表示パターンがあり、エラー原因などR3-NP1の状況が現場でも一目で分かります。

 ●MSAC2通信:  メインのPLCとの通信には関係なく、Class2マスタはMSAC2通信経由でR3-NP1の内部状況、I/Oカード入出力データなど詳しい情報にアクセスできます。リモート診断や監視には便利な機能です。

 さらに具体的な機能についてはR3-NP1の仕様書や取扱説明書などをご参照ください。

お わ り に

 優れた性能をもち、かつ簡単に使える製品をお客様にご提供するのがエム・システム技研の目標です。これからも最新の技術を取り込みながら、使いやすい製品の開発に努力を傾注していきます。よろしくご声援をお願いします。

注1)本誌2002年8月号の記事をご参照ください(エム・システム技研ホームページhttps://www.m-system.co.jp/でもご覧いただけます)。
注2)本誌2004年11月号の記事をご参照ください(前記のホームページでもご覧いただけます)。


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