エムエスツデー 2009年10月号

電力監視コンポーネント、表示器

4点指示形
零相電圧メータ(形式:54Z)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 

図1 54Zの外観と寸法

 『エムエスツデー』誌2007年6月号および2008年10月号で、パネル埋込形電力マルチメータ54・UNITシリーズ電力マルチメータ(形式:54Uをご紹介しましたが、今回54・UNITシリーズに、EVT(接地形計器用変圧器)注1) に接続して地絡現象注2)を検出する零相電圧メータ(形式:54Zを追加しましたので、ここにご紹介します。

主な機能と特長

 54Zは110ミリ角、ねじ端子接続、ねじ取付け(ストッパ取付けも可能構造)の零相電圧メータです(図1図2)。

図2 54Zのパネル図

表1 54Zの主な仕様

表1 54Zの主な仕様

 EVTの零相三次電圧を計測し、地絡現象を検出します。

 表154Zの主な仕様を示します。

(1)入力回路
 EVTまたはVTの二次電圧入力については、相電圧入力と線間電圧入力を切り換えて設定することが可能です(図3)。

 EVTの三次電圧入力についても110Vと190Vは共用であるため、設定変更を行うだけで様々な入力に対応することができます。

(2)測定項目
 相電圧、線間電圧、零相電圧および周波数の各最大値と最小値の計測ができます。

(3)地絡相検出機能
 警報発生時に自動的に地絡検出表示に切り換わります。地絡検出表示では最大零相電圧と最小相電圧を表示します。このとき最小の相電圧を示す相が地絡した相です。

 線間電圧入力の結線でご使用の場合には最大零相電圧だけを表示します(線間電圧入力の結線では地絡は検出できますが、地絡時の正確な相電圧は計測できません。地絡した相を検出するには、相電圧入力の結線でご使用ください)。

図3 54Zの結線図

(4)アナログ出力、警報出力
 アナログ出力は4チャネルあり、各種の測定項目を割り当てることができます。また、出力を任意の値に設定できるループテスト機能も備えています。

 警報出力は2チャネルあり、警報対象としては零相電圧、相電圧、線間電圧、周波数から選択でき、復帰動作については自動復帰と手動復帰を選択設定可能です。

(5)応答時間
 最速で40ms以下(50/60Hz入力時)という高速応答を実現しました。応答時間は、40ms~60s以下(50/60Hz入力時)の範囲で設定することができます。アナログ出力については、設定応答時間+400ms以下(0→99%)です。

(6)外部接点入力
 外部接点入力によって、警報のリセット、最大・最小値のリセット、計測要素の切り換え、相の切り換えが行えます。

(7)前面表示
 54Zの前面表示には、デザイン性に優れたLCDを採用し、バーグラフ1行とデジタル表示3行を表示します。最下行はインフォメーション機能も備え、警報発生時には警報の内容を文字で点滅表示することでオペレータに知らせます。

 バーグラフには任意の測定項目を表示でき、目盛の最小値、最大値を任意の値に設定することが可能です。警報の範囲も同時にバーグラフで表示しているため、一目で測定値と警報の範囲を実量で把握できます。

(8)赤外線通信、コンフィギュレータ
 54Zは、赤外線通信アダプタ(形式:COP-IRUに対応していて、パソコンと54Zを非接触で通信させ、各種設定を行うことができます。

 コンフィギュレータソフトウェア(形式:54ZCFG)は、エム・システム技研のホームページ(https://www.m-system.co.jp/)からダウンロードしてお使いいただけます。このソフトウェアを使えば、パソコン上で54Zのパラメータを編集することができ、機器パラメータの編集、書き込み、読み込み、パラメータのファイル管理、編集パラメータと機器パラメータの比較表示などが可能になります。またレポート機能があり、設定情報をCSVファイルで出力できるため、設定値を容易に確認することができます。

 機器前面からでも同じ内容の設定は可能ですが、54ZCFGを用いることで、設定作業をより容易に行うことができます。間違えて設定を変更してしまい、どこを変更したのかわからなくなってしまった場合でも、設定時のファイルを再度書き込むことで、容易に元の設定に戻すことが可能です。図454ZCFGの画面例を示します。

図4 54ZCFGの画面例

おわりに

 今回は、54・UNITシリーズに新たに追加した零相電圧メータ54Z)をご紹介しました。電力マルチメータ54U)と合わせて、省エネ実現およびより安全な電力管理設備を構築するためお役に立てれば幸甚です。

 今後も、電力管理関連機種の拡充に努めて参ります。電力管理関連機器に関するご意見、ご要望などをおもちの場合は、ぜひともエム・システム技研ホットラインまでお寄せください。

注1)EVTEarthed Voltage Transformer:接地形計器用変圧器):一次巻線、二次巻線、三次巻線を備え、地絡事故が発生した場合、三次巻線に零相三次電圧が誘起される変圧器です。零相三次電圧を計測することにより地絡を検出することができます。
注2)地絡現象:電路の絶縁破壊や他の物質との接触などによって電路と大地間の絶縁が異常に低下し、電気回路が大地につながれた状態をいいます。電路や機器の外部に危険な電圧が発生したり異常な電流が流れたりします。


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