エムエスツデー 2009年7月号

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No.15

薄形避雷器MD7シリーズの本質安全防爆対応

図1 薄形避雷器MD7シリーズ

 ご好評をいただいている薄形避雷器MD7シリーズ図1)のうち、13機種に、今回、本質安全防爆仕様を追加しましたので、ここにご紹介します。

 MD7シリーズ注1)は、わずか7mm幅という薄形であるため、多点数保護を行う場合の省スペース実現に最適な避雷器です(たとえば16点を保護する場合でも、設置スペース幅は112mmで足ります)。今回の防爆仕様追加によって、スペースの制約だけでなく、設置環境の制約まで取り去り、大変自由度の高い避雷器に進化しました。

 防爆対応製品は、実際にそれを使用する国または地域において、それぞれの国または地域で定められた防爆規格に適合している必要があります。このたび追加した防爆仕様は、欧州におけるCENELEC本質安全防爆(ATEX指令)です。

 本質安全防爆パラメータ注2)は形式によって異なります。詳細については、表1をご参照ください。

表1 防爆仕様

本質安全防爆パラメータ
品 名 形 式 Ui(V) Ii(mA) Ci(nF) Li(μH)
計装標準信号用 MD7ST-60 60 any 5 0
MD7ST-24 32 any 10 0
2線式信号用 MD72W-55 60 150 5 150
MD72W-32 32 150 10 150
MD72W-16 16 150 35 150
MD72W-07 7 150 50 150
2線式信号用(2チャネル) MD72WD-32 32 any 15 0
MD72WD-16 16 any 35 0
MD72WD-07 7 any 50 0
3線式信号用 MD73W 32 150 10 150
パルス信号用 MD7PL 32 any 10 0
PROFIBUS-PA用 MD7PA 32 any 5 0
FOUNDATION Fieldbus用 MD7FB
熱電対用 MD7TC 16 any 35 0
ポテンショメータ用 MD7PM
ロードセル用 MD7LC
測温抵抗体用 MD7RB 7 any 50 0
RS-422/RS-485用 MD74R
LONWORKS MD7LWA
温度等級 周囲温度 Pi(W)各形式共通
T4 −25 ~ 40℃ 1.3
−25 ~ 60℃ 1.2
−25 ~ 80℃ 1.0
T5 −25 ~ 40℃ 1.0

 防爆のタイプは下記のとおりです。

Ex mark II 1G Ex ia IIC T4,T5

 防爆対応のMD7シリーズ製品は、危険の度合いが最も高いZONE 0(0種場所)に設置することができる本質安全防爆認定(IEC 60079による分類記号:ia)を取得しているため、あらゆる危険場所でご使用いただけます注3)。また、対象爆発物に着火するのに要するエネルギーの大小により細分された爆発等級についても安全度の高い優れた分類で認証を取得しています。たとえば、水素やアセチレンなど爆発の危険性が高いガスを含む雰囲気の中でも安全にご使用いただけます。

 PROFIBUS-PA用避雷器(形式:MD7PAFOUNDATION Fieldbus用避雷器(形式:MD7FBについては、FISCO(Fieldbus Intrinsically Safe Concept)と呼ばれる、IEC 60079-27に適合した、フィールドバス特有の本質安全防爆の認定も取得しました。FISCOでは、ケーブルのキャパシタンスとインダクタンスを分布定数として考えることで爆発限界の最大電圧、電流、電力の範囲を拡大し、接続機器数を増加させることができます。FISCOでの防爆パラメータは下記のとおりです。

 Ui=DC17.5V、 Ii=DC400mA、 Pi=5.4W、 Ci=5nF、 Li=0μH

 ATEX指令に適合した本質安全防爆製品は、欧州だけでなく、アジアや南米などでも受け入れられています。ATEX指令に適合した本質安全防爆製品を許容している地域向けの設備用としてご採用いただきたいと存じます。

注1)『エムエスツデー』誌2006年9月号「わずか7mm幅!薄形避雷器MD7シリーズの開発」2008年2月号「わずか7mm幅!薄形避雷器MD7シリーズに7機種追加!!」の表題で、諸々の特長をご紹介しています。
注2)本安機器の本質安全防爆性能を保持することができる最大の電圧、電流および電力と、本安機器の接続部に現れるとみなされる等価的な内部キャパシタンスおよび内部インダクタンス。
注3)本質安全防爆用としてご使用の場合、CENELEC(ATEX)の安全に関する取扱説明書(エム・システム技研ホームページ「Global English」サイトhttps://www.m-system.co.jp/english/index.htmlの「Data Library」から入手できます)をご参照の上、必ず安全保持器をご使用ください。また、安全保持器としては、MD7シリーズの本質安全防爆仕様に合致したもので、ご使用になる危険場所に適合した認定を受けている製品をご使用ください。

【(株)エム・システム技研 開発部】


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