エムエスツデー 2007年10月号

MsysNet、SCADALINX

高機能版SCADALINX「SCADALINXpro」の応用(3)
− レポート −

(株)エム・システム技研 システム技術部

は じ め に

 サーバ・クライアント形のHMIソフトウェア「SCADALINXpro(形式:SSPRO4 」に関して、通常よく使われる標準機能であるトレンド、アラーム、レポート画面などの機能と構築方法を、数回にわたりサンプル画面を使ってご紹介しています。

 第1回はヒストリカル・トレンド画面(2007年7月号参照)、第2回はアラーム機能(2007年9月号参照)についてご説明しました。今回の第3回はレポートについてご説明します。

1.レポート機能とは

 レポート機能とは、ロガーアクションなどによってデータベースに保存されたログデータ(CSV または ODBC)に基づいて、日報・月報・年報などの集計レポートを作成するための機能です。

 SCADALINXpro のレポート機能は、日報・月報・年報アクション(SCADALINXpro Server)と、日報・月報・年報コントロール(SCADALINXpro Browser)によって提供されます。

  SCADALINXpro Server の日報・月報・年報アクションは、ヒストリカルデータの集計を行い、レポートファイルを作成します。レポートファイルについては、SCADALINXpro Browser から作成・修正・閲覧・印刷などを指示することが可能です。

 また、SCADALINXpro Server で定期的にレポートファイルを自動作成し、自動的に印刷させることもできます。

 さらに、必要に応じて HTML ファイルや Excel ファイルなどの形式でサブレポートを作成して、Web ブラウザや Microsoft Excel で閲覧・印刷することも可能です。

 特徴的な仕様として、レポートのフォーマットは Excel ファイルそのもので定義する点が挙げられます。具体的には、罫線や網掛けなどのレポートの書式をExcel で自由にレイアウトし、集計データとして表示したいセルにレポートと連動するためのキーワードを埋め込みます。このExcel ファイルのことを、「レイアウトファイル(図2参照)」と呼びます。

図1 SCADALINXproのレポート機能

 • レイアウトファイル
 日報・月報・年報の印刷レイアウトの設定は、Microsoft Excelによって実行します(Excel ファイルそのものがレイアウトファイルになります)。レイアウトファイルでは、用紙サイズ、列数、文字書式、罫線などを必要に応じて好みのレイアウトに設定できます。レイアウトの設定、変更にはExcel が必要ですが、レイアウトを決定した後は、実際に運用するPC にExcel がインストールされている必要はありません。

図2 レイアウトファイル

2.レポートの種類

 SCADALINXpro のレポートでは、日報、月報、年報の 3 種類の集計を行うことができます。

 • 日報レポート
 日報レポートは1日ごとに作成されます。ヒストリカルデータにサンプリングされた生データから、1 時間単位の集計値を求めます。1 時間単位の集計方法としては、平均値、合計値、データ数、最大値、最小値、開始値、中央時刻値、最終値、レンジ値、差分値、積算時間値、積算パルス値、積算カウンタ値などが用意されていて、データごと(列ごと)に指定することができます。1 時間単位で集計された値から、さらに1 日の合計値、平均値、最大値、最小値が求められます。

 • 月報レポート
 月報レポートは1か月ごとに作成されます。日報レポートで集計された1日の集計値を日ごとに1か月分集めます。1日の集計値を月報として集計する際には、1日の合計値、平均値、最大値、最小値の中からどれを採用するのかをデータごと(列ごと)に指定することができます。日ごとに1 か月分集めたデータから、さらに1か月の合計値、平均値、最大値、最小値が求められます。

 • 年報レポート
 年報レポートは1年ごとに作成されます。月報レポートで集計された1か月の集計値を、月ごとに1 年間(12 か月)分集めます。月ごとに1 年間(12 か月)分集めたデータから、さらに1 年間の合計値、平均値、最大値、最小値が求められます。

3.サンプル画面紹介

 あらかじめ用意されているレポートサンプルの中から実用性の高いサンプル画面(図3)をご紹介します。図3(a)の「日報」、「月報」、「年報」ボタンをクリックすることによって、表示する画面(帳票の種別)を切り替えることができます。図3(d)の「印刷」ボタンをクリックすればレポートの印刷を行うことができます。

 レポートの集計は、SCADALINXpro Server 側のイベントによって定期的にレポート作成(集計)することもできますが、クライアントからレポートの作成(集計)を指示することもできます。

 今回例示したサンプル画面では、図3(c)の「再集計」ボタンをクリックすることでレポートを作成(集計)します。

 画面上で値を修正し、図3(b)の「修正保存」ボタンをクリックすることによって、修正内容をサーバに保存します。つまり大本のデータをオペレータが画面上から修正できる仕様になっています。

図3 レポート画面

お わ り に

 以上のように、SCADALINXpro によってレポートの基本的な機能が実現できます。

 サンプル画面を使用することで構築時間を短縮できることはもちろん、印刷フォーマットをExcelで自由に定義できるという特徴ももっています。

SCADALINX は、(株)エム・システム技研の登録商標です。


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