エムエスツデー 2006年5月号

信号変換器、警報設定器

みにまるシリーズ ワンステップキャル設定形変換器
(形式:M2LV、M2LPM、M2LR)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

図1 M2LV、M2LPM、M2LRの外観と寸法

 エム・システム技研のコンパクト変換器「みにまるシリーズ」に、このたび、新たな形式の直流入力変換器(形式:M2LVポテンショメータ変換器(形式:M2LPM)、測温抵抗体変換器(形式:M2LR)の3機種を追加しました(図1)。

 これらの3機種は、プログラマブル変換器「M3・UNITシリーズ」と同様に「ワンステップキャル方式」による設定方法を採用し、PCによる設定やモニタも可能にしたみにまるシリーズ変換器です。以下にその特長をご紹介します。

1.ワンステップキャル方式

 M2LVM2LPMM2LR の最大の特長は、「ワンステップキャル方式」による設定方法を採用したことです。ワンステップキャル方式は、変換器前面の3つの押しボタンスイッチ(以下スイッチと略称)を操作してキャリブレーションできるように考案されたエム・システム技研独自の操作方式注)であり、簡単で容易な設定、操作の実現を目的にしています(図2)。

図2 M2LVのキャリブレーション(ワンステップキャル方式)

 たとえば、入力信号を設定する場合は、種類やレンジをディップスイッチによって設定し(図3)、「0%信号を入力しながら UP または DOWN スイッチを押す」、「100%信号を入力しながら UP または DOWN スイッチを押す」といった簡単な操作で完了します。

 また、出力の微調整についても同様で、UP または DOWN スイッチで出力信号を手動操作しながら任意の位置で 0%、100%に設定できます。

 すなわち、ゼロ、スパンの調整操作が互いに干渉することがなく、それぞれ1回の操作で設定できることが特長です。

 とくにポテンショメータ変換器については、ポテンショメータと組み合わせてのゼロ・スパン調整が必ず必要になります。その際、トリマ抵抗を使っての調整作業を必要とせず、スイッチ操作だけでそれぞれの設定が干渉なしに行えることは作業の省力化にきわめて有効です。

図3 M2LVのパネル図

2.使いやすいコンフィギュレータソフトウェア

 M2LVM2LPMM2LR にはすべて、個別にコンフィギュレータソフトウェアを用意しており、エム・システム技研のホームページ(https://www.m-system.co.jp/)からダウンロードすることが可能です。  このソフトウェアを使用すれば、ワンステップキャルと同様に入出力設定が可能であることはもちろん、ユーザー独自の出力特性カーブも設定できます。すなわち、入力の0~100%に対して、出力を自由な曲線にすることができ、特性変換器として機能させることも可能です。

 測温抵抗体入力タイプ(M2LR)については、入力のリニアライズ機能を備え、抵抗−温度特性に関するユーザテーブルも作成できます(図4)。

図4 RTDユーザテーブル

 また、ファイル操作機能も充実していて、設定ファイルの保存や呼び出し、比較が容易に行えます。

 入出力のモニタ(パソコン画面)についてはデジタル(実量値)表示とバーグラフ表示があり、設定確認やメンテナンスの際に威力を発揮します(図5)。

図5 モニタ画面

 また、ループテスト機能も用意していますから、システム構築後の試運転時に、任意の信号を出力して、システムをチェックをすることができます。

3.広範な入出力範囲

 広範囲な入・出力信号を、1台の変換器でカバーできます。入力信号については、直流入力変換器(M2LV)は、電圧:DC−10~10V、電流:DC0~50mA 、ポテンショメータ変換器(M2LPM) は全抵抗値50Ω~10kΩ、測温抵抗体入力変換器(M2LR)ではPt50 ~Pt1000にそれぞれ対応できます。

 出力についても、DC−10~10V、 DC0~20mAの広い範囲で対応可能であるため、システム変更に際して、柔軟性をもって対応できる変換器といえるでしょう。

お わ り に

 以上述べたように、M2LVM2LPMM2LR は簡単・便利なユーザーインタフェースと多機能性の両立を目指して設計されました。

 これを実現するには、マイクロプロセッサなどのデジタルICを使用しています。デジタルICの価格性能比の向上、小形化には目覚ましいものがあり、これらを最大限に活かした商品開発を今後も進めていきたいと考えています。

 現在は、熱電対入力のカップル変換器(形式:M2LT)を計画していますし、さらに製品の拡充をすすめて参ります。          

注)実用新案および商標登録済みです。な お、『エムエスツデー』誌 2003年1月号および 2005年9月号の関連記事もご参照ください。

みにまるは、エム・システム技研の登録商標です。 


ページトップへ戻る