規格/標準

エムエスツデー 2013年4月号

計装豆知識

舶用電気機器の船級協会型式承認印刷用PDFはこちら

厳しい環境で使用される舶用電気機器の型式承認について説明します。

 

読者の中にも、大海原を行く船にあこがれを抱く人は大勢いらっしゃることでしょう。しかし、ひとたび嵐に遭遇すると、陸の上とは比べものにならない危険にさらされます。

今回は、厳しい環境で使用される舶用電気機器の型式承認について説明します。

輸送船の保険適用条件

海上輸送の安全を願うのは、荷主や船主だけではありません。保険業者も同じように安全を願っています。International Underwriting Association of London(IUA:ロンドン国際保険引受協会)では、積載船舶の良否を保険料算定の重要な要素としており、Institute Classification Clause(協会船級約款)において、国際航行貨物に対する保険適用の条件の一つに、International Association of Classification Societies (IACS:国際船級協会連合)に加盟する船級協会の船級を取得している船舶による輸送であることがあげられています。この約款は、英国のみならず我が国をはじめとする多数の国々で利用されています。

その約款の中で指定されているIACSには、現在表1に示した船級協会が正会員として加盟しています。

表1 IACSに正会員として加盟している船級協会
名 称 略号と所属国
Lloyd's Register of Shipping LR 英国
American Bureau of Shipping ABS 米国
Bureau Veritas BV フランス
Det Norske Veritas DNV ノルウェー
Germanischer Lloyd GL ドイツ
Registro Italiano Navale RINA イタリア
日本海事協会 NK 日本
China Classification Society CCS 中国
Russian Maritime Register of Shipping RS ロシア
Korean Register KR 韓国
Indian Register of Shipping IRS インド
Croatian Register of Shipping CRS クロアチア
Polish Register of Shipping PRS ポーランド

電気機器の型式承認に必要な試験項目

IACSでは、加盟船級協会が船舶の安全性を審査するために、Unified Requirements (UR: 統一規格) を制定しています。これは船体の構造や設備などの安全性を保つための要求規格です。ただし、各船級協会が独自により厳しくする方向で改変することが認められており、統一規格に基づく規格であっても、協会によって要求内容が異なってきます。

URは、A、 D、 E、 F、 G、 I、 K、 L、 M、 N、 P、 S、 WおよびZに分類されています。電気機器に対する要求事項はEに記載され、その中で、欠番を含め、E1~E23に細分類されています。電気機器の型式承認に必要な試験項目は、E10: Test Specification for Type Approvalに示されています。

E10では、表2に挙げた試験を行うことを要求しています。しかし、同じ電気機器であっても、それが艤装される環境に応じて試験条件が異なります。たとえば、振動試験における加振加速度は、ブリッジなのか機関室なのかによって異なります。また、塩水噴霧試験は、オープンデッキなどに艤装される機器にのみ要求されます。

表2 電気機器の型式承認に必要な試験項目
試験項目 内 容
Visual inspection 外観目視
Performance test 製品機能の試験
External power supply failure 電源の瞬停試験
Power supply variations
(a) electric
電源電圧変動
Power supply variations
(b) pneumatic and hydraulic
供給空気圧または油圧変動
Dry heat 高温試験
Damp heat 高温多湿試験
Vibration 振動試験
Inclination 傾斜試験
Insulation resistance 絶縁抵抗
High voltage 耐電圧試験
Cold 低温試験
Salt mist 塩水噴霧
Electrostatic discharge EMC: 静電気放電イミュニティ
Electromagnetic field EMC: 放射無線周波電磁界イミュニティ
Conducted low frequency EMC: 低周波伝導妨害イミュニティ
Conducted radio frequency EMC: 無線周波伝導妨害イミュニティ
Burst/fast transients EMC: ファストトランジェント/バーストイミュニティ
Surge EMC: サージイミュニティ
Radiated emission EMC: 無線妨害
Conducted emission EMC: 伝導妨害
Flame retardant 難燃性

エム・システム技研の船級協会型式承認製品

サーボトップⅡ(形式:PRP)ロイド船級協会(LR)の型式承認取得

エム・システム技研製品では、ロータリ式電動アクチュエータ サーボトップⅡ (形式:PRP)が、ロイド船級協会(LR)の型式承認を取得しています。

ロイド船級協会は、その前身である船舶登録協会までさかのぼると、1760年に設立され、表1の中では最も早く設立されています注)。多くの船級協会の中でも、信頼性の高い船級協会の一つです。

〈参考文献〉
http://www.iua.co.uk/ International Underwriting Association of London
http://iacs.org.uk/ International Association of Classification Societies Ltd.
http://www.jetro.go.jp/indexj.html ジェトロ
http://www.lrs.or.jp ロイドレジスター

注)現在のような船級協会の形態としては、Bureau Veritasが最も早い1828年に設立され、Lloyd's Register of Shippingは1834年に現在の形態になりました。

【(株)エム・システム技研 設計部】


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