エムエスツデー 2007年7月号

PCレコーダ、MSRpro、チャートレス記録計システム

73VRシリーズに新登場、
分散設置に最適な入出力機器分離形記録計
チャートレス記録計(形式:73VR1100)(2)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 前回に引き続き、チャートレス記録計 73VR1100 をご紹介します。73VR1100 は、従来の73VRシリーズ製品の機能を継承した入出力機器分離形のチャートレス記録計です。

 今回は、73VR1100 で使用できるリモートI/O機器と、73VR1100 から新たに追加された2つの機能(グラフィック表示機能、コメント文挿入機能)についてご紹介します。

1.対応リモート I/O

 73VR1100 に接続できるリモートI/O機器を表1に示します。

表1 73VR1100 対応リモートI/O

信号種別
形  式
R1MRZMS
シリーズ
R2Mシリーズ
直流電圧 R3-SV4
R3-SV4A
R3-SV8
R3-SV8A
R3-SV8N
R3-SV16N
R5-SV R5T-SV R1M-GH2
R1MS-GH3
RZMS-U9
R2M-2G3 R7M-SV4
直流電流 R3-SS4
R3-SS8
R3-SS8N
R3-SS16N
R5-SS R5T-SS
熱電対 R3-TS4
R3-TS8
R5-TS R5T-TS R2M-2H3 R7M-TS4
測温抵抗体 R3-RS4
R3-RS8
R5-RS R5T-RS R1M-J3
RZMS-U9
R7M-RS4
ポテンショメータ R3-MS4
R3-MS8
R5-MS
ディストリビュータ R3-DS4
R3-DS8N
R5-DS
CT入力 R3-CT4
R5T-CT
クランプ式センサ用
交流電流入力注)
R3-CT4A
R3-CT4B
R3-CT8A
R3-CT8B
R5T-CTA
R5T-CTB
PT入力 R3-PT4
R5T-PT
パルス入力 R3-PA4
R1M-P4
積算パルス入力 R3-PA16
R3-PA4A
R1M-P4
R1M-A1
接点入力 R3-DA16
R3-DA16A
R3-DA16B
R3-DA32A
R3-DA64A
R5-DA4
R5-DA16
R5T-DA4 R1M-A1
R7M-DA16
R7M-EA16
(増設用)
接点出力 R3-DC16
R3-DC16A
R3-DC16B
R3-DC32A
R3-DC64A
R5-DC4
R5-DC16
R5T-DC4 R1M-D1
(オープン
  コレクタ)
R7M-DC16A
R7M-DC16B
R7M-EC16A
(増設用)
R7M-EC16B
(増設用)
電力入力 R3-WT4
クランプ式センサ用
電力入力
R3-WT4A
R3-WT4B
   *上記のほか、電力マルチメータ(形式:53U54U )に対応。
注)R3シリーズは、コンフィギュレータソフトフェア(形式:R3CON )により設定を変更する必要があります。

 • 73VR1100 にはエム・システム技研の豊富なリモートI/O 機器が使用でき、直流電圧・電流、熱電対、測温抵抗体入力に加え、接点入力、積算パルス、交流電圧・電流・電力など、多彩な入力データの収録が可能です。

 • 2006年末に販売を開始した少点数入出力ユニットR7Mシリーズ、また電流、電圧、電力(量)、力率など電力の基本量からデマンド電力や31次までの高調波歪み率など、様々な交流諸量が計測できる電力マルチメータ(形式:53U54U)にも対応しています。

 • これら多種多様な入力機器を、必要に応じてを十分に使えるように入力チャネル数は73VRシリーズ最大の128チャネルとしました。

2.簡易グラフィック表示

 73VR1100 では、エム・システム技研のPCレコーダソフトウェア MSRpro(エムエスアールプロ)でおなじみのグラフィック表示機能を追加しました(グラフィック表示仕様は、表2をご参照ください)。

