エムエスツデー 2005年8月号

電力監視コンポーネント、表示器

クランプ式センサ入力形 交流電流トランスデューサ
(形式:LTCECおよび14CEC)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研では、かねてより電力用トランスデューサシリーズの機種充実を目指して参りました。

 エム・システム技研は、電力用トランスデューサとして、以下の8シリーズを、現在ご提供しています。
  • コストパフォーマンスに優れた、M4ねじ端子形「LT・UNITシリーズ」(図1
  • センサ直入力形も同一ハウジングで揃えた、省スペースボックス形「14・UNITシリーズ」(図2
  • 高速形、インバータ対応製品も揃えた、プラグイン形「M・UNITシリーズ」
  • 充実のラインアップ24機種を有し、メンテナンスが容易なプラグイン形「K・UNITシリーズ」
  • 充実のラインアップ18機種を揃えた、ボックス形「L・UNITシリーズ」
  • 出力がコネクタで一括して取り出せる、ラック収納形「17・RACKシリーズ」
  • マルチトランスデューサ「LS・UNITシリーズ」
  • 電力マルチメータ「51/52・UNITシリーズ」

 このたび、LT・UNITシリーズと14・UNITシリーズにクランプ式センサ入力形、実効値演算 交流電流トランスデューサ(形式:LTCECおよび14CEC)を新たに追加する運びとなりましたので、ここにご紹介します。

図1 LT・UNITシリーズ図2 14・UNITシリーズ

1.概 要

 近年、産業分野では省エネ/省廃熱/省コストなどのため、エネルギーの使用状況をきめ細かく監視するとともに制御/管理することが重要になってきています。また省エネ法の改正により、産業分野以外でもエネルギー計測が必要になってきました。

 今回追加する交流電流トランスデューサは、CTセンサをクランプ式とすることによって、従来のCTトランスを使う方法に比べてより簡単に設置できます。

 クランプ式の電流変換器としては、従来から「広帯域電流変換器(形式:CTS)」があり、この変換器は4~10kHzの広い周波数範囲、30~3000Aの広い電流範囲を計測できるため、インバータ回路の計測に適した変換器です。おかげさまで、CTSは発売以来今日までご好評をいただいています。

 今回ご紹介する製品は、サーキットブレーカ単位の電流を測定する用途に適した商品として企画しました。とくに、既存設備に増設する場合に最大のメリットを発揮します。

2.クランプ式センサ

図3 クランプ式センサ(CLSA-08) 既存設備の電流を新たに計測する場合、従来は入力用CTトランスの設置に伴い動力線の再配線などの煩雑な作業が発生していました。LTCEC、14CECには、それらの作業を簡素化できるようにクランプ式センサを採用しました(図3)。

 このセンサは、分電盤など既存設備への取付けが容易なワンタッチクランプ形です。電線を直接挟み込む構造にするためコアを分割式とすることで、従来のような電線を貫通させる作業が不要になりました。また挟み込んだ後の締め付けはケースと一体化したスプリング爪(スナップフィット構造)による固定で、ねじによる締め付け作業が不要です。

 センサの出力構造については、リード線タイプのCLSAとねじ端子タイプのCLSBを用意しました(表1)。

 CLSA-08、CLSA-12のリード線は長さが3mあり、自由なレイアウトが可能です。リード線はコネクタによりセンサと分離できます。CLSBにはM3ねじ端子を採用し、端子カバー付きにしました。

表1 クランプ式センサの種類

CLSA リード線形
形 式
電流範囲(A)
電線経(φ)
CLSA-08
0~ 80
10
CLSA-12
81~120
16
CLSA-30
121~300
24
CLSA-50
301~500
36
 
CLSB ねじ端子台形
形 式
電流範囲(A)
電線経(φ)
CLSB-05
0~ 50
10
CLSB-10
51~100
16
CLSB-20
101~200
24
CLSB-40
201~400
35
CLSB-60
401~600
35

図4 クランプ式センサ(CLSA)の外形寸法図

3.保護回路

 CTトランスの場合は、センサの2次側を解放すると高電圧が発生し危険な状態になります。今回採用したセンサは保護回路を内蔵し、2次側を解放しても危険を生じない設計としました。したがって、設置時の2次側短絡処置は不要です。

4.入 力 値

 サーキットブレーカの定格電流値10、15、20、30、40、50、60、75、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、500、600Aに対応させ、幅広い入力範囲を許容しています。

 使用するセンサは、電流値と出力構造に対応して9種類を用意しました(表1)。

5.実効値演算方式

 入力信号に対して連続して二乗、平均、開平(rms)処理を行っていますから、多くの高調波(歪み)を含んだ入力信号の場合にも正確に計測できます。また周波数特性の良い回路方式を採用し、400Hz以上の入力にも対応させました。

 今回ご紹介した機器をお使いいただき、効率の良い電力の監視、管理、制御にお役立ていただければ幸いです。

お わ り に

図5 LTCECの端子接続図 クランプ式センサ入力形、実効値演算 交流電流トランスデューサ(形式:LTCECおよび14CEC)を加えることにより、エム・システム技研の電力シリーズのラインアップは一層充実しました。

 なお近い将来、クランプ式センサはリモートI/O R3シリーズの電流、電力入力カードにも展開する予定です。

 ユーザーの皆様には、ご使用目的やご予算に応じて多種多様な機種の中からベストな機器をご選択いただけます。エム・システム技研は、「時代が求めるインタフェース機器の総合メーカー」を目指し、今後とも各シリーズの充実に努めて 参ります。ユーザー各位からは一層多くのご意見をいただきたく、よろしくお願いします。 


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