エムエスツデー 2009年4月号

電力監視コンポーネント、表示器

パネル埋込形 電力マルチメータ(形式:53U)に
高精度タイプを追加

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 53Uの外観 エム・システム技研では、かねてより、消費電力監視システムを構築するために必要な電力関連機器の充実に力を注いで参りました。

 先に、『エムエスツデー』誌2008年1月号にて、電力マルチメータ(形式:53U図1)の入出力仕様の追加についてご紹介しましたが、今回は、同じ53Uに高精度タイプの機種を追加したので、ここに、従来からの53Uの機能と併せてご紹介します。

1.高精度タイプについて

 高精度タイプは、従来の標準タイプ製品と比較して入出力や計測項目の仕様等は変わりませんが、電圧・電流の測定許容差が±0.2%(標準:±0.3%)、電力量の測定許容差が±0.5%(標準:±1.0%)と高精度です。また、高精度タイプは、「IEC 62053-22のclass 0.5s」および「IEC 62053-23のclass 2」に準拠しています。
 より正確な電圧、電流、電力量の計測が必要な場合には、高精度タイプをご選択ください(付加コードにて選択)。

2.53Uの主な特長

 電力マルチメータ 53Uは、前面寸法96角、ユーロ端子接続、ストッパ固定、IP50(パネル)などの特長をもっています。

(1)測定要素図2
 1台で単相2線、単相3線、三相3線、三相4線といったすべての結線方式に対応できます。また測定項目としては、電圧、電流、有効電力、無効電力、力率、周波数、皮相電力、電力量、無効電力量、高調波注1)、最大値、最小値、デマンドといった多数の要素から、ご希望に合わせてお客様が自由に選択・測定して、表示できるフレキシブルで高機能なマルチメータです。

図2 53Uの結線図
図2 53Uの結線図[拡大図

(2)LCD表示
 53Uの計測値などの表示は、4行表示としました。

 上3行では、電圧、電流、電力などの瞬時値を表示します。また、できるだけ文字サイズを大きくし、視認性の向上を図りました。さらに、表示値と連動するバーグラフを3個用意して、現在値を一目で把握できるようにデザインし、日常監視の便を図っています。

 最下行には文字によるインフォメーション機能をもたせ、通常は電力量など積算値の表示を行っていますが、警報発生時には警報の内容を文字で点滅表示することによってオペレータに知らせます。また機器設定時には、最下行に設定項目を文字で表示するようにし、マニュアルを見なくても設定できるようにしました。なお、表示の更新周期を任意に設定できるため、測定値をゆっくりメモすることができます。

(3)操作性
 計測表示内容は、前面のボタンを押していくことで、電圧 → 電流 → 電力…のように簡単に切り換えられます。また、無操作状態が設定した時間続くと、あらかじめ設定した表示に戻るホーム表示機能を設けています。

 VT比、CT比の設定などで使用する設定メニューへのアクセスに際しては、暗証番号による保護機能を備えているため、間違ってうっかり設定値を変えてしまうことはありません。

(4)通信機能
 計測したすべての演算項目をRS-485 Modbus通信で伝送でき、各電力供給ラインごとに配置した53Uを上位でまとめて監視することによって、各種電力データの収集分析を容易に実現できます。また、通信機能を使って警報値やバックライトの輝度変更などの各種設定も可能です。

(5)接点出力
 接点信号の出力はオープンコレクタ出力であり、有効電力量、無効電力量などの計量用パルス出力あるいは警報出力のいずれかに設定できます。また、その際パルスレートや警報設定値を自由に設定できます。なお、模擬出力機能を装備しているため、監視制御対象であるプラントなどの立ち上げ時には、容易に接続を確認できます。

(6)接点入力
 接点入力信号については、電力量計測におけるリセット用トリガ信号、あるいは昼間電力量、夜間電力量など測定条件の切り替え、設備のON時間の計測入力などに使用できます。またModbus通信によって接点の状態をモニタできるため、負荷のON/OFF情報を測定データとともに伝送できます。

(7)アナログ出力
 アナログ出力信号は4チャネルまたは2チャネルであり、信号としてはDC4~20mAまたはDC1~5Vのいずれかをお選びいただけます。それぞれのチャネルには各種の測定項目を任意に割り付けて出力できます。またMX・UNITシリーズなどでご好評をいただいている、立ち上げ時に出力を任意の値に設定できるループテスト機能も装備しました。

(8)パソコンによる設定図3
 コンフィギュレータソフトウェア(形式:53UCFG注2)をエム・システム技研のホームページからダウンロードしてお使いいただくことにより、パソコン上で電力マルチメータ 53Uの設定編集、設定のファイル管理、編集画面の設定値と機器の設定値の比較表示などが可能になります。機器前面からでも同じ内容の設定は可能ですが、53UCFGを使用することによってはるかに短時間で簡単に処理できます。

図3 53UCFGの画面例

(9)パソコンによる監視図4
 電力マルチメータ専用PCレコーダライトソフトウェア(形式:MSR128LU□に対応しています。このソフトウェアをお使いいただけば、市販のWindowsパソコンを利用して工業用記録計を実現できます。53Uが収録したデータをパソコン上にトレンド表示、あるいは数値表示します。このソフトウェアもエム・システム技研のホームページからダウンロードしてお使いいただけます。

図4 MSR128LU□の画面例

お わ り に

 今回は、電力マルチメータ 53Uへの高精度タイプ機種の追加について、また53Uの従来からの機能と特長についてご紹介しました。エム・システム技研の電力関連製品をご使用いただき、省エネ実現のお役にお立てください。

 今後も、電力関連製品の機能拡充、機種拡充に努めて参ります。電力関連機器に関するご意見、ご要望などがありましたら、お気軽にエム・システム技研ホットラインまでお寄せください。

注1)高調波は、電流・電圧について31次高調波まで測定可能です。
注2)53Uとパソコンとの接続には、専用のコンフィギュレータ接続ケーブル(形式:MCN-CONまたはCOP-US(USB対応))が必要です。


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