エムエスツデー 2007年3月号

MsysNet、SCADALINX

高機能版SCADALINX
SCADALINXpro(1)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研では、Windows上で簡単・容易に監視画面を構築してモニタリングを行えるHMIソフトウェア「SCADALINX (スキャダリンクス) 」をご提供して参りました。

 今回は、この SCADALINX の高機能版として新製品「SCADALINXpro」をラインアップに加えました。この SCADALINXpro は、従来製品に比べGUI(Graphical User Interface)部品の充実、ユーザープログラム(スクリプト)の搭載、各社PLC用通信ドライバのサポート、さらにはOPC(OLE for Process Control 注))サーバなど数多くの機能と特長をもっています。

 SCADALINXpro では、エム・システム技研製の機器をはじめ各社のPLCを接続できるため、既存システムへの追加やリプレースが容易に行え、また多くの機器が混在する大規模なシステムの構築も可能になります。

 今回は SCADALINXpro の概要をご説明し、次回は機能の詳細についてご説明する予定です。

1.SCADALINXproの位置付け

 SCADALINXpro は既存HMIソフトウェア SCADALINX の上位に位置するソフトウェア製品です。従来の SCADALINX に比べ、グラフィック、トレンド機能の強化をはじめ、ユーザーが自由にカスタマイズできるアラーム、トレンド画面の作成ができます。さらに、処理の自動化や計算を実行できるスクリプト言語をもち、自由度、性能ともに大幅に向上しています。

 SCADALINXpro は、より高品質で高度な自動化を必要とするシステム構築にご利用いただけます。

 従来の SCADALINX は小規模から中規模の監視中心の用途に適し、SCADALINXpro は中規模から大規模の監視および制御が含まれる用途に適しています。

表1 SCADALINX と SCADALINXpro との比較

製 品
構築方法
対応プロジェクト
価格
難易度
SCADALINX GUI、ビルダー 監視 15万円  低
SCADALINXpro GUIおよびスクリプト 監視・制御 50万円~  高*1)
*1)スクリプト作成にはVisual Basic程度のプログラミング知識が必要

表2 SCADALINX と SCADALINXpro との性能比較

製 品
タグ数
接続可能
クライアント数
他社PLC接続
データの
ファイル出力
OPC対応
スクリプト
SCADALINX
最大10,000
(プロセスタグ)
最大4
Ver.3 で
三菱電機製
MELSEC-Q
CSV、 ODBC
×
×
SCADALINXpro
無制限
1、5、10、15
約70機種
CSV、ODBC

Server、 Client

2.SCADALINXproの構成

 SCADALINXpro は以下の3つの機能から構成されています。

(1)SCADALINXpro Server

 PLCとの通信やロギングそしてアラーム検出を行うサーバプログラムです。
 OPCサーバ機能をもつため、他のアプリケーションにデータを中継(GATEWAY)するような利用も可能です。

(2)SCADALINXpro Editor

 画面、スクリプトを編集するための専用ツールです。

(3)SCADALINXpro Browser

 SCADALINXpro Editorで作成した画面の表示・実行を行う専用ブラウザです。
 この専用ブラウザを使用しなくても、Microsoft Internet Explorerでの表示も可能です。

図1 SCADALINXproの構成

3.SCADALINXproの特長

 SCADALINXproの特長を以下に列挙します。

 • 70機種相当の通信ドライバをサポート
 • OPCに対応
 • L-Bus機器、Webロガーにも対応の予定(2007年2月現在)
 • グラフィック、アラーム、トレンド、帳票
 • トリガー(定周期、定刻、タグトリガー)、
  アクション(CSVファイル/ODBC(Open DataBase Connectivity)ロガー)
 • バッチ転送
 • 日報・月報・年報
 • メール送信、ファイル操作、ファイルバックアップ、FTPファイル転送
 • SQL実行
 • 外部アプリケーション起動、 シャットダウン、時刻同期
 • タグモニタ、タグリスト、アウトプットビュー、トレンドグラフ

4.グラフィック画面作成 

 画面作成には、画面作成ソフトウェア(SCADALINXpro Editor)を使用します。すなわち、標準で用意されている描画コントロール(シェープ、イメージ、グラフ)やデータベースコントロール、マルチメディア、ファイルコントロールなどを使用します。フェースプレートのような表示は前記標準コントロールを複数組み合わせる(グループ化する)ことによって実現できます。また、作成されたコントロールまたはコントロールグループは「コピー」「ペースト」といった簡単な操作で再利用(複製)ができます。

 この画面作成プログラムでは、画面表示やボタン操作のような画面操作にかかわるスクリプトの作成も統合して行えます。たとえば画面上に配置したボタン部品を押したとき(On Mouse Down)にタグの設定値を変化させるようなプログラムを記述することを可能とします。このスクリプトを使用することで高度な画面表現や画面操作を実現できます。

5.グラフィック画面表示

 作成された画面は専用ブラウザ(SCADALINXpro Browser)か Microsoft Internet Explorerで表示できます(図2)。

図2 グラフィック画面例

 スタンドアローンでの運用だけでなくイントラネットやインターネットを介した運用にも対応しています。

 また表示される画面の大きさをクライアントの表示画面の大きさに合わせて表示するストレッチ(自動伸縮)機能があり、作成時の解像度と異なる解像度での表示が可能です。これ以外の特長のある表示としては次のものがあります。

 • スクリプトだけで実行する非表示(バックグラウンド)画面
 • “はい”、“いいえ”などの確認ダイアログ表示
 • 異常・警報を表示するアラームサマリ表示
 • データをグラフ化するトレンド表示

 画面作成時には、以前に作成した画面や部品を再利用することで構築にかかる時間を短縮することができます。再利用も、以前の画面から必要な箇所を「選択」「コピー」し貼り付けたい画面で「ペースト」という簡単な操作で行えます。

 SCADALINXpro HMIパッケージ CD-Rには様々な用途に使用できるライブラリ(部品集)が用意されていて、画面作成に利用できます(図3)。

図3 ライブラリ(部品集)例

6.インターネット対応

 SCADALINXpro の監視画面はWebブラウザ(Microsoft Internet Explorer)を使い、イントラネット、インターネットを経由して表示できます。

 また、SCADALINXpro の監視画面では、Webカメラ画像表示を埋め込むことや操作説明、紹介ビデオの再生など、マルチメディア機能を活かした高度な画面構築が可能です。

お わ り に

 このように、SCADALINXpro は高度な監視画面、スクリプトを使用した自動化を実現する次世代SCADAシステムです。

注)OPC:『エムエスツデー』誌1997年10月号「計装豆知識」参照。

SCADALINX は、エム・システム技研の登録商標です。


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