エムエスツデー 2005年5月号

操作部コンポーネント、電源、共通機器

交換時期もわかる表示機能付電源
電源ユニット(形式:MDC5)

(株)エム・システム技研 開発部

は じ め に

 エム・システム技研は、変換器をはじめ、様々な製品を製造販売していますが、そのラインアップに「電源」があることをご存じない方が意外に多いのではないでしょうか。

 2線式変換器用電源としての「ディストリビュータ 」の存在はご存じの方が多いと思いますが、エム・システム技研には電源ユニット(形式:HDC1、DC24V 60W)(形式:HDC4、DC24V 60W)という純然たる「電源」のラインアップも存在しています。

 そして今回、このような純然たる「電源」に新しい仲間を加えましたので、ここにご紹介します。

1.表示機能付き

 ご紹介する新しい電源ユニット(形式:MDC5)の最大の特長は、前面にスタイリッシュな3桁の7セグメントLED表示器をもっていることです(図1)。

図1 MDC5の外観と寸法図2 MDC5の各種状態表示(運転モード)

 表示内容としては、出力電圧、出力電流、ピークホールド電流、交換時期の4種類から切り替えて選択できます(図2)。

 電圧や電流の表示は、電源本体やシステムの状態を把握するのに大変便利ですし、とくに交換時期の表示はユニークで、高い信頼性が要求される用途に効果的ではないでしょうか。

2.交換時期表示

 ほかにあまり例がないと思われる交換時期表示について、原理を簡単に説明します。

 スイッチング電源の寿命は、使用する電解コンデンサで決まります。 電解コンデンサは製造された時点から、含浸された電解液が封止ゴムを透過し、時間経過に伴って外部への蒸発が進むため、静電容量の減少をはじめとする特性の劣化が生じます。

 また電解コンデンサの劣化速度は、周囲温度により大きく変化しますから、MDC5では通電中の電源内部の温度を監視し、稼働時間と内部温度とから電解コンデンサの劣化量を演算・推定します。

 交換時期表示とは、部品として使われている電解コンデンサの特性劣化のため、電源ユニットが十分な性能を発揮できなくなるまでの目安時間を表示する機能です。

3.充実した安全機能  

 安全で安心してご使用いただくため、MDC5はいろいろな機能を備えています。

 (1)過電流保護
  過電流保護回路は、定格電流が105%以上になるような短絡、過電流事故に際して、自動的に出力電圧を低下させて電源自身の劣化、破損を防止します。  過電流状態が解除されると出力電圧は自動的に正常状態に復帰します(図3)。

図3 過電流保護機能特性図図4 過電流保護機能

 (2)過電圧保護
   電源内部の帰還回路の故障などに起因して負荷に過大な電圧がかかることがないように、過電圧を検出して対処します。  定格電圧の約130%以上の過電圧が出力された場合、電圧出力を遮断します(図4)。

 (3)不足電圧表示機能
   出力電圧の低下を検出すると、LEDが点灯し、出力異常を知らせます。  設定電圧は、定格電圧の約80%にセットしてあります。

4.各種規格

 安全規格としては、UL508/60950、CSA C22.2 No.14/60950、 EN50178、EN60950 に対応し、CE マーキングも取得しています。 さらに、鉛フリーはんだを使用しているため、輸出される組込器機用の電源としても安心してご使用いただけます。

5.変換器との高い親和性

 MDC5は、DINレールにそのまま設置できます。したがって、DINレール取付け形変換器の電源として最適です。エム・システム技研のDC24V電源の商品と一緒にお使いください。

 たとえば、コンパクト変換器みにまるシリーズの電源としてご使用になる場合は、この電源1台当たり10台のみにまるに給電できます。

 なお、この電源の容量が60Wで、みにまるの消費電力が3Wであることを考えると、「10台」とは不思議な感じをされるかもしれません。単純に考えると60÷3=20で、20台のみにまるに給電できるように思えますから…。

 しかし、直流電源で動作する変換器では、電源投入時に、定常の消費電流より大きい電流が流れることに配慮しなければなりません。

 エム・システム技研では、電源の容量は変換器の定常の消費電力に対して3倍の余裕をみることを推奨しています。

 ただし、今回ご紹介するMDC5とエム・システム技研の変換器を組み合わせてご使用いただく場合は、2倍の余裕をみていただければ問題ありません。

お わ り に

 エム・システム技研は、今後も変換器用電源の分野に注力し、魅力ある製品づくりを目指していきます。ご意見、ご要望をぜひお寄せください。

みにまるは、エム・システム技研の登録商標です。


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