エムエスツデー 2006年1月号

PCレコーダ、MSRpro、チャートレス記録計システム

背景画付監視画面と分散設置I/O対応を実現した
MSRproバージョン2

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研は、2048チャネル対応クライアント/サーバ形PCレコーダソフトウェアMSRpro(エムエスアールプロ)(形式:MSR2K)を先に発売し、お客様からご好評をいただいています。

 MSRproは、多チャネル組合せ自由形のリモートI/O R3シリーズの各種入力信号データを、パソコンによって収集および演算し、表示画面や解析画面で表示するためのパソコン記録計用ソフトウェアです注1)

 PCレコーダソフトウェア(MSR128)では最大128点を収録できますが、それを超える点数を収録できるソフトウェアとしてMSRproを用意しました。しかし、多点の収録・監視ができることをご紹介したことによって、当初想定していなかった多方面からの引き合いやご要望もいただいています。

 そしてこのたび、より充実したソフトウェアを実現するため、MSRproに新機能を追加してバージョンアップを行います。  本稿では、新しく追加する諸機能についてご紹介します。

1.背景画付監視

 まず1つ目は、背景画付監視画面です。

 MSRproがもつ4つの画面(トレンド、オーバービュー、アナライザ、アクティブトレンド各画面)に背景画付監視画面を追加し、設備を背景としてもつ画面上での監視を実現します(図1参照)。

 工場や生産ラインなどの見取り図を背景画として設定し、見取り図の上にLED表示や各ペンのデジタル値表示を部品として任意に配置することができます。配置できる部品は、タイトル、デジタル値、LEDの3つです。

 部品は、各入力と連動し、デジタル入力の場合ON/OFF表示、アナログ入力の場合デジタル値でデータを表示します。

 工場内の警報アラーム発生の現況、あるいは特定箇所のデータの現在値などを背景画上で一括監視できます。

 読み込む背景画は、BMP、JPEG、GIFファイル形式に対応しますから、容易に編集でき、既存の背景画を利用していただくこともできます。

 (1)他の表示画面へ

 背景画付監視画面では、LEDやデジタル値表示部品をクリックしたとき、他の表示画面を表示するように設定できます。たとえば、背景画付監視画面でA工場全体を表示しておき、各生産ラインの詳細をオーバービュー画面に設定している場合、背景画付監視画面でAラインに警報が発生すると、表示上のLEDをクリックすれば、Aラインのオーバービュー画面が表示され、Aラインの詳細状況が確認できます。もちろん、トレンドグラフ画面を表示することもできます。

 オーバービュー画面には、より多点の監視ができるように、128点表示への切り換え機能も追加しました(図1参照)。

 (2)背景画付監視画面の作成方法

 画面はビルダーソフトウェアで設定します。各種設定項目の隣に完成イメージが表示されるため、イメージ上に部品を載せ、大きさや形を設定します(図2参照)。

図2

 部品の位置はドラッグ&ドロップ方式で設定できます。部品も多点におよぶことが予想されるため、部品ごとのコピー&ペースト機能を用意しました。

2.分散設置I/Oへの対応

 新機能の2つ目は、対応I/O機器の充実です。今回新しく、R1MシリーズR2MシリーズRZMS(チャネル間絶縁、12 点ユニバーサルアナログ入力)、RZUS(チャネル間絶縁、12 点ユニバーサルアナログ入力、バスパワードUSB)、そしてR3シリーズとR5シリーズのModbus用通信カード(形式:R3-NM1R5-NM1)に対応させました。これらの機器は、ネットワーク変換器(形式:72EM-M4)を経由してMSRproと接続します。

 1つのステーション、つまり、72EM-M4 1台に15台までModbus I/O機器を接続できます。また、1台ごとの距離を確保できるため、I/O機器を分散して設置できます。

 I/O機器の分散設置を可能にしたことにより、工場などで広範囲にわたって多種多様な測定対象がある場合に適用できます。

3.設備監視にも

 今回ご紹介した新機能を利用して、エム・システム技研の製造ラインの設備監視にMSRproを利用している例を以下にご紹介します。

 プリント基板の表面実装ラインにあるマウンタやディスペンサなどの設備装置の稼動時間や稼動部の温度、消費電流などを監視し、点検周期の予測や潜在的な設備の異常がないかなどを分析しています。

 製造ライン内の設備装置は、各ラインのいろいろな場所に設置されています。そこで、ラインごとに72EM-M4を設置し、距離を確保できるRS-485通信で装置ごとにModbus通信カード用(R3-NM1)を設置します(図3参照)。装置のデータはR3シリーズの入力カードを使用して、MSRproで収録します。

図3

お わ り に

 監視機能の充実、システムの構築範囲の拡大を目的として、今回の機能アップを行いました。お客様の用途に合わせてご使用ください。

 MSRproは、現在の機能にとどまらず、さらに必要とされる機能を追加し、より一層機能の充実を図っていきたいと考えています。

 MSRproの今後の対応にもご期待ください。

(本稿にて記述している仕様は、一部変更になる場合があります。ご購入時には、最新の仕様書にてご確認ください)

注1)「MSRpro」については、エムエスツデー2005年3月号4月号でご紹介しています。


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