エムエスツデー 2009年8月号

PCレコーダ、MSRpro、チャートレス記録計システム

パネルマウント式
小形 チャートレス記録計(形式:71VR1)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 71VR1の外観

 エム・システム技研では、信号の記録・監視を簡単容易に行う製品として、汎用パソコンと組み合わせることにより記録・監視システムを実現するPCレコーダソフトウェア(形式:MSRPAC-2008をはじめ、オールインワンタイプの入出力一体形チャートレス記録計(形式:73VR2100など、多種多様なチャートレス記録計をご提供して参りました。

 今回は、ご好評をいただいている上記の入出力一体形チャートレス記録計73VR2100)をさらに小形化し、少点数の記録と監視に最適な新シリーズ製品(形式:71VR1)を開発したので、ここにご紹介します。

1.概 要

 この小形チャートレス記録計(形式:71VR1)は、3.5型のTFTカラー液晶を採用した96角サイズの電子式チャートレス記録計です(図1図2)。

図2 71VR1の外形寸法図

 最新のTFTカラー液晶によって、収集したデータを鮮やかにトレンドグラフ表示あるいはデジタル表示します。図3に表示画面例を示します。

 前面パネルについてはIEC規格の防水・防塵構造(IP65)に準拠しているため、水がはねたり、定期的に水洗いするような場所でもご使用いただけます。

図3 71VR1の表示画面例

2.記録機能

 記録計としてデータ収録できるチャネル数は、アナログ入力8チャネル、デジタル入力8チャネルです。そのほかに、警報出力用としてデジタル出力8チャネルを用意しています。

表1 71VR1のインターフェース

形 式 71VR1-N001 71VR1-N101
 アナログ入力端子 なし 2チャネル
 デジタル入力端子 2チャネル 2チャネル
 デジタル出力端子 2チャネル 2チャネル
 外部インタフェース Modbus Modbus

 71VR1本体には、トリガ入力やイベント入力などに使用できる2チャネルの接点入力端子と、警報出力に使用できる2チャネルのリレー接点出力端子を備えています。入力信号や出力信号を取り扱うその他の方法としては、通信によってリモートI/O(Modbus-RTUスレーブ機器)のデータを収集する方式を標準装備しています(表1)。

 また、2チャネルの直流入力端子を備えた一体形の形式もあります。この一体形の場合には、Modbus通信に加え、2チャネルの直流電圧入力信号または直流電流入力信号を本体に直接取り込む機能を備えていますから、2チャネルのデータ収録であれば、リモートI/Oを別途ご用意いただかなくても記録計として機能します。

 データ収録周期は100ms注)から10sの間で選択可能です。

3.トリガ機能

 データ収録の開始方法については、操作画面で連続収録開始および停止の操作を行う一般的な方法と、収集したデータの条件に対応してデータ収録を開始するトリガ収録の方法とがあります。トリガ機能の設定を行うことによって、条件が揃えばデータ収録を開始し、条件からはずれるとデータ収録を停止することができるため、不要なデータは収録せず必要な条件に限定したデータ収録が可能です。

4.警報機能

 71VR1は、アナログ信号8チャネルとデジタル信号8チャネルの合計16チャネルのデータを収集します。この収集するデータに対して警報の設定が可能です。アナログ信号に対する警報については、5領域の閾値を設定できますから、上限警報、上々限警報、下限警報、下々限警報の警報設定が可能です。

 警報発生時または警報復帰時に、あらかじめ登録しておいたメッセージと発生時刻を警報ログとして記録するため、警報が発生した場所や順序を確認することができます。また、異常警報発生用警報ログの収録件数は最大200件であり、最新200件の警報ログをメモリカードに記録します。

5.収録データ

 収録したデータは取り外し可能なメモリカードに記録します。収録したデータをメモリカードの交換または回収によってパソコンへ取り込む方法とともに、赤外線通信を使って、収納データを転送することによってパソコンに取り込むことも可能です。

6.コンフィギュレータソフトウェア(71VRCFG)

 71VR1専用のコンフィギュレータソフトウェア71VRCFG)をエム・システム技研のホームページ(https://www.m-system.co.jp)から無料でダウンロードいただけます。

 このソフトウェアを動作させたパソコンと71VR1本体とを赤外線通信アダプタ(形式:COP-IRDAを経由して赤外線通信させることによって、設定値の送受信、警報ログの読み出し、メモリカード内のトレンドデータファイルの読み出しなどを行うことができます(図4)。

図4 パソコンとの赤外線通信

 また、赤外線通信およびメモリカードにて読み出した警報ログファイルおよびトレンドデータファイルをCSV形式に変換することができるため、Microsoft Excelなどで編集・解析・グラフ表示することが可能です。

 さらに、71VRCFGを使って設定した内容を設定ファイルとしてメモリカードに保存し、それを71VR1本体に読み込ませたり、逆に71VR1本体にてメモリカードに落とし込んだ設定情報を、設定ファイルとして71VRCFGが読み込み、表示・編集することもできます。

おわりに

 以上、エム・システム技研のチャートレス記録計の製品群に新たに加えた、小形で取付け場所を選ばないチャートレス記録計71VR1)についてご紹介しました。

 この記録計は、お客様の機器に組み込んで、動作の監視や運転記録あるいは履歴管理など、少点数の記録と監視を行うのに最適な記録計として仕上げてあります。従来はあきらめていたような小さなスペースにも適応できる記録計です。今後もラインアップを増やし、シリーズの強化を予定しています。ご意見やご要望などございましたら、どうぞお気軽にエム・システム技研ホットラインまでご連絡をいただきたいと思います。

注)記録計本体の入力端子だけを直接使用した場合です。リモートI/Oで信号を集めるチャネルが増えると、最速の収録周期は遅くなります。


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