表2 グラフィック表示仕様

グラフィック画面 最大2画面
背景画 320×240 のbmpファイル
部 品
(最大64部品)
タイトル タイトルの表示
デジタル値表示 アナログ入力値をデジタル値表示
LED デジタル入力値をON/OFFの設定色で表示
バーグラフ アナログ入力値をバーグラフ表示、アラーム時は設定色で表示
ジャンプ先 トレンド表示画面、オーバービュー表示画面、バーグラフ表示画面、グラフィック画面

 • 波形表示のトレンド画面やデジタル値表示のオーバービュー画面のほか、グラフィック画面については図1に示すように生産ラインや工場見取り図をグラフィック表示させ、測定値をデジタル値やバーグラフで表示させることができ、何を(どこを)測定している値なのかを視覚的に容易に読み取れます。

 • グラフィック画面は、背景画(図1の設備の画像)上に部品(図1のデジタル値表示など)を貼り付ける形で設定されます。なお、グラフィック画面は2画面まで登録できます(背景画を設定せずに、部品だけの設定も可能です)。

 • 背景画には、Windows が標準でサポートしている画像形式 bmp(ビットマップ)ファイルを使用するため、ペイントソフトなどで容易に作成・編集できます。

 • 設定により画面上の部品をタッチすることで画面の切り替え(ジャンプ)が行えます。たとえば、アラームを表示しているバーグラフをタッチすると、アラームが発生している入力チャネルのトレンド画面やオーバービュー画面が表示され、詳細を調査することができます。

 • 1画面には最大64部品が設定できます。

図1 グラフィック表示例

3. コメント文挿入 

図2 収録中のトレンド画面例

 • 収録中のトレンド画面に、30文字までのコメント文の挿入を可能にしました(図2参照)。

 もちろん、過去の画面の表示時や添付ソフトウェアの波形ビューワで波形表示させた際にもコメント文が表示されるため、収録データの見出しやメモ書きとして利用できます。

 • コメント文としては、最大56件(7グループ×8件)の文章をあらかじめ登録しておき、タッチパネルの操作で簡単に選択・挿入することができます。各グループでは、グループ名と表示色の設定ができ、グループ1は開始時のコメント文で黄色、グループ2は終了時のコメント文で緑色などの使い方が可能です。

 • 入力信号(デジタル、アナログ)の条件設定によるコメント文の自動挿入も可能です。開始・停止の接点入力信号やアナログ入力によるアラーム発生時にコメント文を自動挿入することができます。

 • データ収録中にコメント文を作成し、挿入することも可能です。この場合、73VR1100 本体のバーチャルキーボードからのコメント文入力のほかに、前面扉内のUSBポートを使用し、キーボードやバーコードリーダからコメント文を入力することもできます。

 • 挿入されたコメントの履歴リストが表示できます。履歴リスト中のコメント文を選択することによって、そのコメントが挿入された際の過去のデータが表示されます。すなわち、コメント文による過去のデータ検索が可能になります。

 • 従来の73VRシリーズにも、添付ソフトウェアの波形ビューワを使用した収録データを分割する機能がいくつかありましたが、73VR1100 では挿入されたコメントを使う次の4種類のデータファイル分割機能が追加されました。「収録開始」、「収録停止」のようなコメントに連動させてデータを分割することができます。

 1.全コメント:挿入されたすべてのコメントが先頭になるようにデータを分割

 2.コメントグループ指定:指定したグループのコメントが先頭になるようにデータを分割  

 3.コメント指定:No.を指定したコメントが先頭になるようにデータを分割
   (No.はグループ内の何番目のコメントかを示す)

 4.開始・終了コメント指定:データ分割開始/終了のコメント(グループ、No.)を指定

お わ り に 

 73VR1100 は73VR2100 注1)73VR3100 注2)の機能を継承し、新たにグラフィック表示やコメント文挿入機能を追加した入出力機器分離形のチャートレス記録計です。73VR210073VR3100とともに用途に応じてご採用ください。

(本稿にてご説明した仕様は、今後一部変更になる場合があります。ご購入時には、最新の仕様書にてご確認ください)

注1)73VR2100 については『エムエスツデー』誌2006年7月号をご参照ください。
注2)73VR3100 については『エムエスツデー』誌2006年10月号をご参照ください。

MSRpro は、(株)エム・システム技研の登録商標です。


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