エムエスツデー 2008年10月号

電力監視コンポーネント、表示器

4点指示形 電力マルチメータ(形式:54U)−三相4線対応、オープンコレクタ出力2点対応、電力量測定項目追加−

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 54Uの外観と寸法(三相4線式) 近年、省エネへの関心が高まり、電力監視システムに依存するケースが多くなっています。エム・システム技研では、かねてより消費電力監視システムを構築するために必要な電力関連機器の充実に力を注いで参りました。
 先に、『エムエスツデー』誌2007年6月号にて電力マルチメータ(形式:54Uをご紹介しましたが、今回、その54Uに新たな機能を追加し、三相4線式への対応、オープンコレクタ出力2点への対応、電力量の測定項目の追加充実を実現しました。ここに、従来の機能と併せて54Uを再度ご紹介します。

主な機能と特長

(1)測定要素

 今回の機能追加により、単相2線、単相3線、三相3線に加え、三相4線式システムにも対応できるようになりました。そのため、従来品に較べて外形が少し異なり、端子数が増えています(図2図3)。

図2 54Uの結線図(三相4線式)
図3 54Uのパネル図

表1 電力量の追加測定項目

内  容
 ピーク時無効電力量(受電)
 ピーク時無効電力量(送電)
 ピーク時有効電力量(受電−送電)
 ピーク時無効電力量(受電+送電)
 オフピーク時無効電力量(受電)
 オフピーク時無効電力量(送電)
 オフピーク時有効電力量(受電−送電)
 オフピーク時無効電力量(受電+送電)

 測定項目は、電流、電圧、有効電力、無効電力、皮相電力、力率、周波数、有効電力量、無効電力量、高調波注1)、電圧位相差に加え、電力量の測定項目を追加しました。表1に追加した測定項目を示します。
 上記項目のほかにも、潮流演算注2)、四象限演算注3)、最大値、最小値、電力デマンド、カウント時間など、合計450以上の項目の中から必要な項目を選択して、測定値を表示できる高機能なマルチメータです。

(2)オープンコレクタ出力

 オープンコレクタ出力は、電力量計測時のパルス出力と警報出力のいずれかに対して設定できます。従来の54Uでは、オープンコレクタ出力1点+接点入力1点に限られていましたが、今回の機能追加によってオープンコレクタ出力2点(接点入力はなし)の選択も可能になりました。また、システム立ち上げ時に容易に接続の確認を行うための模擬出力機能も備えています。

(3)接点信号入力

 接点信号入力は、デマンド値の更新や電力量のリセット用トリガ信号に使います。また、Modbus通信を用いれば、ON/OFF情報を測定データと共に伝送でき、接点の状態をモニタすることが可能です。

(4)Modbus通信、アナログ出力

 Modbus通信かアナログ出力のどちらかをご選択いただきます。

 Modbus通信の特徴は、すべての測定項目の測定値を伝送することができ、必要な電力データを上位に送り、収集分析を行えることです。また、通信機能を使って、表示項目や警報値などの設定を行うことができ、54U用のコンフィギュレーションソフトウェアを使用することも可能です。

 アナログ出力は4チャネルあり、各種の測定項目を割り当てることができます。また、出力を任意の値に設定するためのループテスト機能を備えています。

(5)前面表示

 54Uの前面表示は、デザイン性に優れたLCDを採用し、バーグラフ1行とデジタル表示3行を表示します。最下行にはインフォメーション機能をもたせ、通常は積算値を表示していますが、警報発生時には警報の内容を文字で点滅表示することによってオペレータに知らせます。

 バーグラフは任意の測定項目を表示でき、目盛の最小値、最大値については任意の値に設定することが可能です。警報の範囲は同時にバーグラフで表示しているため、一目で測定値と警報の範囲を実量で把握できます。

 また、ホーム表示機能を備えていて、無操作状態が設定した時間続くと、あらかじめ設定した表示に戻ります。

図4 赤外線通信によるコンフィギュレーション
図5 53UCFG測定値表示画面例

(6)赤外線通信、コンフィギュレータ

 54Uは、赤外線通信アダプタ(形式:COP-IRUに対応していて、パソコンと54Uを非接触で通信させることによって、各種の設定が行えます(図4)。

 コンフィギュレータソフトウェア(形式:53UCFG図5)は、エム・システム技研のホームページからダウンロードしてお使いいただけます。このソフトウェアを使えば、パソコン上で電力マルチメータ53U54Uのパラメータを編集することができ、機器パラメータの編集、書き込み、読み込み、パラメータのファイル管理、編集パラメータと機器パラメータの比較表示などが可能になります。機器前面からでも同じ内容の設定は可能ですが、53UCFGを用いることによって、設定作業はより容易になります。

おわりに

 今回は、三相4線式への対応やオープンコレクタ出力2点への対応、および電力量の測定項目を追加した電力マルチメータ54Uをご紹介しました。54Uをご採用いただくことで、省エネをより容易に実現いただければ幸いです。
 今後も電力関連機種の拡充に努めて参ります。電力関連機器に関する、ご意見、ご要望などがありましたら、お気軽にエム・システム技研ホットラインまでお寄せください。

注1)高調波は、電流・電圧について31次高調波まで測定可能
注2)送電、受電の演算
注3)送電LEAD・LAG、受電LEAD・LAGの演算


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