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エムエスツデー 2005年5月号

計装 今昔ものがたり

第5回 コントロ−ルバルブ

早稲田大学 理工学総合研究センター 客員研究員 深町一彦

プラント操作の要(かなめ)

コントロールバルブ国産第1号 流れを測る機器として差圧伝送器の話が2回続いたので、今回は流れを制御するコントロールバルブの話をします。ただしこの調節弁は他の計装機器の歴史の消長に比べて、非常に時計の進みの遅い機種なので、今昔という対比の物語になりにくい話です。図1は昭和11年に作られた国産1号のコントロールバルブの写真です。盧溝橋で支那事変が勃発する前の年のことです。今日のものと余り変わりがないのが見られます。オートメーションの話題の中でも地味な存在で、制御屋さんの意識の中では、最終端といって計装技術の端っこのような気持ちで扱っている人もいます。確かにコンピュータを駆使した高度制御技術の華やかさはないが、プラントから見れば、すべての操作の入り口がこの調節弁なのです。

 プラントに何か事故が発生すると、必ずといってよいほど、バルブの誤操作、あるいはバルブの誤作動と新聞に報じられます。プラントはバルブを介して運転されるのですから、当然な話ですが、マスコミの理解はこの程度なのでしょう。

唯一の動く機械

図2 最近のコントロールバルブ 調節弁は計装機器の中では、唯一の、流体に働きかけるという力仕事をする “動く機械”です。そのために駆動する力の元を必要としています。最も多いのが空気圧作動のバルブです。以前(第2回)にお話したように、かつては計装・制御装置がすべて空気圧で作動していたので、ごく自然の成り行きでしたが、最近では、計装で空気圧を使用しているのはコントロールバルブだけになってしまいました。

 流体の圧力に抗して流れをせき止めるのですから、かなりの力を必要とします。口径が大きくて、流体の圧力が高いと、数トンの力が必要になります。そのため、種々な工夫がなされ、図1(のバルブ)では複座弁構造にして流れを二つに分け、力を打ち消しあうように考えてあります。バルブの中に対抗ピストンを設けて流体の圧力自身でバランスをとるような方法もあります。

 図2は最近のコントロールバルブの写真です。外見で見る限り、昔のものと比べて余り大きな違いはありません。少し背が低くなっています。図1では、ダイアフラムに対抗する力として大きく長いスプリングが一本内蔵されています。このスプリングは、大きな力でストローク一杯繰り返し伸縮するので、疲労による折損を生じないよう内部応力を小さく抑えるために、どうしても長く大きくなってしまうのです。最近は、小さなスプリングを何本も並べて装備するようになって、スプリングの背丈も小さくなり、万一その一本が折損しても大事に至らないようになっています。ダイアフラムケースが少し厚くなっているのは、そのスプリングをここに内蔵しているからです。その分首が短くなっています。

バイパスバルブ

図3 バイパス弁 初期の計装に関する書物には、図3のように、コントロールバルブの取り付けに際しては、ブロック弁とバイパス弁を設けなさいと書いてあったものです。万一コントロールバルブが動かなくなったときはブロック弁を閉じてバイパス弁を手動で操作してプラントの運転が続けられるようにという配慮からです。1台のコントロールバルブに付随して3台の手動バルブが売れるのですから、バルブメーカーは大喜びでした。口径の大きいバルブともなると、大変な金額になりました。ただし、昭和35年ごろには、特別な箇所を除いてこの習慣はなくなりました。金額も問題ですが、プラントが複雑になって、例え一時凌ぎとはいえ、現場の手動バルブを使って運転することなど不可能になってきたのが大きな理由です。当然、コントロールバルブだけでなく計装機器全般の信頼度が増してきたことがその背景にあります。

回転型バルブ

 コントロールバルブといえば、グローブバルブが普通ですが、最近では、ボールバルブやバタフライバルブなども多く使われるようになりました。グローブバルブは図1、2の写真に見るように、どうしても背が高くなるのが避けられません。先に述べたマルチスプリングの例のように、いろいろ工夫をしても、原理的にどうしてもバルブのストロークの数倍の高さが必要です。これは、配管の上部にそれだけの空間が必要になることです。保守のためにバルブ内機を吊り上げることを考えると、さらに上に空間が必要になります。これに比べると回転型のバルブは非常にスペースファクターがよいのが魅力です。ただし、グローブ型に比べると歴史が浅く、特殊なアプリケーションに対応する技術の蓄積が今一のようです。高圧の流体や、大きな圧力降下のあるアプリケーションなどには向きません。

 また、グローブ型の場合、バルブポートの形状を変えることで流量特性を変えることができますが、回転型バルブでは特性が固定的で、適正な流量制御を行うために、ポジショナか制御装置側で特性を補正してやらねばならない場合もあります。特別に流量制御を目的に開発されたバルブもあります。ちなみに、エム・システム技研のアナログ出力用の変換器には、出力特性を任意に作れるものがあるそうです。

 回転型のバルブの駆動には、ダイアフラムに代わって空気圧シリンダーがしばしば利用されます。配管と平行な面に装着することで、大口径の場合でも形状がコンパクトになり喜ばれています。

 ダイアフラム駆動とシリンダー駆動など、駆動部の話は次回に持ち越します。

もっと大事にして

 コントロールバルブは、見た目には進化していないようですが、10台作れば12仕様があるといわれるほど、アプリケーションごとに仕様が異なります(なぜ台数より仕様が多いのかというと、“必ず仕様変更がある”というオチが付いていました)。図4は、コントロールバルブの多角化の流れを図にしたものです。メーカーは非常に苦労してアプリケーションの広がりについてゆこうとしています。不幸にして構造が簡単で、誰でもひと目で「分かったつもり」になってしまうので、制御技術の世界でも余り大事にされていません。米国ではISA協会などがしっかり対応していますが、わが国では価格崩壊も災いして、製造が先行して技術が追随していないようです。冒頭に述べたようにバルブはプラント操作の入り口、事故は必ずバルブの誤操作か誤作動によって生じることを想起してください。

図4 コントロールバルブの多角化の流れ

 ご隠居の繰り言、“メーカーはもっとしっかり勉強せんか、ユーザーも安ければいいってもんではなかろう”

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