エムエスツデー 2006年7月号

PCレコーダ、MSRpro、チャートレス記録計システム

73VRに新機種誕生
チャートレス記録計(形式:73VR2102、2104、2106)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研では、現場設置形チャートレス記録計として、入出力カードが選択できる73VR3000を2005年末に販売開始し、ご好評をいただいています注)

 今回ご紹介する73VR2102、2104、2106は、73VRの新機種です。これらは少点数入力用途向けに開発されたユニバーサル入力のチャートレス記録計で、73VR3000と同様に収録データはCFカードに保存され、ネットワーク機能を使うことによってパソコンでのモニタリングも可能です。

 主な仕様については表1をご覧ください。

図1 73VR2102、2104、2106の外観と寸法  

表1 73VR2102、2104、2106の主な仕様

表示部仕様 表示デバイス 5.5型 TFT液晶
表示色 256色
解像度 320×240ドット
ドットピッチ 0.12×0.35mm
バックライト 冷陰極管
インタフェース部 Ethernet IEEE802.3 および IEEE802.3u規格準拠
10BASE-T/100BASE-TX(自動切換)
IPアドレス 192.168.0.1(工場出荷時)
CFカードスロット 1スロット(Type I/Type IIに対応)
動作電圧 5V、3.3V
入出力チャネル ユニバーサル入力×2、4、6、トリガ入力×1、アラーム出力×1
チャネル相互間耐電圧 500Vピーク 1分間
収録周期 100ミリ秒(4チャネルまで)、0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、1分、10分
防塵防滴仕様 IP65準拠(パネル取付時前面のみ、ただし密着取付時除く)
端  子 M3ネジ端子(ツーピース構造)
外形寸法 144(W)×144(H)×172(D)mm
質  量 約2.3kg

1.入力点数と入力種別

 入力点数については2、4、6点用の3種類をご用意しました。用途に合わせてご選択ください(表2)。

 アナログ入力部は、光リレーマルチプレクサとフローティングADCとで構成され、複数チャネルの光リレーが同時にオンになることが絶対にない回路によって、チャネル相互間の絶縁を確保しています。この回路により、測温抵抗体入力をはじめとするすべての種類の入力でチャネル間が絶縁されています。

 入力の種類については表3をご参照ください。一般的なチャートレス記録計に比べ、熱電対や測温抵抗体で多種類の入力に対応していることがお分かりいただけると思います。

表2 73VR2102、2104、2106の
入力点数と形式
入力点数
形 式
2
73VR2102
4
73VR2104
6
73VR2106
表3 73VR2102、2104、2106の 入力の種類
直流電圧入力 ±60mV、±125mV、±250 mV、±500 mV、
±1000 mV、±3 V、±6 V、±12V
熱電対入力 (PR)、K(CA)、E(CRC)、J(IC)、T(CC)、
B(RH)、R、S、C(Wre5-26)、N、U、L、P(Platinel)
測温抵抗体入力 Pt100(JIS'97、DIN、IEC751)、Pt200、Pt300、
Pt400、Pt500、Pt1000、Pt50Ω(JIS'81)、
Pt100(JIS'89)、JPt100(JIS'89)、Ni100、Ni120、
Ni508.4、Ni-Fe604、Cu10

2.TFT液晶表示

 73VR3000では画質の優れた4.7型のSTN液晶画面を採用していますが、73VR2102、2104、2106ではさらに見やすい画面にするため、ワンサイズ上の5.5型、視角の広いTFT液晶画面を採用しました。より大きく、より見やすい画面に進化しました。

3.小 形 化

 73VR2102、2104、2106では液晶画面をサイズアップしましたが、前面寸法は73VR3000と同じ144ミリ角に抑えることができました。このため、パネル取付時のパネルカット寸法をDIN 43700の137ミリ角に対応させ、密着連装も可能になり、従来の打点式記録計からのリプレースも容易に行えます。

 また、基板上のスペースを必要とするチャネル相互間絶縁やネジ端子台を採用しながらも、高密度実装により基板枚数を抑えた結果、奥行き寸法を172ミリにすることができました。これは一般的な従来のチャートレス記録計よりも20%以上小さく、奥行きの少ない盤のパネルにも設置可能にしています。

4.100ミリ秒高速サンプリング

 直流電圧入力、4チャネル以下という制限付きですが、高速サンプリングモード時には100ミリ秒のデータ収録を実現しています。高速モード時でもCFカードへの連続収録はもちろん、トリガ入力と連動した収録が可能です。

図2 ネットワークシステムの構成例  

5.演算機能

 演算チャネルは入力点数にかかわらず12点を用意しました。したがって演算チャネル間にまたがるような複雑な演算も行えます。

 演算においては、1周期前の入力値・演算値も扱えるようにしました。この機能によりアナログ積算や変化率の演算がリアルタイムで行え、演算結果によるアラーム出力も実現しています。アナログ積算演算の場合は、一定時間に、あるいはトリガ入力によって演算値をクリアする機能も備えています。

6. M3ネジ端子

 測定データの入り口である端子台には、信頼性の高いM3ネジ入力端子を採用しました。また、メンテナンス性を考慮し、端子台ごと取り外せる2ピース構造になっています。

7.そ の 他

 73VR2102、2104、2106は、データ収録を停止せずにCFカードの交換が可能になる、活線状態での挿入・抜出し機能、強力な演算機能、パスワード機能、IP65に準拠した防塵防滴仕様など、73VR3000で採用された多くの機能を継承しています。

お わ り に

 以上、73VR2102、2104、2106の主な機能についてご説明しました。

 多彩なI/Oカードを用途に応じて選択でき、最大64チャネルの入力が可能な73VR3000、またより小さく、より使いやすく進化した少点数入力向けの73VR2102、2104、2106を用途に応じてご採用、ご選択ください。

(本稿にてご説明した仕様は、今後一部変更になる場合があります。ご購入時には、最新の仕様書にてご確認ください)

注)すでに発売中の「73VR3000」について は、『エムエスツデー』誌2005年9月号2006年6月号でご紹介していますので、ご参照ください。


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