エムエスツデー 2007年7月号

信号変換器、警報設定器

厚さ5.9mmの超薄形変換器
PCスペック形 M6Dシリーズ

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研では、厚さ5.9mmで省スペース、低消費電力を実現したユーロ端子接続形超薄形変換器「 M6Dシリーズ 」を開発し、『エムエスツデー』誌2007年2月号でもご紹介しました。

 今回は、M6Dシリーズに新たに加わったPCスペック形変換器の便利な機能をコンフィギュレータソフトウェアを通してご紹介したいと思います。

1.PCスペック形超薄形変換器

 PCスペック形変換器は、Windowsパソコン上で動作するプログラムを使って入出力範囲などのパラメータを自由に変更できる変換器です。コンフィギュレータソフトウェアは、エム・システム技研のホームページ(https://www.m-system.co.jp/)から無償でダウンロードできます。そして、専用のコンフィギュレータ接続ケーブル(形式:MCN-CONを使って変換器とパソコンを接続することによって、PC画面上で変換器の設定が可能になります。

 今回ご紹介する機器は、直流入力変換器(形式:M6DXVカップル変換器(形式:M6DXT測温抵抗体変換器(形式:M6DXR ポテンショメータ変換器(形式:M6DXM と、これらを操作するコンフィギュレータソフトウェア(形式:M6CFG )です。

 これらの変換器は、M6Dシリーズの統一寸法である横幅 5.9 mmという超薄形で(図1)、省電力設計、出力負荷抵抗550Ω(出力DC4~20mA時)など、性能の面でも他のアナログ形 M6Dシリーズと同等です。

 変換器前面には電源表示ランプに加え、変換器の動作状態を表す状態表示ランプ、コンフィギュレータ接続用ジャックを配置しています。

図1 M6Dシリーズの外観と寸法

2.さまざまな機能 

 コンフィギュレータソフトウェアM6CFG )の画面は、大きく2つのエリアに分かれています(図2)。

図2 M6CFGの機器設定、ファイル設定画面

 左側の機器設定エリアは、通信で接続中の機器のパラメータを表示、編集するためのものです。機器の情報を参照、機器の基本パラメータをリアルタイムに編集するなどの操作が行えます。入出力信号を表示するバーグラフも備えているため、視覚的に変換器の入出力状態が確認できます。

 右側のファイル設定エリアでは、機器のパラメータをオフラインで編集することができます。もちろん、ここで編集したパラメータをファイルに保存したり、ファイルを読み込んだりすることができます。

 アップロードボタンを使って、機器からパラメータを読み込み、ファイル設定エリアに表示させます。

 また、ダウンロードボタンを使って、ファイル設定エリアのパラメータを機器に書き込みます。

 コンペアボタンを使えば、機器設定エリアとファイル設定エリアのパラメータの相違を比較チェックできます。パラメータの相違は赤色で反転表示されるため、大変見やすく、機器管理を行うのに便利な機能です。これらは、機器に書き込まれているパラメータが意図した設定ファイルのパラメータと相違がないかどうか、また、機器に書き込もうとするパラメータと現在書き込まれているパラメータとでどこが違うのかを確認するのに役立ちます(図3)。

図3 コンペア結果画面

 続いて、各変換器の機能についてご紹介しましょう。

 カップル変換器と測温抵抗体変換器については、豊富なセンサの種類に対応しています。測温抵抗体変換器は、2線式、3線式に加え4線式の入力にも対応しています。

 入力センサの断線を検知したときの出力動作(バーンアウト)については、上方、下方、またはバーンアウトなしが設定可能です。なお、バーンアウトの発生は、状態表示ランプの点滅でも確認できるようになっています。

図4 校正画面

 現場校正の場合は、機器への入力を実際に0%にしてから0%校正のボタンを、また入力を実際に100%にしてから100%校正のボタンをクリックすると、そのときの入力に応じて、0%、100%の値が決定され、簡単に操作できます(図4)。

 各変換器には、リニアライザが標準装備されています。直流入力変換器、ポテンショメータ変換器では、ユーザー指定の折れ線テーブル(最大101点)が設定でき、入力(X)と出力(Y)をテーブルで指定して、任意の折れ線特性で入出力変換することができます。

 カップル変換器、測温抵抗体変換器では、お客様がご使用になる任意のセンサの起電力表または抵抗値表から、テーブルの開始温度、折れ線の温度ステップ、テーブルのポイント数(最大300点)、それに対応する電圧値〔 mV 〕または抵抗値〔Ω〕を指定して、カスタムテーブルを作成することができます。

 図5に、測温抵抗体の抵抗値表をグラフに表した例と、カスタム RTD テーブルの作成例を示します。

図5 測温抵抗体抵抗値表のグラフ表示例(左)とカスタムRTDテーブルの作成例(右)

 さらに、測温抵抗体変換器で白金測温抵抗体を入力センサとして使用する場合、必要な係数を設定するだけで、Callendar-Van Dusen 近似式注)を用いて抵抗値に対する温度を計算し、出力に変換することも可能です。Callendar-Van Dusen 近似式は以下のとおりです。

  Rt = R0〔 1 + At + Bt2+ C(t - 100 )t3
   ただし、t≧ 0℃ では C = 0
   Rt : t℃ における抵抗値〔Ω〕
   R
0 : 0℃における抵抗値〔Ω〕
   t : 温度〔℃〕
   A、B、C : 係数

 また、すべてのPCスペック形変換器では、出力を任意の値に設定できるループテスト機能が付いているため、システムの立ち上げ時などに使えば有効です。

お わ り に

 今回は、5.9 mm 幅という超薄形でありながら、これまで発売してきたPCスペック形変換器と同等以上の機能を備えたM6Dシリーズをご紹介しました。省スペース化、省エネ化に加えて高機能で柔軟性が高いこれらの製品が、お客様にご満足いただける有用な変換器であると確信しています。

 さらに、こんな機能が欲しい、こうした方が使いやすいなど、お客様のご意見、ご要望を今後の製品開発に役立てていきたいと考えています。ぜひ、エム・システム技研ホットラインまでお聞かせください。

注)IEC60751参照


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