エムエスツデー 2008年12月号

MsysNet、SCADALINX

カラー液晶により表現力が豊かになった
ワンループコントローラ(形式:ABH2)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 ご好評をいただいているMsysNetシステムワンループコントローラ(形式:ABHは、発売以来10年あまり経過しました。このたび、カラー液晶(LCD)を搭載し、表現力が豊かになったワンループコントローラ(形式:ABH2を新たに開発しました。

 ABH2は、従来機種ABHのすぐれた機能を受け継ぎ、さらに、進化発展させました。ABH同様、単純PIDコントローラから小・中規模DCSまで、様々な用途にご使用いただけます。

 以下に、ABHとの差異を中心に、ABH2の主な仕様と機能上の特長についてご紹介します。

1.外形・寸法

図1 ABH2の外観と寸法 図1ABH2の外観と寸法を示します。筐体寸法はW96mm×H96mm×D110.5mm(端子カバー含む)で、パネル取付時の盤内寸法は追加された端子カバーを含めてABHと同一です。

 パネル前面は保護等級IP65の保護構造(単体取付を行った場合のパネル前面の保護構造)になっています。したがって、食品関連設備など、散水に対して保護が必要な設備への設置も可能になりました。

 端子台には、識別キー付きで着脱可能な2ピース構造を採用し、メンテナンス性を向上しました。また、端子カバーを標準装備しています。

2.表示、操作部

 ABH2の前面パネル図を図2に示します。ABHに比べ、押しボタン数を減らしていますが、操作性を統一し、カラー液晶表示の効果と相まって、違和感なく操作できます。

図2 ABH2の前面パネル

 カラー液晶表示部には高精細3.5型TFTカラー液晶を採用し、より多くの情報を、より正確に表現できるようにしました。

 通常ループ監視画面としては、「デジタル」、「バーグラフ」、「デジタル+バーグラフ」の3画面に加え「デジタル2ループ」、「バーグラフ2ループ」の2ループ同時表示画面(2ループ登録時のみ表示)の合計5画面(図3)から選択・表示することができます。測定入力(PV)の上下限異常時はデジタル数値、バーグラフ表示とも表示色を(下限異常時:橙色、上限異常時:赤色に)変更し、異常発生を識別します。

図3 ループ監視画面

 測定入力(PV)と設定値(SP)は±32000、小数点位置0~5の範囲でスケーリング可能です。単位は8文字まで設定できます。

 バーグラフ表示の場合、2~10分割の範囲で目盛分割数を自由に設定できます。

 ユーザーが4文字までのコメントを設定できる(赤色)アラームランプを4点配置しています。

 ユーザーが内部変数を任意に選択表示できるファンクション(FN)表示を4点まで登録可能です。前面[Display]キーを使って選択し、1点ずつ表示することができます。

 また、「チューニング」、「オートチューニング」などの専用画面を用意し、セットアップやチューニングを容易に行えるようにしました。

3.ソフトウェア機能

 従来のワンループコントローラでは、本体に設定用ツールを接続しなければ設定値が変更できませんでした。ABH2では、「チューニング」画面を用意し、PIDパラメータなど主なパラメータについては、本体の押しボタンを使って変更できるようにしました。ABH2は出荷時に、基本形PIDブロックと指示計ブロックを登録していて、調整まで含め本体だけでPIDコントローラとしてお使いいただけます。

 また、オートチューニング機能(リミットサイクル法)も実装され、簡単に最適値に近いパラメータにチューニングができるようになりました。

 ABH2では、ABHと同様MsysNetのスーパーDCS機器に共通で装備されているソフトウェア計器ブロック(図4)をすべて使用できます。ビルダーソフト(形式:SFEW2赤外線通信アダプタ(形式:COP-IRUを用いれば、出荷時設定からの制御ブロックの変更や計器ブロックの機能を複雑に組み合わせた設定が可能です。

 また、処理周期の高速化を実現し、従来120msであった最速処理周期を20msに改善しました。

図4 ABH2のソフトウェア計器ブロック

4.入/出力仕様

 ABH2は、図4に示す入出力を備えています。

 測定入力(PV)とアナログ入力(Ai)については、それぞれ以下に挙げる11種類のレンジを切り替えて使用できます。アナログ入出力相互間は絶縁されています。

 高電圧レンジ:DC−10~+10V、DC−5~+5V、DC0~10V、DC0~5V、DC1~5V
 低電圧レンジ:DC−1~+1V、DC0~1V、DC−0.5~+0.5V
 電流レンジ:DC−20~+20mA、DC0~20mA、DC4~20mA

 また、接点入力4点は個別にパルス入力(最大周波数:20Hz)に切り替えて使用できます。

 MsysNetシステムの製品としてNestBus通信機能を標準装備しているため、入出力点数を追加したい場合は、ネットワーク経由でリモートI/Oユニットなど、他のMsysNet製品から入出力できます。

 また、上位にSCADALINXなどのHMIソフトウェアをインストールしたパソコンをご用意いただけば、本機とNestBus接続し、DCS計装にまで拡張できます。

おわりに

 以上ご紹介したように、ABH2は、従来製品と比較してより高機能になり、使いやすくなりました。さらに多くのお客様が多くのアプリケーションにてお使いいただけるようになったことと確信しています。
 今後も、ますますの進化発展を展望しているエム・システム技研の次世代計装システムをよろしくお願いします。

MsysNetSCADALINXは(株)エム・システム技研の登録商標です。


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